新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。
春休みまでの小学校の休校が終わり、春休みになりましたが、4月の新学期から新しいクラスメイトと勉強ができるというお子さんの希望は、地域によっては叶えられないかもしれません。
塾の授業やイベントも不安定で、模試などが中止になったケースも多いようですね。
お子さんが家で過ごす時間が長くなり、それはそれで親としては大変だと思います。
なにせエネルギーを持て余している子どもたち、家に閉じ込めておくのもかわいそうですが、今は我慢のときでしょうか。
■ 2020年の入試問題をあらためて見返してみると…
2020年の入試問題を分析し、就任相談員を務めさせていただいている、中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」と私が主宰する「名門指導会」共催のセミナーを2月に行いました。
その場でもお伝えしたのですが、昨年から感じていた「ある変化」が今年の入試問題からも感じられたことが印象的でした。
私としては、とても楽しみな変化です。
それはどのような変化かというと「ただ知っているだけ」という知識や「とにかく丸覚え」といった勉強方法では通用しない入試問題が増えているのです。
手っ取り早く「解き方」を覚えて鮮やかに解く、そんなスタンスが通用しない出題とも言えるでしょう。
それよりも、愚直に手を動かして調べ上げられるかを試すような出題が、増えているように思うのです。
■ 「あたふた学習」に落ち込んでしまう子どもたち
昨年末に出させていただいた著書「難関校合格のすごい勉強習慣」にも書かせていただいたのですが、「たくさん勉強しているのに成績が伸びない」「ミスばかりするので点数が上がらない」といったご相談をくださるご家庭のお子さんを見ていると「あたふた学習」になっている子が多いように思います。
中学受験を目指して塾通いを始めると、とにかく毎日毎週「やるべきこと」が多い。
授業のスピードは速く、それについていくだけで精一杯ですが、宿題も多いので塾から帰ったら復習もそぞろに宿題にとりかかります。
新しく習った事柄を、じゅうぶん「納得レベル」まで落とし込むことができていない状態で、とにかく「宿題を終わらせる」ことを目標のようにして演習する。
そうなると、習った解き方をあてはめて「作業」することが勉強のようになってしまうのです。
このような状態になったお子さんを「アタフタさん」と私は読んでいます。
このアタフタさんこそ、上記の「たくさん勉強しているのに成績が伸びない」「ミスばかりするので点数が上がらない」ことに悩むお子さんたちです。
■ ピンチを「じっくりと身につける勉強をする」チャンスに
長い休校期間がまだまだ続くかもしれず、親子ともにぐったりというご家庭も多いと思います。
特に共働きのご家庭は大変でしょう。
しかし、このピンチをなんとかチャンスに変えられないでしょうか。
大手進学塾の中には、休講期間中の授業の代替として映像授業を提供しているところがありました。
もちろんふだんの授業違って「一方通行」なので、さぞかし分かりづらかったのかと思っていたのですが、意外にも「普段授業よりわかりやすかった」という声もあったのです。
その理由は「ふだんの授業は速すぎてノートがとれないけど、映像授業は途中で「止められる」ので、しっかりノートをとってじっくり考えて理解できた、というものでした。
休講中の家庭学習を成功させるヒントは、このあたりにあったのかもしれません。
塾が休みになったことで「教えてもらえる機会が少なくなった」と考えると、あれもこれもと焦る気持ちになりがちですが、そうではなく「じっくり自分の頭で考える機会ができた」と考えると、やるべきことが見えてきたのではないでしょうか。
しばらく不安で不安定な毎日が続きますね。
学校や塾も、今後も急に休みになることなどがあるかと思います。
そんなとき、じっくり考えて理解する本来の勉強のスタイルを意識してみてはいかがでしょうか。
多くの学校の最新の入試問題が求めているのも、そういう力なのですから。