今年は、例年以上に、
「これらでも家庭教師をお願いできますか。」
というメールが多いようです。
 もう、私どもの講師はこの時期は満杯ですから、お受けするわけにはいかないのですが、
アドバイスだけは差し上げるようにしています。その際に気がかりなことが多々あります。
 「うちの子は、速さの問題が弱い」、「食塩水の問題も弱い」、「複雑な計算問題もよく間違える」、
「国語の記述も弱い」、「社会もどの単元か分からないが、弱い単元がありそう」。
このような弱点に関することがお一人のお母さんの口からどんどん発せられます。
そして、「もうどうして良いか分からなくって。」と仰るのです。

 あれもダメ、これも出来ない。そしてあれをやればこれをやる時間がない。
 お母さんの頭の中が大混乱に陥っています。
もし、このようなお母さんが、子供に向かって、
「あなたは苦手なこれをやらないといけないでしょ!。あれもそうだし。それが終わったらあっちもでしょ!」
と仰っていたとすると、それは不合格に向けてまっしぐらに突き進んでいることになります。

今必要な事は、「何が足りないか」では無くて、「合格するには何が必要なのか」を見極めることです。
今の合格可能性が40%ぐらいだとすると、あと20点積み増すことが出来ればほぼ合格ラインに届きます。その20点を何で上乗せするのかの作戦を一緒に考えていただく事なのです。
4教科全体を見渡すと、お子さんの弱点は誰にでも無数にあるものなのです。
無数にある弱点を抱えながらも、志望校にもうちょっとの段階に来ているのです。
入試までの限られた時間に、全ての弱点の克服を目指すべきでは無いのです。
弱点のどの部分を解消することが、プラス20点につながるのかを最優先で考えてあげてください。

 大人でもそうですが、子供ならなおさら苦手なことを続けていると、子持ちが滅入ってきます。
自信を失いがちになります。
時間に余裕があるときは、強い意志さえあれば、継続することで、いずれかに時期に
克服させることが出来ます。
でもこの時期に弱点克服を中心に据えると、自信喪失のまっただ中で入試本番を迎えさせることにも
なりかねません。

志望校の入試に必要な内容の中で、得意な部分の勉強と、不得手な部分の勉強の
バランスを上手に考えてあげて欲しいのです。
得意な単元をより確実にすることでも点数はアップさせることが出来ます。
子供にとっては、その学習の方が快適なはずなのです。
 「完璧で無くても、合格点を超えれば合格」という、当然のことをもう一度確認していただけるように
お願いします。

 合格出来る学力を持ちながら、不合格になる典型的な例を挙げておきます。
実際にあった例です。

入試2ヶ月前に、子供が速さの問題が苦手であることが分かりました。
お母さんは、速さの基本が分かっていないと感じて、旅人算の基本をやらせようとしました。
だいたいは解けるのですが、時々間違えます。
それも時速・分速・秒速の換算で間違えることに気がつきました。

「うちの子は、時間のことが分かっていないのでは?」と疑問に思ったお母さんは、
計算問題集から時間計算を100問選んでやらせようとしました。
そうこうしているうちに、「もしかしたら、割合や比の文章題も本当はよく分かっていないのでは?」
と感じ始め増した。倍数算や倍数変化算で、時々間違えます。
「これは、割合や比の基本からやり直さないと大変なことになる。」
と思ったお母さんは、小5のテキストから復習すべき問題をピックアップしてやらせる事にしました。

そうしているうちに、合否判定テストの最後で、理科と社会の点数が良くありません。
せっかく暗記した知識を忘れ始めていると感じました。
理科と社会の全単元の覚え直しを子供に命じましたが、遅々として進みません。
お母さんが横につきっきりになってやってみることにしました。
毎日1時2時までの勉強になってしまいました。
「なぜ、こんなに速く忘れるの!」
「これは忘れちゃダメでしょ!」
こんな状態が、入試前日まで続いたそうです。

このような状態にならないように、くれぐれもお願いします。