カテゴリー: 小6向けアドバイス Page 8 of 13
運動会の代休で、月曜にお子さんが家にいるご家庭も多いのではないでしょうか。6月は祝日がないので、こういった休日の使い方は重要です。
入試の過去問題の演習が多くの塾で始まりました。この過去問演習は去年までよりも早く始まりました。「11月からで十分です」と言っていた塾でもすでに始まっています。
志望校別日曜特訓で該当コースがある場合は、その授業で過去問題の抜粋を学習することになりますが、多くは自宅学習に任されています。該当コースが無い志望校である場合は、すべてが家庭学習でこなしていくことになります。
入試過去問演習の意味
入試過去問題を解く目的は下記の3つあります。
① 問題の傾向(問題レベル・量・問いの形式・その学校特有の言い回し)になれる。
② 時間配分を練習する。
③ 得点力をつける。
①②については、私のブログだけではなくいろいろなところに書かれていますから、今回は③についてお話ししていきます。
小6の2学期以降の学習においては、学力を高めることは当然必要なのですが、それ以上に得点力を高めていくことに力点を置いてほしいのです。学力が高まれば当然得点が高くなると思われがちなのですが、実はそうではないことが多いのです。
「学力はあるのに得点が稼げない」そういう子が多いのです。
・計算ミスをする
・題意の読み違いをする
・使う知識を取り違える
・問題の解きはじめを間違える
・解答の書き方を間違える
・普段だったら思い出せる知識が思い出せない
得点力が発揮できない理由は一杯あります。そして生徒一人一人大きく違います。一人一人に対して、正解にたどり着けない原因を1つずつ取り除いていってあげることが大切なのです。また、その作業はその子にとっては、「あっ、これがこのように出来るだけで合格点にこんなに近づくことができるんだ」という、成功の予感を高める効果もあります。
これまでも、塾の模試の直しをやってきたと思いますが、この過去問題の直しはより効果が大きいのです。ですから、やりっ放しは是非避けてくださいね。〇×をつけて得点を出しただけで終わり。これでは効果は見込めません。
では、どのようにしていくのかを私たちがやっていることを例にしながらお話ししていきます。それは、大雑把に言うと、×の中に潜む正解への糸口を見つけて、それを子どもに体感させることです。そういうときに私が子どもに発する台詞はこのようになります。
「お~い、ここまで考えられてるじゃないか、ここで〇〇をするだけで正解にたどり着けたじゃないか、もったいないと思わないか!」
「いい線いってたね。そこまで考えたんだったら書くのを面倒がらずにこれとこれをメモしていればその先に気付いたはずだよな。惜しい!」
このような、“褒めながら叱る”台詞です。
時には、
「おおっ、3ヶ月前まで覚えていた陽樹と陰樹の区別を忘れちゃったんだね。〇〇のテキストの〇ページを今から3分で覚え直そう。」と言うこともあります。
子どもに、惜しかった、悔しいをいう気持ちを起こさせるとともに、ほんのちょっと注意をしたり努力をするだけで得点を揚げることが出来そうだと感じさせることが大切だと思っています。
「40点じゃ合格点に全然届いてないじゃないの、どうするの!」という台詞は子どもに絶望感を与えるだけですからやめてください。実は、今40点でも、やりようによっては4ヶ月後には合格最低ラインの65点にまで上げることは可能ですし、そのような経験を毎年積み重ねています。入試直前まで、一段一段階段を上っていかせる感覚を大切にして、お子さんに接してください。
首都圏の受験本番が明日というこの時期に、「中学受験が終わったら」という
失礼なタイトルをお許しください。
中学受験は、将来の子供の学力アップを目指す1つの過程でしかありませんね。
お子さんが受験勉強を始めた頃にお考えになったことを是非もう一度思い出してください。
・もし受験が成功したら、より高いレベルで学習を続ける事が出来る。
・もし失敗しても、受験勉強で培った知識や学習方法は今後の学習に生かすことが出来る。
このようにお考えになった方が一番多いのではないでしょうか。
私自身も同じように考えています。ですから、
「合格出来たら遊べるから」とか「入試までは頑張りなさい」という励ましは避けていただきたいのです。
あと数日で結果が出ます。お子さんの学力が入試本番で発揮されることを、
私たちが直接教えた子供たちもそうでない子供たちに対しても、心から祈っています。
