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小5小4で成績が中位 大切な子供のマインド

今回は、困っている子供たちの気持ちつまりマインドに注目してみます。

成績が停滞している子供たちの多くは、学習すべき内容を整理してあげると
どんどんと成績を上げていきます。
ところが、それだけでは全く効果が無い子供が常に一定の割合で存在します。
それは、子供の気持ちでが原因です。そして子供の学習に向かう意欲を妨げるマインドの
原因を作っているのは、子供本人では無く周りであることが多いのです。

1 やらされ感一杯の嫌々学習
 家に帰ってくれば、「早く勉強をしなさい!」。
 学校の勉強が終わったと思ったら、「早く塾の勉強をしなさい!」。
 塾の勉強をしていると、「いつまで計算をやっているの、そんなにだらだらやっていると、
文章題ができないでしょ。それに、社会や理科の暗記はどうするの。
それに、国語の宿題もあるでしょ!」
 このようなお母さんの台詞が日常化することが、こどもの「やらされ感」を高めてしまいます。
 これをやっても、その後あれもやらないといけないし、それが終わってもあれもやらないと、・・・・。
永久に終わらないような呆然とした気持ちになってしまいます。

・あれもこれも一度に話さない。今やるべきことを最大2つだけに絞って話す。
そして1つが終わったら、「頑張ったね。」と認めて労ってあげる。

2 親子喧嘩
 お子さんのいい加減さを見つけたときに、ここぞとばかりに攻め立てていませんか。
 「何この片付け方は!このプリンとはこっちに仕舞うように言ったでしょ。
この前もそうだったでしょ。
いつもいつもそうなんだから。
そんなことをやっているから、成績が上がらないんでしょ。
お母さんが見張っていないとちゃんとできないの!
この前もそうだったでしょ。
目を離したすきに、プリンとを引き出しに突っ込んだでしょ。
そんなずるい事をやってて良いと思っているの!・・・・・」

・叱ったりたしなめたりするときは短く、そして威厳を持って。
 過去の話を持ち出して長々と説教を続けるのは最悪です。
 30秒を越える説教の内容は聞いていません。
そして長くなればなるほど、内容よりもお母さんの苛立ちや怒りだけを感じとるようになります。
それがお母さんへの反抗心のもとになります。
 また、お母さんの説教や激怒ですら、首をすくめて時間が経つのを待っていればよいことを
学習してしまいます。
そうなると、お母さんとしてはより強い言葉、より子供の気持ちにぐさりと突き刺さる言葉を
使わざるをえなくなってしまいます。
そのうちに、「うるさい!くそばばー!」という信じられない反撃を食らうことは、
珍しいことではありません。

3 こどもの自己肯定感をどんどん壊してしまう台詞
 「なぜ、こんなのが分からないの!」
 「この前もやったのに、もう忘れたの!なぜ、そんなに早く忘れるの!」
 
 こんな台詞を使う塾の講師や家庭教師は、子供を教えるべきではないと思っています。
そんな簡単なことをなぜ納得させられなかったのか、
なぜそんなに早く忘れてしまうような理解しか与えることができなかったのか。
自己反省の材料にすべきことを、子供への責任転嫁をしているわけですから。

そして、親御さんもこのような言葉を使わないでほしいのです。
このような言葉を、ダブルバインドといいます。
「なぜ、こんなのがわからないのか」と聞かれて、
「あまりよく聞いていなかったから。」と言えば叱られて、
「頭がよくないから」と言えば、「言い訳ばかりをして」と叱られます。
どのような返答をしても、責められることがわかっている質問を、ダブルバインドの質問と言います。
このような質問を投げ掛けられた子供は、反抗心を沈殿させながら、鈍感の鎧を身に付けるしか、
なすすべがありません。

 中学受験の過程で、家族のコミュニケーションが深まりお互いを信頼しあえるようになることが
最良です。
ところが、中学受験のために親子げんかが増え、関係がぎくしゃくしてしまっている例を
無数に見てきました。

