今回も講師の先生方のミーティングの話題です。
これまでのミーティングの話題の中心は、家庭学習において子供自身の頭を活発に
働かせる方法でした。
ですから、このブログも家庭学習のやり方ややらせ方についての話題が中心です。
各塾で夏期講習を受けるに当たっての注意点の情報交換をやっていたときのことです。
ある講師がこんな事を言い始めました。
(A講師)「夏期講習、特に小6のように長時間の講習の場合、塾の授業と家庭学習を
セットで考えないと片手落ちになるね。
授業を積極的に聞く事から始めないと、いくら家庭学習をちゃんとやっても効果は半減する。」
確かに正論です。
(私)「授業を積極的に聞くというのは、どういうこと?」
(A講師)「通常、小6の夏期講習は、(問題演習)その後(解説)を繰り返すものだけれど
授業の受け方って言われるとどうしても解説授業の聴き方を中心にとらえてしまうよね。
でも、実は、解説授業の前の問題演習の時のマインドがその後の解説授業の価値を
決めていると言えないかな。」
(私)「問題演習を真剣にやることで、解説授業が良く理解できるということかな。」
(A講師)「もちろんそれも大きな要素。それ以外には問題を考えるときの注意力や
気付きの問題も大きい。」
(私)「もっと、詳しく説明してもらえる?」
(A講師)「基礎力はあるのに応用問題が解けない、とか、初見の問題に弱い子って多いよね。
でも、そういう子のほとんどは理解する力はちゃんと持っている。
そして、理解できる子の中に応用できること出来ない子、初見の問題に強い子と弱い子がいる。
その違いは、問題を解くときの思い入れの強さにあるように思う。
なんとしても解いてみせるぞ!と思いながら解く子と何となく解いている子では、
問題文から抽出できる情報の質や、自分の記憶の中から探り出してくる知識の妥当性に
大きな差が生じるよね。」
(私)「確かにそうだよね。全く同感!」
(A講師)「真剣に問題に取り組んだ後に聞く解説授業の価値は、
いい加減に解いた後に聞く授業の価値よりも格段に高いと言えると思う。
ああ~、そこに気付けば良かったのか!
とか、僕もまんざらじゃないなとか、
授業を聞きながら納得感が高まったり自己肯定感が高まったりする。
同じ解説授業を聞いていても、その授業の価値は問題演習時の真剣さや
マインドにかかっている。」
(私)「演習の後で解説があるからと思っていい加減に解いていると、
手痛いしっぺ返しがあるということだね。
全く同感。そのことを子供たちにわからせたいね。」
A講師の話を聞きながら、昔教えたある女の子のことを思い出していました。
お母さんとの面談では、いつも同じ話です。
「うちの子家で本当に勉強しないんです。9時にはベッドに入ってしまいます。
これで良いんでしょうか。」
でも、成績はいつもトップクラスです。
ある授業で、秘密がわかりました。
ちょっと難しめの問題の解説をしているときです。その子が、
「先生、その問題は2回目でしょ。」
「そうだよ、良く覚えていたね。」
「だって、3ヶ月前に203の教室の黒板の右の方に書いて説明してくれた問題だったもん。
自分では解けなかったんだけれど、あのときの説明を聞いてよく分かったんだから。」
驚きました。確かに3ヶ月前に説明した問題です。
言われてみれば、あの授業は日曜特訓でしたから、203室です。
黒板の右に書いて、スペースが足りなくなって左に書いてあった前の問題解説を
消したような気がします。
恐るべき集中力です。
その子は、当然のごとく桜蔭中学に合格しました。
今日6月6日は、金星の太陽面通過でした。でも、残念ながら朝からずっと曇りでした。見たかったな。
次は、8月14日の「金星食」(金星が月に隠される)を楽しみにしておきます。