1 志望校に合格したら
これまでの努力を大いにねぎらってあげてください。
これまでの努力が合格を引き寄せたことを大いに褒めてあげて欲しいのです。
それと共に、これからも、がんばれる子を続けて欲しいことははっきりと伝えておいてください。
一週間程度は、お子さんの気の向くまま過ごさせてあげてください。
一週間もすると、受験勉強をがんばってきた子供たちは、閑を持てあますようになります。
その段階で、「中学になったらね・・・」という話をしてあげて欲しいのです。
その内容は、
・これまでは合格点(7割)を目指す勉強だったけれど、今後は100点満点を目指す学習に変わる事。
・確実で丁寧な学習が必要になること。
・学校内で上位を目指すこと。
・一生学習は続く事。
この4点を話してあげて欲しいのです。
「入学式までに、数学と英語の1学期分は、予習しておく!」
とお子さんから言い始めてくれることが理想です。
2 第二第三志望校に進学する事になった場合。
「良い学校に行けることになって良かったね。」と必ず言って上げてください。
ある中学校での調査では、第一志望で入学した生徒と第二志望以下で仕方なく入学した生徒では、
入学後の成績の伸びが明らかに異なっていたそうです。
第一志望で入学した生徒の方が良く伸びていたのです。
「こんな学校に来るはずじゃ無かったんだ」という想いで入学式を迎えてしまうと、
その後の中学生活が楽しくありませんし、学業にも身が入りません。
友達関係の面でも愛校心の面でも良くありませんね。
お子さんが、「よ~し、この学校で頑張るぞ!」と気持ちを切り替えることが出来るようにして上げてください。
「あなたの努力が足りなかったから、こんな学校に行く羽目になったのよ。」
という言い方は、これから六年間通う学校への不信感を高めてしまいます。
3 公立の中学に行くことになった場合。
大学への道筋は人によって様々。その過程でしっかりと勉強していくことが大切であることを
話してあげてください。
結果を客観的に受け止めること、これから始まる中学生活に前向きに取り組む気持ちにさせることを
意識してください。
中学受験の学習をして公立中に進む場合は、受験勉強の貯金がありますから
数ヶ月から半年間ぐらいは学校の勉強が易しく感じられます。
これが落とし穴になります。
易しいと感じる内容でも、「より確実に」「より速く」なるように努力を続ける事を話してあげてください。
入試本番まで100日を切りました。
日々の宿題をこなしながら、志望校の過去問を解かれていることと思います。
制限時間を決めて、集中して解くのは当然必要な事なのですが、
解き終わった後の復習のやり方次第で効果は何倍も異なってきます。
大切なのは、
(1) 学校毎の問題の癖を体感する。
(2) 失点した問題が、正解すべき問題だったのか、捨て問だったのかの判断をする。
正解すべき問題だったのに間違った場合は、なぜ間違ったのか、なぜ解き方を思いつかなかったのかを分析。
(3) 入試本番で類似問題が出たときに、どんな行動(作業)をするのかのイメージトレーニング。
この3つになります。
一番いけないのは、やりっ放しです。得点を計算して終わりというのでは、あまり効果はありません。
(1)について
入試問題は中学校毎にいろいろと癖があります。
・易しい問題から順序よく並んでいる学校。
・難しい問題が途中にある学校。
・難しい問題でも、小問1が易しく作られている学校。
・方程式的な解法が有効な問題を必ず出してくる学校。
・解き方が、読んだだけでは分からずに、少し作業を始めないと分からない学校。
・問題文が長い学校。
・問題文が不明瞭で、出題者の意図をとらえにくい学校。
・問題数が多すぎる学校。
・高校入試のお下がり問題を出しがちな学校。
・指導要領を平気ではみ出す学校。
・ありきたりの問題集の中にあるような問題を徹底的に避ける学校。
このような癖は数年続く事が多く、学校によっては10年近くも継続していることがあります。
このような、学校毎の分析は大手塾の志望校別日曜特訓を担当されている先生方は
良く研究されています。
志望校別特訓は、その合格者数の増減が経営に直結しますから、
どこの大手塾もエース級の先生グループが担当します。
志望校別日曜特訓で先生が話される内容を参考にしながら、
上記の項目を子供なりに知っておくことが大切なのです。
そして、体感した感触を言葉にして表現させておくことが、お子さんの行動に結びつく事になります。
(2)について。