親子関係が子供のマインドを決定してしています。和やかな明るい親子関係を心がけてください。

 
 

小5小4で成績が中位 大切な学習内容

今回は、「小5小4で成績が中位、そして上がらずに困っている人」のついて、学習内容を書いて行きます。

家庭学習の優先順位は、普通
1 宿題
2 授業の復習
3 暗記
であることが多いのですが、これが実は間違いなのです。
理想は、
1 授業の復習
2 暗記
3 宿題
です。

復習主義の(今のほとんどの進学塾です)塾の宿題は、授業中にやった問題の類題が宿題に出ます。
授業が終わってまだあまり時間が経っていませんから、
「あの公式で解ける問題だ」とか、
「あれは割り算で解けた問題だ」
とかの記憶が鮮明です。
そのために、なぜその式を使うと答えになるのか、なぜ割り算なのかを理解しなくても、
正解が出てしまうことになります。
入試に向かう最終段階では、「問題を読んだ瞬間に使うべき公式が分かる」状態にする
必要があるのですが、そうなるためには問題パターンの本質をとらえる必要があります。
問題パターンの本質をとらえるには、「何が分かって」、「何を出す問題か」、
そしてその過程で「どんな考え方が必要なのか」を理解して、自分なりに分類していくことです。

この本質をとらえる時間を省略して、いくら類題演習を繰り返しても学力が向上しないのです。
近頃の御相談の大多数を占めるのは、
「頑張って勉強しているのに成績が上がらない」
「復習テストは出来るのに、総合テストになると点数が取れない」なのですが、
この原因が、本質を理解する事を省略しているからなのです。

塾の授業から帰ってきてすぐに、授業の再現をしてもらいたいのです。
原則は頭の中で行う作業です。
ノートとテキストを出して、問題文を読み、ノートの書き込みを見て、先生からどんな説明を聞き、
その時にどのように感じて、どのように納得をしたか、
これを思い返す時間が大切なのです。
これが授業の復習です。

始めは、お子さんを先生役に、親御様が生徒役になって、
「先生、この問題を教えて!」(親御様)
「エッヘン、それじゃあ良く聞いておくんだよ。これはね・・・・」(お子様)
このような場面を作っていただくのは、すごく効果的です。
ユーモアにあふれていますし和やかです。
 このような数問の復習によって、理解の幹ができあがります。
その後に宿題をやって欲しいのです。
 「こんなにたくさん宿題があるな!急がないと間に合わないぞ!早く終わらせなくっちゃ!
」このような心の動きが日常化してしまうことが一番危険な事なのです。

暗記を二番目に挙げました。これは理科や社会の学習についてです。
理科や社会の宿題は、ほとんど問題を解く事です。でも、問題を解く事は、
「必要な知識を覚えたかどうかの確認」にしか過ぎません。
特に小4小5段階では問題が単純な分、なおさらです。
まだ、覚えてもいないのに、確認をしても意味がありませんね。

必ず、覚えてから確認をするように学習の順序を修正してください。
そして、覚える前に、説明部分をしっかりと読む事も忘れずに実行して欲しいのです。
重要語句だけの暗記は、知識の離れ小島を増やすだけで、本格的な問題には対応できません。
文脈の中で理解して覚えた知識がテストで使える知識になります。

細かく見ていけば、お子さん一人一人、修正すべき箇所は異なります。
でも、上記の2つに注目していただくだけでも大きな効果がありますのでお試しください。

小6 入試5ヶ月前からの学習方法

2学期の授業が始まりました。
小6は入試直前のまとめ授業に入りますし、小5は入試の直結する重要単元が目白押しです。
小4は、文章題が本格的に始まります。

(小6)
 日曜日の学校対策が本格的に始まります。また、週日の平常授業はいつも通り続いていきます。
そして塾によっては、土曜日にも授業が追加されています。
カリキュラムが、2つも3つも同時並行で進んでいくことも珍しくありません。
この時期に大切な事は、優先順位です。
一般的に、第一優先は日曜日の志望校別、二番目は平常授業になります。
第三番目の授業カリキュラムは、無視する方が良いこともあります。
例えば、ある塾の土曜特訓については、
「授業には参加するが、授業内で完結させて家庭学習に持ち込まない」、
または
「授業を欠席することに躊躇しない」。
このような思い切った方法を使う方が良いお子さんも多いのです。

