受験勉強には暗記すべきことが数多くあります。
考える教科であるはずの算数にも覚えることは無数にあります。
そして、社会や理科は知識量が勝敗を分けると言っても良いでしょう。

ところが、一生懸命に覚えているのにテストの時に思い出せない。覚えたはずのことが短期間のうちに抜けてしまう。
このような相談が寄せられています。
これらの原因は、ほとんどの場合覚え方にあります。

忘れてしまうことは結果としての症状であって、
「忘れてしまうような覚え方をしている」ことが原因なのです。

・文章の中で覚える

知識同士のつながりの中で覚えたことは、なかなか忘れません。
そして、テストで使える知識として定着します。
別の言い方をすれば、文章の中で覚えた重要語句は忘れにくいということなのです。

過去にご相談があった例ですが、「冬の気圧配置は西高東低」を覚えるときに、
テキストの□囲みが、西高東低だったために、
西高東低・西高東低・・・と何度も発声し何度も書いて覚ていました。
ところが、西高東低の気圧配置になる季節は?と聞くと答えられないのです。

「AならばBだ」とか「AはBだ」を覚えるときに、BBBBBBと何度も言って書くという
学習になっていることが原因の一つです。

日能研のメモリーチェックでもサピックスのコアプラスでも、
赤字だけを覚えるような方法は是非避けるように言ってあげてください。

・図を上手に使う。

子供の多くは、言語情報を覚えるよりも画像情報を記憶することが得意です。
また、言語情報を暗記するときに画像情報を付け加えると忘れにくくなります。
前出の「西高東低」にしても、なぜそうなるのかを日本列島を中心とした
東アジアでの冬の大気の動きを地図の中で説明し、理解させた場合は
ぐっと忘れにくくなります。
もし忘れても、高気圧がシベリアの西にあり低気圧は東の太平洋上にあることが
思い出せますから、「西高東低」の語句そのものを忘れてしまっても
大丈夫だということになります。

・学習の順序を見直す。

理科や社会の成績が振るわない最も多い原因は、
「覚える前に問題を解こうとし、わからない語句が多いので、
その語句をはじめの解説から探して記入する」
という学習法にあります。

まず、その単元の説明を隅から隅まで読む。
そのときにはそのページにある絵や写真を凝視し、またその説明も漏らさずに読む。
その後、覚えるべき語句や内容の部分に蛍光ペンで線を引き、覚える。

この40分から50分程度の文章中の重要語句の意味の位置を確認し覚えてから、
問題を解いて欲しいのです。

問題を説く意味は、「ちゃんと覚えたかどうかの確認」です。
覚える前に問題を解いてもあまり効果はありません。

・語呂合わせを上手に使う。

知識同士のつながりや意味のつながりが無いものを覚えるときには、
語呂合わせが有効です。

それもお仕着せのものでは無く自分で使ったものが覚えやすいようです。
また、おもしろいもの刺激的なものが効果的です。

たとえば、BTBの色の変化は、黄色、緑、青の順です。これを「君アホ」と教えたところ、全員が完璧に覚えてくれました。

「君」と言いながらその子を見て、その後に「アホ」と言ったものですから、決して子供をけなさない私の授業に慣れている子供達は、はじめは何が起きたか
わからなかったようです。
直後に、BTBの語呂合わせであることを知らせると、ほっとした表情が現れ
笑顔が戻ります。

ちょっと意地が悪い語呂合わせですが、刺激の強い語呂合わせは忘れにくい例
として書いてみました。

次回は、忘れにくい覚え方の他の例をお知らせします。