やるべき問題か捨てるべき問題かは、一概に決めるわけに行きません。
・安全に合格するために合格者平均点を目指すのか、ギリギリ合格を目指すのか。
・その学校に頻出の問題タイプかそうで無いのか。
・子供の得意・不得意。
上記のような要素によって大きく変わってくるものです。
信頼できる第三者が関わっている場合は、その方に分析を任すののも一法です。
そうした方がいらっしゃらない場合は、塾の先生に相談しながら、親御さんとお子さんとで
判断していくことになります。
(3)について。
分からない問題に当たったときに、例えば、
・「読み落としが無いかどうか」と念じながら読み返してみる。
・「まだ使っていない数字や条件はないか」と念じながら読み返してみる。
・「どんな図を描けば解けそうか」と考えてみる。
時には、
・とりあえず、それは飛ばして先に進む。
これが大切な子供もいます。
ああでもないこうでもないと考え込んで、立ち止まってしまうタイプのお子さんは意外に多いのです。
このように、やるべき事がたくさんありますから、
解いて・答え合わせをして・間違いを確認して・解き直しをして、というように、
1教科50分のテストでも、合計2時間あまりの時間がかかることになります。
まだ、本格的に過去問を始めていない方は、そろそろ本腰を入れられることをお勧めします。
2学期の授業が始まりました。
小6は入試直前のまとめ授業に入りますし、小5は入試の直結する重要単元が目白押しです。
小4は、文章題が本格的に始まります。
(小6)
日曜日の学校対策が本格的に始まります。また、週日の平常授業はいつも通り続いていきます。
そして塾によっては、土曜日にも授業が追加されています。
カリキュラムが、2つも3つも同時並行で進んでいくことも珍しくありません。
この時期に大切な事は、優先順位です。
一般的に、第一優先は日曜日の志望校別、二番目は平常授業になります。
第三番目の授業カリキュラムは、無視する方が良いこともあります。
例えば、ある塾の土曜特訓については、
「授業には参加するが、授業内で完結させて家庭学習に持ち込まない」、
または
「授業を欠席することに躊躇しない」。
このような思い切った方法を使う方が良いお子さんも多いのです。
この時期に大切な事は、
1 知識の総まとめをする。
理科や社会の知識は、それ自体が得点源です。
また、考え方や解き方も大切な知識です。
そして、何度も何度もチェックを繰り返すこと。
人間は忘れる動物です。
忘れてしまう事に嫌悪感や劣等感を持つ必要はさらさらありません。
「忘れる以上のスピードで覚え直していけば良いんだ。」と思ってくださいね。
これを、私は「知識のモグラたたき」と呼んでいます。
2 入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。
これまでに何度も書いてきましたが、小6の一学期までは、
「こんな知識を持っていますか?」
「こんな解き方を知っていますか?」という設問です。
ところが、入試問題は、
「この問題を解くための知識や考え方を見つけることが出来ますか?」
という問いが中心になります。上位校ならばなおさらです。
そのような問題では、
・文章が長い。
・「何が分かっていて何を聞かれているのか」(仮定と結論)を見つけ出す事が難しくなるように、
問題文にノイズ(わかりにくい言い回しや、必要で無い情報)が含まれている事が多い。
このような特徴があります。
一瞥してすぐに問題を解き始めるという習慣が身についてしまっているお子さんが、
「テストの時には間違ってしまったのに、家に帰ってきて解けばすらすらと解けてしまう」
という症状を示す理由がここにあります。
1の「知識の総まとめをする。」はスピーディーに。
2の「入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。」場合は、
じっくりと落ち着いて。
勉強のやり方や気持ちの作り方を変化させる必要があります。
この時期には、「じっくり落ち着いて」が出来ないお子さんが多いのです。
志望校の過去問演習がそろそろ始まります。
これを「じっくり落ち着いて」勉強する材料として上手に利用してあげてください。
小5と小4については次回以降に書いて行きます。
今回も講師の先生方のミーティングの話題です。
これまでのミーティングの話題の中心は、家庭学習において子供自身の頭を活発に
働かせる方法でした。
ですから、このブログも家庭学習のやり方ややらせ方についての話題が中心です。
