前回は、「社会科脳」について書いてみましたが、読み直してみて、少し舌足らずな部分や、お話ししたいことが書き切れていない部分がありました。

その事を少し書いてみたいと思います。
「考えていることを(感じていることを)言葉にしていく練習が効果的です。」と書きました。

確かにこれは間違いのないことなのですが、これまでの学習方法
からこのじっくりと頭の中で言葉を使っていく学習だけに変えると、一時的に点数が下がります。

これはお子さんの学習モチベーションにとって良いことではあ
りません。

点数を下げずに、順を追って正しい学習方法に移していく方法をお話ししていなかったことをお詫びします。

子供のタイプとして(大人でもそうですが)、暗記が得意な子・考える事が得意な子がいます。

それまでの生活履歴によって(当然DNAも関係します)脳の中のそれぞれの学習を担当する箇所のシナップスの活性度が違ってきているはずなのです。これまで単純暗記に邁進してきた子供は、暗記するためのいろいろな
工夫を重ね、大脳のその部分を鍛えてきているわけです。この鍛えてきた暗記に必要な能力も利用しながら、自分の言葉で考える学習を加えていくことで、一時
的な成績の降下を防ぐことが出来ます。

具体的には、
「この式で何が出たの?」
「その数字の単位は?」
「その問題では、何がわかってるの?」
「何を問われているの?」
「どんな図を書けば解けるように感じる?」
という質問を重ねて解き終わった後に、
「どんな順に解いてきたのか、言葉に出しながら思い出してごらん」
「A君とB君とC君の動きを状況図に書いて…」
「その時に注意することは?」
「同じ時間は同じ印で書く事」
「そうだよね。よく分かったね。次は」
「この○から○までが、A君とB君の□分で出来た距離の差だから、この距離をこの□で割ったら、A君とB君の分速の差が出て、あとAくんとB君の速さの和が分かってるから、後は和差算。」
「すごい、完璧!」
「じゃあ、はじめからもう一度頭の中で繰り返してご覧。」
「…………………、OK」

おわかりになりましたか?

理解し、頭の中の言葉で考える時間と、それを思い出し覚える時間を分けてあげる事で、記憶の定着が良くなります。これまでに鍛え上げてきた暗記力が生きて
きます。しかも、機械的な式の暗記ではなくて、理由や根拠を含んだ暗記になりますから、テストですぐに使える記憶となるのです。

ご利用ください。

ただこれには、1つの欠点があります。
それは、横につかれるお父さんかお母さん自身が、その問題の解き方を知っている必要があることです。まさか、テキスト全問を親御さんが時間をかけて予習す
ることは出来ませんよね。その場合は、4?5問だけで良いですから勉強しておかれることです。予習シリーズならば例題または例題の類題、サピックスならば
デイリーサポートのCD問題、日能研の本科テキストならば例題がお勧めです。

さて、本題の非言語コミュニケーションです。

人が会話の中で受け取る情報の中で、言語の意味情報の占める割合はたった5%ほどしかないと言われていることをご存じの方は多いと思います。その他の
95%は、服装や表情、語調、イントネーション、匂い、動作などです。実はこの言語以外で伝わる情報を利用することなのです。
 ところで、子供が受験勉強を始めてから、または進学塾に通い始めてから親子関係がギクシャクし始めていませんか。親子の会話が塾の成績の事だけになっ
て、「宿題はもう終わったの!」「まだ勉強始めないの!」から始まって、「今週の漢字をまだ覚えていないの!もう時間が無いでしょ!」「また、ミスばかり
して!」「なぜこんなに雑なの!だから間違うのよ!」「なぜ、問題文をちゃんと読まないのよ。こんなミスばかりをして!これじゃあクラスが下がっちゃうの
よ!」というというお母様からの文句に対して、「うるさいな、今やろうと思っていたのに、お母さんがそんなことを言うからやる気がなくなった!」「やりゃ
あいいんだろ!」「ああ、もうやる気無くなった。お母さんのせいよ!」というような子供からの反応が繰り返されてしまうことが多いのです。

 「子供に「クソババー」と言われて、悔しくて悲しくて…」というお母様からの相談は実は多いのです。お母さんと子供の感情のぶつけ合いになってし
まっているんですね。お母様としては、子供のために言いたくもない文句を言ってあげているのにと思い、子供の方は、いらいらしたお母さんの表情や言葉はい
やだなと思っているのです。言葉に付随する語調や表情のみがお子さんに伝わってしまっているからなのです。本当のお母様の伝えたい「早く勉強を始めれば、
もっと余裕を持って毎日が過ごせるのに。」「ミスをせずに良い点数を取ってきたときのあなたの笑顔が見たいのに。」と言う思いが少しも伝わっていないばか
りか、文句ばかりいうお母さんのイメージが子供の中でますます強固になっていってしまっているのです。
 
では、どうすれば良いのでしょう。
詳しくは、次回に譲るとして、今回は1つだけお話ししましょう。

 「否定語は出来るだけ使わずに、肯定語に言い換える」事です。

「なぜ宿題をすぐにしないの!」を「早く宿題を済ませると、テレビを見れるわよ。」
「毎日漢字練習しないから、国語のテストの1番がいつもわるいでしょ。」を、「毎日少しずつでも漢字練習をすると、国語の1番の点数が上がるわね。」
 このように、「○○すると、□□のような良いことがあるわよ」という話し方に変えてみてください。