この時期に大切な事は、
1 知識の総まとめをする。
理科や社会の知識は、それ自体が得点源です。
また、考え方や解き方も大切な知識です。
そして、何度も何度もチェックを繰り返すこと。
人間は忘れる動物です。
忘れてしまう事に嫌悪感や劣等感を持つ必要はさらさらありません。
「忘れる以上のスピードで覚え直していけば良いんだ。」と思ってくださいね。
これを、私は「知識のモグラたたき」と呼んでいます。

2 入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。
これまでに何度も書いてきましたが、小6の一学期までは、
「こんな知識を持っていますか?」
「こんな解き方を知っていますか?」という設問です。
ところが、入試問題は、
「この問題を解くための知識や考え方を見つけることが出来ますか?」
という問いが中心になります。上位校ならばなおさらです。

そのような問題では、
・文章が長い。
・「何が分かっていて何を聞かれているのか」(仮定と結論)を見つけ出す事が難しくなるように、
問題文にノイズ(わかりにくい言い回しや、必要で無い情報)が含まれている事が多い。
このような特徴があります。
一瞥してすぐに問題を解き始めるという習慣が身についてしまっているお子さんが、
「テストの時には間違ってしまったのに、家に帰ってきて解けばすらすらと解けてしまう」
という症状を示す理由がここにあります。

1の「知識の総まとめをする。」はスピーディーに。
2の「入試問題に添った長い文章の問題を落ち着いて読み解く訓練をする。」場合は、
じっくりと落ち着いて。
勉強のやり方や気持ちの作り方を変化させる必要があります。
この時期には、「じっくり落ち着いて」が出来ないお子さんが多いのです。

志望校の過去問演習がそろそろ始まります。
これを「じっくり落ち着いて」勉強する材料として上手に利用してあげてください。

小5と小4については次回以降に書いて行きます。

明日から、小6の連休特訓に参加する人たちへ

大手塾を始めいろいろな塾で明日からGW特訓が開講されます。
その塾に通っている限り、なかなか不参加を申し出ることは出来ないものです。
塾に言われるままいつの間にか参加することになった人も多いのではないでしょうか。
 どうせ参加するのであれば、効果が出るように上手に利用してくださいね。

 どの塾でもこの時期のオプション授業は、「早い時期に入試問題に慣れる」事を目的にしています。
ある塾では、「入試問題を解かせて、君たちにショックを与えることが目的だ。」との説明すらありました。
これはあながち嘘では無いのです。

 普段、細かくパターン分けされたカリキュラムに従って授業を受けている最中ですから、
入試問題のような、いろいろなパターンを組み合わせた問題や、無闇に文章量が多い問題は
学習していません。
いきなり、明日からのGWの特訓でそのような難問や複雑な問題に挑戦することになります。
いつも自信たっぷりに学習している人にとってはこれまでの学習を見直す良いチャンスです。
ところが、毎週のかりカリキュラムをこなす事でいっぱいいっぱいの多くの子供たちの場合は、
自信喪失を招く危険を考えておく必要があります。

GWの特訓に参加する子供たちには、
1 難しい問題が出来なくても大丈夫。
2 複雑な問題の解説を最後まで粘り強く聞くための訓練だと分からせておく。

そして、授業の後の復習はやらせすぎないようにお願いします。
授業内容を完璧に復習させようとすると膨大な時間がかかります。
2~3問だけをピックアップして、解く過程を丁寧に振り返るような復習をお願いします。
せいぜい1時間が目安です。