各塾で夏期講習を受けるに当たっての注意点の情報交換をやっていたときのことです。
ある講師がこんな事を言い始めました。
(A講師)「夏期講習、特に小6のように長時間の講習の場合、塾の授業と家庭学習を
セットで考えないと片手落ちになるね。
授業を積極的に聞く事から始めないと、いくら家庭学習をちゃんとやっても効果は半減する。」
確かに正論です。
(私)「授業を積極的に聞くというのは、どういうこと?」
(A講師)「通常、小6の夏期講習は、(問題演習)その後(解説)を繰り返すものだけれど
授業の受け方って言われるとどうしても解説授業の聴き方を中心にとらえてしまうよね。
でも、実は、解説授業の前の問題演習の時のマインドがその後の解説授業の価値を
決めていると言えないかな。」
(私)「問題演習を真剣にやることで、解説授業が良く理解できるということかな。」
(A講師)「もちろんそれも大きな要素。それ以外には問題を考えるときの注意力や
気付きの問題も大きい。」
(私)「もっと、詳しく説明してもらえる?」
(A講師)「基礎力はあるのに応用問題が解けない、とか、初見の問題に弱い子って多いよね。
でも、そういう子のほとんどは理解する力はちゃんと持っている。
そして、理解できる子の中に応用できること出来ない子、初見の問題に強い子と弱い子がいる。
その違いは、問題を解くときの思い入れの強さにあるように思う。
なんとしても解いてみせるぞ!と思いながら解く子と何となく解いている子では、
問題文から抽出できる情報の質や、自分の記憶の中から探り出してくる知識の妥当性に
大きな差が生じるよね。」
(私)「確かにそうだよね。全く同感!」
(A講師)「真剣に問題に取り組んだ後に聞く解説授業の価値は、
いい加減に解いた後に聞く授業の価値よりも格段に高いと言えると思う。
ああ~、そこに気付けば良かったのか!
とか、僕もまんざらじゃないなとか、
授業を聞きながら納得感が高まったり自己肯定感が高まったりする。
同じ解説授業を聞いていても、その授業の価値は問題演習時の真剣さや
マインドにかかっている。」
(私)「演習の後で解説があるからと思っていい加減に解いていると、
手痛いしっぺ返しがあるということだね。
全く同感。そのことを子供たちにわからせたいね。」
A講師の話を聞きながら、昔教えたある女の子のことを思い出していました。
お母さんとの面談では、いつも同じ話です。
「うちの子家で本当に勉強しないんです。9時にはベッドに入ってしまいます。
これで良いんでしょうか。」
でも、成績はいつもトップクラスです。
ある授業で、秘密がわかりました。
ちょっと難しめの問題の解説をしているときです。その子が、
「先生、その問題は2回目でしょ。」
「そうだよ、良く覚えていたね。」
「だって、3ヶ月前に203の教室の黒板の右の方に書いて説明してくれた問題だったもん。
自分では解けなかったんだけれど、あのときの説明を聞いてよく分かったんだから。」
驚きました。確かに3ヶ月前に説明した問題です。
言われてみれば、あの授業は日曜特訓でしたから、203室です。
黒板の右に書いて、スペースが足りなくなって左に書いてあった前の問題解説を
消したような気がします。
恐るべき集中力です。
その子は、当然のごとく桜蔭中学に合格しました。
今日6月6日は、金星の太陽面通過でした。でも、残念ながら朝からずっと曇りでした。見たかったな。
次は、8月14日の「金星食」(金星が月に隠される)を楽しみにしておきます。
大手塾を始めいろいろな塾で明日からGW特訓が開講されます。
その塾に通っている限り、なかなか不参加を申し出ることは出来ないものです。
塾に言われるままいつの間にか参加することになった人も多いのではないでしょうか。
どうせ参加するのであれば、効果が出るように上手に利用してくださいね。
どの塾でもこの時期のオプション授業は、「早い時期に入試問題に慣れる」事を目的にしています。
ある塾では、「入試問題を解かせて、君たちにショックを与えることが目的だ。」との説明すらありました。
これはあながち嘘では無いのです。
普段、細かくパターン分けされたカリキュラムに従って授業を受けている最中ですから、
入試問題のような、いろいろなパターンを組み合わせた問題や、無闇に文章量が多い問題は
学習していません。
いきなり、明日からのGWの特訓でそのような難問や複雑な問題に挑戦することになります。
いつも自信たっぷりに学習している人にとってはこれまでの学習を見直す良いチャンスです。
