月: 2015年10月
中学受験を考えていて、4年生から塾に通わせようと考えているご家庭では、そろそろ塾選び、入塾テストの準備が始まっているかもしれません。受験勉強を始めるのは、早ければ早いほどいいというものではないと、私はいろんなところでお話ししていますが、4年生くらいから始めるのがちょうど無理がないのです。
進学塾のカリキュラムは、4年生〜6年生の3年間で無理なく中学受験の学習が仕上がるようにできているからです。1年生〜3年生から進学塾に通わせるご家庭は、かなり早くにスタートを切っているということになります。
3年生までは塾に通わせないほうがいい、というわけではありません。お子さんが楽しんで通塾し、得られるものが多いなら何の問題もありませんし、私が知っている限りでも、低学年から塾に通わせて、色んな意味で成功されているご家庭も多いのです。
では、早くから受験勉強を始めて失敗する例とは何かというと、お子さんの自己肯定感がとても低くなってしまう場合です。
子どもの「できない部分」ばかりが目について、できること、もっといえば「今はできないけれどがんばっていること」に対してねぎらい、褒める声かけをせず、逆の声かけを続けてしまうと、子どもは「どうせ僕はがんばっても無理」という気持ちになり、自分もがんばればできるという気持ちを持ちにくいのです。
子どもに限らず、努力しても認められることがないと、人は充実感、充足感を感じられません。特にお子さんがいちばん好きなのは、お母さん、お父さんの「よくがんばったね」「すごいね」といった言葉。言葉でなくても、お母さんやお父さんの喜ぶ顔だけで、子どものやる気は天にも上るくらいになるはずです。
「褒められると伸びるタイプ」とよくいいますが、子どもはみんな「褒められると伸びるタイプ」だと私は思っています。
もちろんできたことに対して褒めてあげるのは当然ですが、できた、できないにかかわらず、努力したことに対して褒めてあげることが大切だと思うのです。
大人だって、ふだん張りつめた気持ちで頑張っていればいるほど、身近な人の感謝の言葉や嬉しそうな顔に癒され、明日からもがんばろうと思えるものです。逆にそれがなければ、そんな小さなことでと思うようなことで、心が折れてしまったりするものです。
ここまで考えてくると、小さなお子さんだけでなく、ここから受験に向かって直前期を過ごす6年生にも同じことが言えるとわかってきます。
寒くなってきました。ここからが受験期本番ですね。
今夜お子さんが帰ってきたら、どんな言葉をかけてあげましょうか。
10月4日(日)、豊洲にてセミナーを行いました。主催は紀伊國屋書店ららぽーと豊洲店様で、限定30名の皆さんが参加くださいました。
小学4年生〜6年生のお子さんのいるお母さん、お父さんが対象でしたので、受験に向け、そして新年度に向けての準備のお話に、熱心に耳を傾けておられたのが印象的でした。
当日は「学習の質」について話をさせていただきました。ついつい陥ってしまいがちな「記憶型の学習」についてです。冷静に考えれば、「覚える⇒思い出す」というサイクルの中に「考える」という要素が少なければ勉強は面白くなくなっていくとすぐにわかるのに、日々の宿題演習ではついつい「覚える⇒思い出す」が中心になってしまいがちです。
たしかに勉強の中に「覚える」という要素は必要で、もちろん重要なものですが、「考える」という要素が少ないと、高学年の学習に対応できないのです。
あることを覚えているかどうかで対応できるのは、学年で言えば5年生まで。6年生になり、実際に入試問題などを解く段階になると、あることを知っているかということはあまり問われず、どう考えればこの問題を解決できそうか、というように「考える力」を試されます。これが「実戦力」と呼ばれるものです。初めて見る問題に対応できない、復習テストなら点が取れるのに、大きなテストになると点が取れないのは、この「実戦力」がついていないことが原因の1つです。
6年になるときに急に勉強のしかたを大きく転換するのは無理がありますから、5年生までに「考える」ということに比重をおいた学習スタイルに変えておかなければなりません。
これが私の言う「学習の質を変える」ということです。
ヒントは「復習」です。宿題に取りかかる前に「復習」をすること。なぜこの問題は、こうやって考えるんだっけ?と考え、思い出すこと。これを行なうのに効果的なのが、「家庭内ミニ授業」です。お母さん、お父さんが生徒となって、先生に扮したお子さんから授業の内容を教えてもらう。教えるうちに理解が深まることもありますし、意外に理解ができていなかったことにお子さん自身が気づくこともあるでしょう。それが大切なのです。
この時間が家庭学習にあるかないかで、6年生での学習効果は大きく変わります。
お子さんの宿題、ちょっと気をつけてみてあげてください。
セミナー参加者のみなさま、ありがとうございました!