集団塾から受けるプレッシャーにはいくつかの種類があります。

1 「こんな問題ができないのか」というような罵倒の言葉を聞いて、萎縮してしまう。

2 こなしきれないと感じるほどの多量の宿題を前に、ストレスを高めてしまう。

3 演習時間もテスト時間も短く、いつもあたふたしてしまう。

4 成績が上がらないのは、自分の努力が足りないからだという自己反省の袋小路に落ち込む。

などなどです。

1 「こんな問題ができないのか」というような罵倒の言葉を聞いて、萎縮してしまう。

「こんな問題ができないのか!」「前にも説明したろ!何を聞いていたんだ!」

罵倒の言葉を聞いてなお、やる気を奮い起こせる子供はほとんどいないと思います。

でも、このような言葉を不用意に投げつける講師はまだまだ多いようです。

 

ある、体育会系の講師が多い大手塾の小5生のお母さんから相談を受けました。

「クラスの宿題をやってこなかった生徒が叱られているのを聞いて、怖がってしまっているのです。

また、質問を持って行った友達が「こんな問題ができないのか」と怒鳴られるのを聞いてしまって、質問できなくなってしまった。」

自分が宿題をしていかなかったわけではないのに、クラスメイトが怒鳴りつけられるのを聞かされるのは、いい迷惑ですね。

その講師にとっては、一人の生徒をスケープゴートにすることで、自分の強制力を高める効果があったことでしょう。

このような事例は、特定の塾に頻出する傾向があります。また、同じ塾でも校舎によって大きく異なるのです。

どうやら、その塾全般に蔓延する講師の気分が基盤となり、指導現場のベテランの言動に触発されてエスカレートするもののようです。
 

この解決方法は、子供が怖がっていることや嫌悪感を持っていることを認めてあげることから始めてください。

「そんな言い方を聞かされたらお母さんだっていや~な気持ちになるわね。」

という会話からはじめてくだい。

「あなたは感受性が鋭いし、クラスメートの心の痛みや恐怖を感じることができたのね。」と、

そのときの子供の気持ちの変化を認めてあげて欲しいのです。

その後は、機会があるごとにクラスの雰囲気を聞いてあげてください。

お母さんは、いつも私の味方なんだと感じてもらうことが大切なのです。軽症の場合はそれだけで解決することもあります。
 

でも、その講師が確信犯的に何度も同じような言動を繰り返す場合はこれだけでは解決しません。

ここで必要になってくるのは、お母さんと塾の先生とのコミュニケーションです。

クラスの責任者や教室の責任者に会って、状況を穏やかに冷静に伝えてみてください。

ほとんどの場合、何らかのアクションが塾内で起こります。
 

それでも、何も解決しなかった場合は、同じ塾内での教室変更や転塾も考える必要があります。

当事者になってしまうと、なかなか冷静な判断ができないものです。

塾の責任者に伝える際の言葉の選び方もそうですし、子供の状況判断も大切です。

そういう時に信頼できる第三者がいれば良いのですが。

まずはご主人と充分に話すことが大切です。そのときはメモをしながら考え方を書き留めておいてください。

会話が堂々巡りにならないようにお願いしますね。

2 こなしきれないと感じるほどの多量の宿題を前に、ストレスを高めてしまう。

子供は、成功の予感があってこそがんばれるものです。

ちょっとがんばればやれそう。少しがんばれば解けそう。もうちょっとがんばれば覚えられそう。

この「もうちょっと」が肝心なのです。


 これが終わっても、あれもこれも残っていていつ終わるか途方に暮れてしまう状態ではやる気のスイッチは入りません。

客観的に見て、うちの子にこなせそうな量であると判断できるときには、学習のプラン作りが有効です。

その日やるべきことだけをピックアップすることです。

「今日はこれだけをやれば、気持ちよく一日を終われそう。」と思える量に限定してあげることです。

そのためには、子供自身が決めた計画だという演出をしながらも、親御さんの上手な手綱さばきが必要になります。

 客観的に見て、「これはどう見ても多すぎる」と感じられたなら、宿題の取捨選択が必要になります。

でも、塾から出された宿題から必要な部分だけを見つけ出すのは、至難の業です。

これこそ熟練した本物のプロの家庭教師の力業が必要ですから、親御さんががんばろうとされることはお勧めできません。

そこで必要になってくるのが、「○△×学習法」です。

これは、「アエラwithキッズ」で特集を組んで頂いたとこもあります。

 

○△×学習法とは、塾の授業中にやる作業と、家に帰ってきてからやる学習に分かれます。

 

(授業中)

塾の授業中に、問題(小問)毎に○△×のどれかをつけます。

○・・・完全にわかって、同じ問題が出たら必ず正解できると感じる問題。

△・・・だいたいわかったが、少し自信がない。

×・・・さっぱりわからない。

(授業後)

家に帰ってきたら、△を中心に学習する。

宿題が、テキストの類題集である場合は、△の類題を宿題から探してやっていく。

△を最優先にして、それが終わって余裕があれば、次は○です。×はやらない方が賢明です。

だって、教えるプロである塾の先生が、あの手この手を使って教えたにも関わらず理解できなかった問題です。

子供一人で考え直して解ける可能性はほとんどありません。

この方法を使う場合も、塾の先生とのコミュニケーションは大切です。

子供なりに真剣にやっていること。それでも全部はできないので、出来る範囲で精一杯やっていること。

この二つを伝え、問題の取捨選択をさせてもらいたいこと。

このような話を聞いてもらえる日頃からのコミュニケーションが大切になります。
 

 

次回は「集団塾のプレッシャーに参っている。」のpart3です。

3 演習時間もテスト時間も短く、いつもあたふたしてしまう。

4 成績が上がらないのは、自分の努力が足りないからだという自己反省の袋小路に落ち込む。

この二点についてお話ししたいと思います。