ところが、毎週のかりカリキュラムをこなす事でいっぱいいっぱいの多くの子供たちの場合は、
自信喪失を招く危険を考えておく必要があります。
GWの特訓に参加する子供たちには、
1 難しい問題が出来なくても大丈夫。
2 複雑な問題の解説を最後まで粘り強く聞くための訓練だと分からせておく。
そして、授業の後の復習はやらせすぎないようにお願いします。
授業内容を完璧に復習させようとすると膨大な時間がかかります。
2~3問だけをピックアップして、解く過程を丁寧に振り返るような復習をお願いします。
せいぜい1時間が目安です。
GWの特訓に参加しない人たちにとっては、弱点対策のチャンスです。
一番苦手な単元を中心に復習してください。
前々回の講師ミーティング内容の続編です。
ある講師が話し始めました。
S講師:「塾のテキストは、入試問題に対応していない。」
塾のテキストは、順次改訂されていますからにわかには信じられませんでした。
私:「でも、塾のテキストは改訂され続けているんじゃないの?」
S講師:「確かに改訂はされています。でも、今の塾テキストは2~5年前の入試問題を基準に
作られていますね。
それを抜粋したり、改題したりまたはそのまま。
ところがそれでは今の傾向に合わない、間に合わないことがはっきりしたんです。」
私:「確かにそうだよね。」
S講師:「S塾にしてもN塾にしてもY塾にしても、小6の一学期までのテキストの文章レベルと、
実際の入試問題の文章レベルに大幅な乖離があるんです。
なぜなんだろうとずっと考えていたんだけれど、テキスト改訂のサイクルを考えてなるほどと
感じたんだよね。」
私:「Y塾が、小4生のテキストから順次改訂を始めているね。確かに難しくなっている。
塾のテキストは改訂を重ねる度に難しくなるね。」
S講師:「私みたいに、もう何十年もこの仕事をしていると、どうしても昔の入試問題や昔教えた
子供の学力を思い出してしまうんだけれど、どう考えても昔の方が易しい。素材文も設問も。」
T講師:「そうだよね。算数でもそれは感じる。」
私:「それって?」
T講師:「算数の難問がどのようにして生み出されているのかをいつも考えながら入試問題を
見ているんだけれど、今年の入試問題を解いていてもやはりそうなんです。
大学入試問題のアレンジが多いなと感じているんです。
また、最難関校が作り上げたいて大学入試問題からのアレンジ問題やオリジナルな難問が、
数年後には中堅校に改題されて出題されている。
大学入試問題それも東大の入試問題を毎年解いていると、これは中学入試問題に改題されそうだなと
感じることがあって、そのような問題の多くは中学入試問題に降りてきている。」
私:「前の話に戻るけれど、そのようなテキストに載っていない最新の入試問題への対応は、
9月からの5ヶ月では無理だということ?」
S講師:「記述が多い、文章が難しい学校ではとても無理だということがはっきり分かったと
言っていいでしょう。」
私:「なぜ無理なの?」
S講師:「子供たちの日常から大きくかけ離れた心理変化や状況把握が要求されているから、
慣れるのにどうしても時間が掛かる。そのような文章に関わっている時間が必要。」
T講師:「算数でも、塾の平常授業の指導がパターン把握を中心に行われている場合は、
試行錯誤の大切さを子供自身が感じるには期間が必要だと思います。
算数は、頭にしまっている解き方を当てはめれば一発で答えが出るものだと思い込んでいる子もいます。
成績上位生の中にもいっぱいいますから。」
私:「ということは、平常授業で単元を進めながらも、志望校の対策を並行してやっていかないと
間に合わないと。」
S講師:「そうそう。実体験が出来ないならば、文章を読んで疑似体験を多く積ませることが大切。
特に、自分の言葉でまとめさせる記述が多い学校については、書く練習も大切。」
T講師:「御三家などの試行錯誤が必要な学校については、どうしても時間が欲しい。
塾内のクラスアップだけに小6の1学期を使い切ってしまうと、後が苦しいですね。
今年の今年の○○君は、受かったから良かったんですが、私の実感ではギリギリ間に合った状態ですね。」
私:「なるほど、今年の開成の算数や桜蔭の国語などは、早めの対策がどうしても
必要だということですね。
ところで、Y塾のテキスト改訂の目的の1つが、入試に必要な全単元の基礎は小5で終わらせる
事のようだけれど、このことは上位校受験には大きなメリットになりそうだね。」
ST講師「それは当然ですね。」