GWの特訓に参加しない人たちにとっては、弱点対策のチャンスです。
一番苦手な単元を中心に復習してください。

お母さんの不安神経症が、不合格を呼び込む。

 今年は、例年以上に、
「これらでも家庭教師をお願いできますか。」
というメールが多いようです。
 もう、私どもの講師はこの時期は満杯ですから、お受けするわけにはいかないのですが、
アドバイスだけは差し上げるようにしています。その際に気がかりなことが多々あります。
 「うちの子は、速さの問題が弱い」、「食塩水の問題も弱い」、「複雑な計算問題もよく間違える」、
「国語の記述も弱い」、「社会もどの単元か分からないが、弱い単元がありそう」。
このような弱点に関することがお一人のお母さんの口からどんどん発せられます。
そして、「もうどうして良いか分からなくって。」と仰るのです。

 あれもダメ、これも出来ない。そしてあれをやればこれをやる時間がない。
 お母さんの頭の中が大混乱に陥っています。
もし、このようなお母さんが、子供に向かって、
「あなたは苦手なこれをやらないといけないでしょ!。あれもそうだし。それが終わったらあっちもでしょ!」
と仰っていたとすると、それは不合格に向けてまっしぐらに突き進んでいることになります。

今必要な事は、「何が足りないか」では無くて、「合格するには何が必要なのか」を見極めることです。
今の合格可能性が40%ぐらいだとすると、あと20点積み増すことが出来ればほぼ合格ラインに届きます。その20点を何で上乗せするのかの作戦を一緒に考えていただく事なのです。
4教科全体を見渡すと、お子さんの弱点は誰にでも無数にあるものなのです。
無数にある弱点を抱えながらも、志望校にもうちょっとの段階に来ているのです。
入試までの限られた時間に、全ての弱点の克服を目指すべきでは無いのです。
弱点のどの部分を解消することが、プラス20点につながるのかを最優先で考えてあげてください。

 大人でもそうですが、子供ならなおさら苦手なことを続けていると、子持ちが滅入ってきます。
自信を失いがちになります。
時間に余裕があるときは、強い意志さえあれば、継続することで、いずれかに時期に
克服させることが出来ます。
でもこの時期に弱点克服を中心に据えると、自信喪失のまっただ中で入試本番を迎えさせることにも
なりかねません。

志望校の入試に必要な内容の中で、得意な部分の勉強と、不得手な部分の勉強の
バランスを上手に考えてあげて欲しいのです。
得意な単元をより確実にすることでも点数はアップさせることが出来ます。
子供にとっては、その学習の方が快適なはずなのです。
 「完璧で無くても、合格点を超えれば合格」という、当然のことをもう一度確認していただけるように
お願いします。

 合格出来る学力を持ちながら、不合格になる典型的な例を挙げておきます。
実際にあった例です。

入試2ヶ月前に、子供が速さの問題が苦手であることが分かりました。
お母さんは、速さの基本が分かっていないと感じて、旅人算の基本をやらせようとしました。
だいたいは解けるのですが、時々間違えます。
それも時速・分速・秒速の換算で間違えることに気がつきました。

「うちの子は、時間のことが分かっていないのでは?」と疑問に思ったお母さんは、
計算問題集から時間計算を100問選んでやらせようとしました。
そうこうしているうちに、「もしかしたら、割合や比の文章題も本当はよく分かっていないのでは?」
と感じ始め増した。倍数算や倍数変化算で、時々間違えます。
「これは、割合や比の基本からやり直さないと大変なことになる。」
と思ったお母さんは、小5のテキストから復習すべき問題をピックアップしてやらせる事にしました。

そうしているうちに、合否判定テストの最後で、理科と社会の点数が良くありません。
せっかく暗記した知識を忘れ始めていると感じました。
理科と社会の全単元の覚え直しを子供に命じましたが、遅々として進みません。
お母さんが横につきっきりになってやってみることにしました。
毎日1時2時までの勉強になってしまいました。
「なぜ、こんなに速く忘れるの!」
「これは忘れちゃダメでしょ!」
こんな状態が、入試前日まで続いたそうです。

