サピックス、御三家で大躍進
2011年の中学入試結果が出そろいました。
大手進学塾の合格者数もほぼ集計を終えているようです。その中でやはり目立つのは、サピックスの御三家での躍進です。
開成中(定員300名)221名というのは、驚異的な数字です。定員の70%以上ですから、入学式後のクラスメイトとの会話は「どこの塾に行っていたの?」ではなくて、「どこの教室に行っていたの?」になってしまいそうです。
麻布中学(定員300人)でも181人(定員の60%)、桜蔭中(定員の240人)では138人(定員の56%)となっています。
難関校を目指す子供たちは、サピックスへという流れが今年も継続しそうです。
そこで、ここ数回は、サピックスのシステムに上手に乗っていくためのコツをお話ししたいと思います。
・サピックスは淡泊。これが長所であり使いようによっては短所にもなります。
サピックスの基本方針は、質の保たれた授業を子供たちに提供することにあるようです。 家庭学習や各個人の学習スケジュールは、家庭に任されています。ですから、お子さんがスランプに陥って、サピックスの先生に相談に行かれたとしても、お子さんの特性に応じたアドバイスはあまり期待できないようです。
お子さんの、心身のコンディション管理や、学習状況の管理はご家庭に任されているわけですから、弱点対策が組みやすい事になります。拘束時間が長く、復習すら教室でやらせると塾がありますが、その対極にあると言えます。拘束時間が長く、何から何まで面倒を見ることを売り物にしている塾の場合、実はお子さんの特性に応じた対応ではなく、量をこなさせることに主眼が置かれることが多く、労力の割に効果が少ないことも往々にしてあります。
サピックスの場合は、心身のコンディション管理や、学習状況の管理がご家庭に任されているわけですから、まさに”家庭力”が要求されている事になります。
・マンスリーテストは、ここ1年易しくなっています。
一昨年やそれ以前には、マンスリーテスト算数の平均点が、50点という時がありました。150点満点ですから、問題が極端に難しかったことになりますが、昨年の1年間ではそれがありませんでした。「そろそろ難しくなるかな」と、その対策をして待ち構えていても、ついにその時がこなかったという印象です。
この傾向が続いたとすると、御三家レベルを目指すお子さん方は、130点(150点満点で)程度を目標にする事が必要になってきます。130点をコンスタントに取るためには、ほとんどミスは許されません。読み取りミスや計算ミスが数問あるだけで、その点数を下回ってしまいます。一語一句を読み飛ばさないように、しかも素早く読み取る練習と、素早く計算しても間違えない計算力をつけておく必要があります。今年の合格者数の増加は、そのような訓練を、マンスリーテストの度に繰り返してきた子供たちの成果だと感じます。(今年の開成中や桜蔭中の躍進は、入試問題が難しくなかったことも原因のように感じています。)
一方、御三家レベル志望ではないお子さん方の場合には、100点(150点満点で)を目指す学習が必要です。大問の3番までの正答率を上げる学習です。通常は、易しい一行問題が並んでいるはずの大問の2番にも、サピックスでは少しひねった問題が出題されています。デイリーサポートやデイリーサピックスの問題にそっくりに見えて、何か1つの条件を変えたり付け足したりしている問題が多いのです。解き方の丸暗記だけでやっている子供たちに、注意を喚起するためなのだろうと私達は解釈しています。
「ミスが多くて点数が取れない。家に帰ってきてから解き直しをさせると、もっともっと良い点数になるのに。」ということが繰り返されているのならば要注意です。