前回、応用問題を解くのに必要なのが、「根拠の無い自信」だというお話をしました。

この自信は、自己肯定感を基盤にして現れる物だと考えています。

 初見の難しそうな問題を前にして頑張れるか頑張れないかは

、「あきらめずに解かなければ」という義務感よりは、「解けそうだ」いう成功の予感や、

解けた後の快感の予感のほうが何倍も影響が大きいのです。
 

今、「やる気スイッチ」という言葉が一般化しつつあります。

一般化とは、世の中の多くの人たちが同意し、

それが有ることを前提にした会話が成り立つ状態なのですが、

どうもそんな都合の良い「やる気スイッチ」は無いようなのです。
 

一昨日と昨日にかけて、ある企業からの依頼を受けて、

子育てセミナーをやらせていただきました。

その事前アンケートにも何件か

「子どものやる気スイッチを入れるにはどうしたら良いでしょうか?」がありました。

やる気を起こさせる魔法の言葉やテキストがあるようにとらえられつつあるように思います。

この子育てセミナーでお話ししたのは、

「やる気スイッチは無い。でもやる気階段がある。」という内容です。


偏差値を20上げるとか、塾のクラスを3つあげるというずっと先の目標に対して、

「志望校に合格するには、偏差値を20上げる必要がある。」とか

「クラスを3段階上げるべきだ。」

という子どもの義務感に訴えかける話をしても効果がありません。

子どもは、途方もない努力を要求されているように感じて、一歩が踏み出せないのです。
 

子どもは(大人もそうなのですが)”ちょっとがんばれば何とかなりそう”と感じることが出来るときにこそ、

すぐに行動に移すことが出来ます。

「成功の予感」を感じることで、目標に向かう課程すらが楽しそうに感じられているからです。
 

大目標に対して何何すべき!と説諭するのではなく、

低い階段をいくつか作ってあげることが大切なのです。

子どもにとって「ちょっとがんばれば何とかなりそう」と思える高さにです。

そして、

「〇〇をやってみない。あなたは頑張り屋さんだから出来るとお母さんは思うわ。

それが出来たら〇〇のような良いことがありそうね。」

という言い方をしてあげてほしいのです。

途中に挟み込む、

「あなたは頑張り屋さんだから」とか

「あなたは頭のよい子だから」とか

「あなたは優しい子だから」が大切です。

その一言が子どもに、

「自分はお母さん(家族)にとってかけがえのない存在なんだ」と感じさせてくれます。

それとともに、ちょっとがんばってみようかなという気持ちを起こさせてくれます。
 

そして、階段を一歩上がろうとする意欲や努力に対してねぎらったり褒めたりしてあげてほしいのです。

その後、少しでも効果が現れれば、

「さすが我が子だ!」と言うようなオーバーアクションの褒め方をしてあげてください。


このように

階段作り

成功の予感を持たせる声かけ

ねぎらい

褒める 認証

これを繰り返してほしいのです。

階段を一歩一歩上がることの快感を覚えた子どもは、自然にちょっと高い階段に挑戦したくなります。

「根拠の無い自信」の強弱は、自分で設定できる階段の高さに関係します。
 

次回は、この「やる気階段」を作っていく上での

良い話し方悪い話し方について書いていこうと思っています。