このような状態にならないように、くれぐれもお願いします。

小6は得点力を高める勉強をする時期

 学習の目標は、時期によって変わります。
このような話をすると怪訝そうな顔をされる方が多いのですが、本当なのです。
学習にか関わって、それを職業としている人ですらわかっていないことですから、
親ごさまが知っておられなくても当然なのです。

ところで、学力があれば高得点がとれるのでしょうか。
学力と得点力は大筋では比例していますが、その直線は非常に幅が広いのです。
ノート1ページにそのグラフを書こうとすれば、幅が10センチにもなるような線を
引くことになってしまうものだとお考えください。

中学受験の学習のほとんどは、「どこまで難しいことを理解できるか」、
「どこまで複雑なことを理解できるか」という競争にうち勝つことです。
その過程で多くの特殊な考え方や解き方を学習します。
それが高学歴な親御様でもなかなか教えることができない理由です。
小6の1学期までは、この力業に邁進する必要がありますが、入試直前の数ヶ月間は、
丁寧に整地していくことが大切です。
つるはしで耕した土地も、最後にはスコップや軍手をした手で整地していく必要があるのと
同じなのです。

丁寧な整地作業に一番大切なことは、「文章を丁寧に読むこと」です。
何だ、そんなことか、と思われるかもしれませんが、読むことの効果を考えていただければ
お分かりいただけると思います。

この時期には、私の主催する家庭教師グループである名門指導会に
多くの体験授業の申し込みがあります。
私も体験授業にうかがうことがあるのですが、点数が取れない原因のほとんどが、
「雑な読み方」なのです。

「問題文をもう一度、はじめから終わりまで音読してごらん。」
「問題文の中で、まだ使っていない数字はないかな?」
このような声かけだけで、
 「あっ!」
と正解を出してくれることが多いのです。

そして、「雑な読み方」をしている子供の多くの場合は、問題用紙に残った式や図、計算が
乱雑になっています。

以前にも、ブログに書きましたが、入試問題は模試に比べて文字数が多いのです。
模擬試験は、「あなたはこれを知っていますか?」という趣旨で作られる問題が
多いのですが、上位校の入試問題は、
「あなたはこの解き方を見つけることが出来ますか?」
という趣旨で多くの問題が作られています。
当然、条件の数が多く文章量が増えていくわけです。

受験直前期の学習は、量より質。
これまでがんばってきて身につけた知識を総動員して、丁寧に解いていく練習を
重ねてください。

この丁寧な学習の過程で、「あれ!これ覚えるのを忘れていた。」
と気がついたものは、すぐにやってくださいね。

過去問の得点はどのぐらい必要か

「カリテは良いのだが、模試になるととれない。しかも、過去問を解いてみると5割弱しかとれない。
これで大丈夫か。」
このような相談メールをいただきました。
カリテと模試の関係については、これまでに何度か書いていますので、そちらを参考にしていたださい。
ところが、「過去問でどの程度の点数が必要か」については、これまで一切触れたことがありませんでした。

まず、過去問を解くときに注意いただきたいのは、
1 時間厳守
2 机の上には、問題と解答用紙しか置かない。
3 採点は厳しめにする。
この3点です。
出来るだけ本番の試験に近い環境を作ることで、真剣に解いてもらうためです。

制限時間が来たら、ピタッと終了。その後採点になりますが、出来れば親御さんの方でお願いします。

必要な点数です。
第1志望校(挑戦校)の場合
今(10月段階)で、1教科あたり合格最低ラインの点数からマイナス15~20点が一つの目処になります。
この学校を本当に受けてよいのかどうかの判断材料としての目処です。
合格最低ラインが100点満点で65点だとすると、45点以上は欲しいというわけです。
入試が近づけば(12月には)、50点以上はとっておきたいところです。
 
