投稿者: 西村 則康 Page 33 of 60
本日朝、フジテレビの情報番組「ノンストップ!」に出演させていただきました。
ふだんいろいろな場所でお伝えしていることですが、勉強は机の上のことだけではありません。たとえばご両親が商店をなさっている家の子どもは算数、特に割合の単元の「割増・割引」がよくできるとか、そういったことはまさに日常が学びの場になっているいい例です。
しかし、中学受験を目指してお子さんを進学塾に入塾させると、日常生活の中での学習などさせている時間はないと感じるくらいの宿題量に驚くことになります。
ふだんいろいろな場所でお伝えしていることですが、勉強は机の上のことだけではありません。たとえばご両親が商店をなさっている家の子どもは算数、特に割合の単元の「割増・割引」がよくできるとか、そういったことはまさに日常が学びの場になっているいい例です。
しかし、中学受験を目指してお子さんを進学塾に入塾させると、日常生活の中での学習などさせている時間はないと感じるくらいの宿題量に驚くことになります。
なぜお子さんはやる気をなくしているのでしょう?
理由はさまざまですが、中学受験を目指す子の場合、はじめからやる気がなかった、勉強が嫌いだったということはほとんどありません。
むしろ逆ではないでしょうか。
しかも、やる気がないといっても、平均的な小学生とくらべれば、勉強時間も長いはずです。
やる気がないから成績が悪いのではなく、頑張っても思うように結果が出ないからモチベーションが下がっているのです。
■成績が上がらない本当の原因
本当はどうして成績が悪いのか。本当の原因は何なのか。この問いの答えを子どものやる気に求める講師には、相談しても何ら解決しないでしょう。残念ながらスキルや経験が足りないということです。
たとえば過去に身に付けておくべき知識がないとか、計算力に問題があるとか、その小さな原因が授業の理解を少しずつ妨げ、結果として大きな差がついてしまうことはよくあります。
この成績不振の原因を解決すれば、成績はよくなります。逆に、原因を解決することができなければ、その場はわかったように感じられても、またどこかでつまずきます。
近年の中学入試、とくに難関校の入試では、「この問題の解き方を知っていますか」というような問題は出題されません。「あなたはこの問題の解き方を見つけることができますか」といった出題なのです。つまり、持っている知識をもとに、組み合わせて、複雑に作りこまれた問題で「何がわかっているのか」を整理し、「あと、何がわかれば問題を解決するための筋道が見えやすくなるか」を、自分の力で考えることが必要なのです。
「年齢算の解き方は線分図」と覚えるような勉強を、私は「暗記型学習」と呼んでいます。この学習を小さい頃から続けていると、小学校高学年で成績が下がります。勉強自体が楽しくないというのも、この勉強法の特徴です。 覚えることが主体で、「考える」という要素が少ないからです。
「二人の年齢を見やすく比べられたら」⇒「線分図なら比べやすい」
だから線分図なのです。今考えたいテーマから考えて、使うべき図は何か。その知識が必要なのです。知識というよりも、反射という感じで一瞬で「比べる」⇒「線分図」が出てくるまでになったら、それが本物の知識で「打てば響く」というのはこういう状態です。
入試の過去問題の演習が多くの塾で始まりました。この過去問演習は去年までよりも早く始まりました。「11月からで十分です」と言っていた塾でもすでに始まっています。
志望校別日曜特訓で該当コースがある場合は、その授業で過去問題の抜粋を学習することになりますが、多くは自宅学習に任されています。該当コースが無い志望校である場合は、すべてが家庭学習でこなしていくことになります。
入試過去問演習の意味
入試過去問題を解く目的は下記の3つあります。
① 問題の傾向(問題レベル・量・問いの形式・その学校特有の言い回し)になれる。
② 時間配分を練習する。
③ 得点力をつける。
①②については、私のブログだけではなくいろいろなところに書かれていますから、今回は③についてお話ししていきます。
小6の2学期以降の学習においては、学力を高めることは当然必要なのですが、それ以上に得点力を高めていくことに力点を置いてほしいのです。学力が高まれば当然得点が高くなると思われがちなのですが、実はそうではないことが多いのです。
「学力はあるのに得点が稼げない」そういう子が多いのです。
・計算ミスをする
・題意の読み違いをする
・使う知識を取り違える
・問題の解きはじめを間違える
・解答の書き方を間違える
・普段だったら思い出せる知識が思い出せない
得点力が発揮できない理由は一杯あります。そして生徒一人一人大きく違います。一人一人に対して、正解にたどり着けない原因を1つずつ取り除いていってあげることが大切なのです。また、その作業はその子にとっては、「あっ、これがこのように出来るだけで合格点にこんなに近づくことができるんだ」という、成功の予感を高める効果もあります。
これまでも、塾の模試の直しをやってきたと思いますが、この過去問題の直しはより効果が大きいのです。ですから、やりっ放しは是非避けてくださいね。〇×をつけて得点を出しただけで終わり。これでは効果は見込めません。
では、どのようにしていくのかを私たちがやっていることを例にしながらお話ししていきます。それは、大雑把に言うと、×の中に潜む正解への糸口を見つけて、それを子どもに体感させることです。そういうときに私が子どもに発する台詞はこのようになります。
