学力には、いろいろな要素があります。
解き方を見つける力・正確に解答にたどり着くことが出来る力や
時間内に処理できる力などですね。
その学力を発揮するために必要な事柄は、3つだと考えています。

一つは、処理能力です。例えば計算力や文字を書く能力、線を引く能力です。
素早く正確に出来る事が必要な能力です。

二つめは、知識量です。
理科や社会の重要語句のようなものから、解き方の種類や考えの進め方という、
考え方や思考の過程そのものも多くは知識に含まれます。

もう一つは、これが一番大切なのですが、本質を知りたいという知的意欲です。

この3つがバランス良く上達することで学力は高まってきます。

「塾のテキストを何度も解かせているのですが、成績が下がるばかりです。」
このようなご相談が多いのですが、その場合は、上記の三つに分けて考えて見ると
解決策が見つかることが多いのです。

一つめの処理能力に問題があるお子さんも、意外に多くいらっしゃいます。
小学校では計算はちゃんと出来ているのですが。
ノートには読みやすい字が書けているんですが。
このようなお子さんの中にも、処理能力不足の方が多くいらっしゃるのです。
桁数の多い計算も、速くしかも正確に出来なければいけませんし、
小学校の勉強と違って、少し小さめの字を、素早く綺麗に書ける事が必要です。
また、線はフリーハンドで綺麗に引けなければ、受験勉強の効率がぐっと
下がってしまいます。

計算練習や漢字練習は毎日少しずつやることが良いのですが、
どのレベルのものをどの程度やらせるべきかが一番大切です。

二つめの知識はどうでしょう。
理科や社会の重要語句や固有名詞は、覚えてしまえば
そのまま使えることが多いのですが、
思考過程に関わる知識はそうはいきません。
ところが、算数の問題などで、「この数字とこの数字を引いてからこの数字で割る」という
覚え方をしてしまっているお子さんが意外に多いのです。
○○の意味を持つ数字と□□の意味を持つ数字を引き算すると、△△の意味になり、
それを●●で割ると、当然聞かれている答えが出るという理解と暗記が必要なのです。

この、「当然」が大切な事なのです。
子供が、これまでの学習や生活の中で、正しいと心底思っていることにつなげる事が
出来て始めて、「当然」と思えるわけです。
これが無い場合は、「何となくわかった」という表現になりがちです。
思考過程に関わる知識は、子供のなるほどそうかという納得の感情と共に
覚えていくことが大切なのです。
実は、この部分がうまくいっていなくて、成績が上がっていないお子さんが一番多いように
感じています。

三番目の「本質を知りたいという知的意欲」は、
知的好奇心という言葉に換えても良いでしょう。
理科の暗記をする場合でも、「なぜそうなるの」と強く興味を持ちながら覚えるのと、
仕方なく覚える事の違いです。
これは、勉強に向かわせる時の雰囲気作りが大切になります。

小6の一学期までは、「処理能力」「知識量」「知的好奇心」の三つに注意を払いながら
見ていく必要があります。
今、伸び悩んでいるお子さんの場合は、そのバランスが取れているかどうかを
是非お考えください。