第2志望の場合
今(10月段階)で、ほぼ合格最低ラインの点数が取れているようならば理想的です。
入試が近づけば(12月には)、合格最低ラインの点数プラス10点以上です。

 採点を親御様の方で、と申し上げたのは、採点をした後の学習のためです。
採点をしながら、次のことに注意をはらってください。
・読みやすい字で(採点者が不快にならないような字で)書いてあるか。
・問題用紙に残ったメモ書きや計算の跡、テスト中に引いた傍線や下線が乱雑で無いかどうか。

そして、採点後、もう少しで得点出来るはずであった問題をお子さんと一緒に探して欲しいのです。
「しまった、最後の引き算で間違ってた!」
「正三角形の条件を見落としてた!」
このような、「うまくいけばとれるはずの点数」を合算して、
受験者平均点を超えることをお子さんに確認させて欲しいのです。

この作業が、合格へのモチベーションを高めますし、注意力の大切さを感じさせることが出来る
貴重なチャンスです。

志望校の出題傾向 対策方法(2)

前回は、特徴のある問題を出す学校の傾向対策をお話ししました。
今回は、一般的な問題を出す学校の対策です。

各塾が設置している、「志望校別日曜特訓」はほとんどが最上位校です。
ところが中堅校を始めそれ以外の大多数の学校は、設置はされていません。

人数分布はどうでしょうか。
「志望校別日曜特訓」で名前が付いている学校の偏差値はほぼ60以上、
その対象人数は約30%です。
残り70%子供たちが志望する学校対策は日曜特訓ではなされないことになります。

ある塾の日曜特訓では、偏差値45から55あたりの学校の過去問を週替わりで行っています。
今週は本郷中、来週は頌栄、再来週は高輪中という具合にです。
これでは傾向対策ではなく、演習授業です。
 演習授業にも大切な意味はありますが、その学校に向けて、あと5点あと10点を積み上げる
対策にはなりません。

このような学校の対策に必要なことは

1 時間内に解ききれる量かどうか。

2 単元の偏りは無いかどうか。

3 入試問題が難しくなりつつあるのかそうでないのか。

この3つを判断することです。

問題量が多い学校を受ける場合は、問題文を読んでから解き始めるまでのタイムラグを
短くする事が大切になります。
問題文を読んだ瞬間に、これは○○算だ、とか□□ 図を書いて解く問題だということが
わかる必要があります。
これには、基本問題集の繰り返し学習が必要になります。こ
れらの学校の問題には、奇問や珍問がほとんど無く、良質の入試問題集にこぞって出ているような
問題ばかりですから、なおさらです。

この繰り返し学習に使う問題集は、塾毎に異なります。

四谷大塚(早稲アカ)では、「4科のまとめ」の算数が有効です。
問題数が少なく厳選されていますし、単元の偏りもほとんどありません。

日能研の算数では、実は「夏期講習テキスト」の復習が一番有効です。

サピックスには、レベルによっては残念ながらこのような中堅校用のまとまったテキストがありません。
その場合は、東京出版の「ステップアップ演習」や「プラスワン問題集」、が有効となります。

 でも、スピードアップばかりに気をとられているわけにはいきません。
普段のテストで、多量の問題数に鍛えられてきた進学塾の子供たちのほとんどに必要なのは、
じっくり丁寧に解く事なのです。
普段の塾の試験は、本番の問題よりもずっと多いのです。
「そんなに焦らなくても時間はたっぷりある」事を経験するために過去問を解いて欲しいと思います。

 

小6 志望校の出題傾向 対策方法(1)

□志望校の過去問はいつからやれば良いのか?□
良く聞かれることです。
ところが、お子さんの今の学力(志望校に対しての)や問題傾向によって大きく異なってきますから、
一般論としてはお答えしにくいのです。

今回は、その学校特有の問題を出す学校の場合を書いていきましょう。

該当校は、開成・麻布・武蔵・桜蔭・女子学院・雙葉・渋幕・渋渋・海城・成城学園・学習院女子
などになります。
記述問題が多い、一問あたりの文字数が多い、試行錯誤を要求する、初見の問題が多い
という特徴のある学校や、計算が面倒、易しい問題と難しい問題のレベル差が大きいという
特徴の学校もあります。

