これまでの2回は、灘中合格に向けて各塾の特長を踏まえてアドバイスを差し上げました。
今回は、ご相談をよく頂戴する話題から「過去問をいつはじめるのか」などをお話しましょう。
・過去問はいつするの?
灘中の入試問題は、各科目とも他校の入試問題とは比べ物にならないほど多くの知識を求められます。
一方で、過去に自校で出題した問題と同系統の問題が出題される傾向が強いともいえます。
そこで、灘中合格に向けては過去問の徹底演習が欠かせません。
ところが、多くの塾では夏休みを挟み、2学期になると学習内容が難しくなり、今まで以上に学習時間がタイトになると考えて間違いありません。
そこで例年話題になるのが、「過去問に取り組む時期とその時間確保について」です。
演習量を多くとるためには、今すぐにでも取り組みたいですね。
特に算数、国語では1日目と2日目で全く傾向の異なるテストとなることはご存知のとおりで、事前準備にも時間がかかるのですから。
・過去問は何点とればいいの?
知識勝負となる算、国の1日目は、夏休み前に5割程度の得点は欲しいですね。
夏休み以降は2日目の対策が待っているからです。
特に9月以降は、塾での学習内容が2日目対策となる傾向が強いのです。
2日目の対策は、塾の勉強と並行して出来る分、1日目の対策に時間がとりにくくなります。
そこで、9月以降の1日目対策は時間配分の最適化を目指して、過去問を使ったテスト形式の演習程度にとどめておけるように準備しましょう。
理科や算、国の2日目は今のところ4割の得点が出来れば可能性は十分にあります。合格を可能にするには努力と工夫が必要ですが。
・でも時間が無い
そうですよね。これからは塾が求める勉強をすべて消化するとなると、時間がどんどん無くなっていきます。
しかし、灘中の入試問題には必ず触れておきたいのです。
優先順位をつけましょう。お子様ごとに充実したい学習内容は異なるので、優先順位については受験のプロに相談してください。
優先順位をつけて、塾の勉強にかける時間を短縮することが目的ですから、塾の先生以外でプロの意見をお聞きいただくのが良いでしょう。
たとえば、すでに公開テストでの合格可能ラインに到達していれば、平常時の本科授業の優先度は低いので欠席することも
視野に入れることが可能です。
例年、2学期になると平常やベーシックと呼ばれる本科授業をお休みされる方もいらっしゃいます。
合格ラインにまだ到達していないお子様は、11月までは本科授業も大切です。
しかし、飛躍的に難度が高い「最高レベル特訓」などは省いて、過去問の演習に時間をあてることが現実的です。
・今、絶対にしておきたいこと
受験の天王山といわれる夏休みを有効利用するための事前準備です。
夏休みには、塾の勉強しか出来ないかもしれません。だからこそ、成果を出すためには「何を勉強するのか」を明確にして臨んでください。
ただ夏期講習会に通うだけでは、弱点の確認にしかなりません。
塾のカリキュラムとお子様の弱点を照らし合わせて重点的に学習する「問題」まで予定しておくことが出来れば理想的です。
さらに夏休み40日間分の時間割を作っておけば、独自に勉強したい内容にあてる時間も見えてくるものです。
これからは、時間管理、学習内容の管理と手間のかかることがいっそう増えそうですね。
でも、灘中の合格を取るためには必要なこと、と割り切ってください。関西で唯一、全国区の最難関校なのですから。
(都関)