「お~い、ここまで考えられてるじゃないか、ここで〇〇をするだけで正解にたどり着けたじゃないか、もったいないと思わないか!」
「いい線いってたね。そこまで考えたんだったら書くのを面倒がらずにこれとこれをメモしていればその先に気付いたはずだよな。惜しい!」
このような、“褒めながら叱る”台詞です。
時には、
「おおっ、3ヶ月前まで覚えていた陽樹と陰樹の区別を忘れちゃったんだね。〇〇のテキストの〇ページを今から3分で覚え直そう。」と言うこともあります。
子どもに、惜しかった、悔しいをいう気持ちを起こさせるとともに、ほんのちょっと注意をしたり努力をするだけで得点を揚げることが出来そうだと感じさせることが大切だと思っています。
「40点じゃ合格点に全然届いてないじゃないの、どうするの!」という台詞は子どもに絶望感を与えるだけですからやめてください。実は、今40点でも、やりようによっては4ヶ月後には合格最低ラインの65点にまで上げることは可能ですし、そのような経験を毎年積み重ねています。入試直前まで、一段一段階段を上っていかせる感覚を大切にして、お子さんに接してください。
夏休みが終わって、2学期の授業が始まって1週間がたとうとしています。この1・2週間は生活を切り替える期間です。就寝時間と起床時間の見直しから始めてください。起きてすぐの漢字練習や計算練習が夏休みの間に中断した人は、再開させてくださいね。
ところで、今週号の週刊ポストに取材記事が掲載されました。「宿題代行は悪なのか 識者8人と業者が誌上対決」という部分です。8人の識者の一人として意見を述べさせてもらっています。宿題代行がそんなに繁盛しているとは、ちょっとびっくりです。
取材の中で話した内容が、簡潔な表現で忠実に反映されていて、雑誌記者さんの文章力ってすごいなと感じています。取材があった2日後には既に記事に仕上がっていましたからそのスピード感にも驚いています。
私がお話しした内容は、「宿題には、教育的な側面と学習的な側面があること。」「自由研究などの、時間がかかる宿題をやり遂げることで、スケジュール管理やプロセス管理の練習ができること。」です。それ以外に、の話をしたのですが、その部分はスペースの都合と記事の趣旨の面から省かれたようです。今回は、記者さんにも話した受験に役立つ自由研究のお話しを書いていきたいと思います。夏休みが終わってしまいましたから、来年の夏休みの対策だと思ってください。
例えば、子どもが社会を苦手にしているとしましょう。しかもちゃんと勉強しているにも関わらずにです。その原因の多くは、ストーリーの中で理解したり覚えたりが出来ていないことなのです。地理だと「地名と地図上の場所がつながっていない」とか、歴史だと「出来事の順序や関係が理解されていない」のです。このような症状を一気に解決することが可能なのです。
地理が弱い子の場合
模造紙大の大きな紙に、日本地図を書いて、山脈・平野・川・盆地・都市名・・・を書いていきます。周りの空きスペースに、特徴がある地方の産業を簡潔にまとめていきます。参考書にある写真や絵をカラーコピーして貼っていけば、見栄えも良くなりますし記憶の基点にもなります。
歴史が弱い子の場合
障子紙を幅30cmぐらいに切ってつなげていきます。5mぐらいの長さにしておいて、それに年表を書いていきます。項目は、年号、出来事、備考です。出来事は政治的なことと文化的なことに分ければより効果的です。それが書き上がれば、和装具店に行って巻紙の芯や表具を買ってきて、秘伝書の巻紙イメージで完成させます。こうすることで、出来事の順序や関係が自然に身につきます。
それ以外にも、いろいろあります。
語彙力を増やしたい場合は、
「僕が作ったクロスワードパズル初級編・中級編・上級編」などはどうでしょうか。
自分でクロスワードを作るには、言葉の意味を正しく知っていなければ不可能です。
作ったクロスワードパズルに、お父さん、お母さんに挑戦してもらうのです。
これなら作るほうも力が入るでしょう。
理科好きな子どもの場合は、
「重曹だけで作ったチョウまずいドーナッツ」はどうでしょう。
小麦粉・水(牛乳)・バニラエッセンス・砂糖をドーナッツの生地に練っておいて、ベーキングパウダーの代わりに重曹を使います。重曹を入れていない物・重曹を小さじ一杯入れた物・2杯入れた物の3種類を作ります。これを揚げるのです。重曹が入ってない物は全く膨らまずに不味そうです。重曹を2杯入れた物はふっくらと膨らんでいかにもおいしそうです。そこで、それぞれをちょっとだけかじってみましょう。そうするとおいしそうに見えたドーナッツは苦くて食べられたものじゃありません。(たくさんは食べさせないでください)不味そうに見えたかちかちのドーナッツは、クッキーのようで以外においしい。
そんな体験をしておいて、ベーキングパウダーの成分表を見ます。そうすると、重曹・酸化剤・・・と書いてあります。重曹(炭酸水素ナトリウム)が加熱されて、二酸化炭素を発生して炭酸ナトリウムというアルカリ性の強い物になって苦くなりますから、それを中和するための酸化剤です。
だったら、重曹を入れるときの酸化剤として、お酢だったら、レモンの絞り汁だったら・・・・と実験の幅が広がります。これは、中学受験にとって大切な化学範囲の有効な経験になります。
このように、一見受験勉強にとって邪魔に見える夏の自由研究も、工夫次第で受験に有効な学習に変えることが出来ます。
これを読んでいただいた方は、これをプリントアウトしていただいて、来年の夏までとっておいていただければと思います。