このような学校を目指している場合には、早めの対策が重要になります。
9月中には、4教科の1年分をやっておくべきでしょう。今学習している内容やレベルと
どのように違うのかを体感するためです。

また、このような学校は、各塾で行われる志望校別日曜特訓の該当校になっている事が多いのです。
これらの学校の対策は、該当校の過去問を解くことだけで済ませることは出来ません。
そこで頼りになるのが、志望校別日曜特訓です。
全国の中学校で出題された類似問題をピックアップし、分析を行って、解き方や教え方を研究して、
対策問題のプリントは作られます。
講座によっては、10年~20年間ものストックがあるものもあります。

講師の側から考えてみると、この講座の担当になるということは、その塾の中で力量があると
認められたことになります。
進学塾が一番力を注いでいる講座を利用しないわけにはいきません。

さて、日曜特訓の授業の形態はどの塾でもほとんど同じです。
15分から20分かけて数問の演習をして、その解説に入ります。
それを数回繰り返して授業が終了します。
その授業の復習が2学期の学習の第1優先になるのですが、
復習のやり方が下手な子供が多いのです。

・過去数年間に出題された問題と同じ問題は出題されない。

・過去数年間に出題された問題と同じレベルの問題が出題される。

・過去数年間に出題された問題と同じ頭の使い方をする問題が出題される。

この3つをよく覚えておいてください。

復習する際に大切なことは、どのようにして解答の糸口を見つけたのかを確認することです。
算数なら、「状況図を書いた」のか、「ダイヤグラムを書いた」のか、「とりあえず数個をやってみた」のか・・・・・。それをやっているうちに何に気がついたのかに思いをはせることが大切なのです。
その問題そのものの解き方はあまり大切ではないのです。
上記の学校では、必ず初見の問題が出題されます。これまで解いたことがないような、
どの受験問題集にも掲載されていないようなものです。
このような問題が解けるかどうかは、その時に何に気がつくかにかかっています。
必要なことに気がつきやすい作業や頭の使い方を訓練してほしいのです。
 
もう一つあります。その学校特有の言い回しです。これらの学校の問題は、
これまで学習を進めてきた塾テキストの問題に比べて、格段に文字数が多いのです。
しかも必要な条件が順序よく並んでいるとは限りません。
大切なことは意外なところに隠れていること、に気づくことも大切な勉強です。
 
このような頭の使い方を学習させるために親御さんが協力できることは意外に少ないのです。
問題をお子さんと一緒に解き、お子さんが気づく前にその何倍ものことに気付くことができる
知識と経験が必要なことですから、難しいのです。
これまで、繰り返し学習で点数をあげてきたお子さまの場合は、その成功体験が邪魔をしてしまうことが
多いものですから要注意です。

もし、お子さんの得点力が志望校ギリギリか、または少しだけ下である場合は、
この際、本当に力がある第3者の協力をお考えください。
私たちも、時間の許す限り協力させていただきたいと考えています。

夏期講習を効果的に利用する(小6編)

あと2週間もすると、各塾で夏期講習が始まります。小6生にとっては確かに天王山となります。
その理由は、
第1に授業時間数が多いことです。学期期間中の3ヶ月分に相当する長さです。

第2には、「初めての総復習」をすることです。学力をつける時期が終了し、得点力をつける時期に
    はいったことになります。
第3には、受験生がそろそろ本気モードに入る時期だからです。受験本番まであと半年となって、
    ラストスパートをかけ始める時期になってきたと言えます。

□復習のサイクルを作る□
学期期間中は、1週間に1単元ですから、何曜日にどの教科の復習をするかを決めておくことが
出来ました。
ところが夏期講習ではそうはいきません。
ほぼ3日で1単元が終了するスピードでカリキュラムが進んでいきます。
日能研のように「算・算・算・理・理」という日と「国・国・国・社・社」という日が交互に場合には、
2日で一巡してしまうことになります。
「復習はその日のうちに」を原則にしてください。
日能研の多くの教室のように、授業が早朝から始まる(例年は全教室共通に午後の授業でした)場合は、
なおさらです。
サピックスは、例年通り午後の授業になっていますから、その日の夜に勉強する内容と翌日の午前中に
勉強する内容を分けて考えておく必要があります。
どちらにしても、子供にとっては、克己心が必要な作業となりますから、親御様の協力と励ましを
お願いします。

□効率的な取捨選択が必要□

算数では
日能研の夏期講習の算数テキストは、各レベル毎に難し過ぎず易し過ぎず、使いやすいレベルで
作られていますが、それでも全部を復習しよう、宿題を全部やろうとすると、それぞれがいい加減に
なってしまいます。完全に理解出来ている問題を繰り返し解く事は、この時期には必要ありません。
また、難しすぎて、先生の説明すらよく分からなかった問題を解くことも無駄です。
もうちょっとだけ努力すると自分のものにする事が出来ると感じる問題に集中することです。
そのためには、授業中の聴き方を自分なりに工夫する必要があります。
それが難しい場合は、お子さんの状況を正確に判断出来る第3者が必要になることもあります。

サピックスの場合は、難しめです。
「いくら御三家志望だからと言っても、この時期にこれは難しすぎだろう」
と思える問題もあります。そのような問題は勇気を持って捨てることです。
授業中に扱われた問題の中から、
「もうちょっとだけ努力すると自分のものにする事が出来ると感じる問題」に注力して欲しいのです。

国語では
当然、国語も宿題が出ます。日能研生もサピックス生もこなしきることができる生徒は少ないものです。
「この量はちょっと無理」と予想が出来る場合は、記述問題だけを真剣にやっておくことをお勧めします。

理科では
知識単元では、「文章の中で重要事項を覚える」ようにしてください。
今後受ける合否判定テストなどでは、これまで以上に文章量が多い問題が増えてきます。
せっかく重要語句を覚えていたのに、問いの趣旨が理解出来ずに答えることが出来ないお子さんが
多いのです。それは、「重要語句だけの断片的な暗記」になっているからです。
計算単元では、それぞれの項目での代表的な問題の解き方を練習してください。
何をどのように書いて行くのかが大切です。
理科の計算問題のほとんどは、「比例と反比例」です。
この関係が一目瞭然に分かるような書き方が一番のポイントです。

社会では
重要語句を覚える事だけではなくて、統計資料を使った問題を丁寧に復習する時間を作ってください。
既にある程度、暗記学習が進んでいるお子さんの場合は、統計資料の問題だけに絞っても
構わないでしょう。
近年の入試問題や各塾のテストでは、統計資料が多岐にわたり難しくなってきました。
それは、公的機関が発表している資料がHPから簡単にダウンロードできるようになったことと
関係があります。
10年前であれば、こんな詳細な資料を問題に利用することは、とても無理だったはずなのです。
この面においては、どの塾もテキストでは対応し切れていません。
にも関わらず、塾の模擬試験では入試並みの、場合によってはそれ以上の資料を基に作問されています。

□子供の気持ちのメンテナンス□
親御様は、
「他の子供はもっとたくさん勉強しているんじゃないか。」
「もっと頑張らせないと差をつけられてしまうんじゃないか」
という気持ちになりがちなのですが、それはよくありません。
子供が、気持ち良く・元気いっぱい勉強できれば、みんなが頑張る夏期講習期間中ですら、
成績を伸ばしていくことが十分可能です。
お子さんが、気持ちよく前向きに勉強できるように、「褒める」・「ねぎらう」声かけをお願いします。
また、「これだけ頑張っていれば、夏休み明けのテストは良いことがありそうね。」というような、
近い未来の小さな成功を予感させる言葉掛けもお願いしておきます。

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