皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■新6年生の学習

大手進学塾では新6年生としての学習が、5年生(学校学年)の2月から始まります。

この新6年生の学習の大きな特徴は、5年生までに行われてきた基幹講座の学習の他に、志望校合格に向けた特別講座がある点です。

塾  名

基 幹 講 座

特 別 講 座

浜 学 園

マスターコース 灘中合格特訓

最高レベル特訓

女子トップレベル

日曜錬成特訓

希 学 園

ベーシック 最高レベル演習

実戦レベル演習

志望校別特訓

馬渕教室

通常授業 灘スペシャル特訓

HIレベル特訓

定着レベル演習

志望タイプ別特訓

5年生以下でも「○○レベル特訓」という特別講座(学年や目的により講座名が異なるものもあります)の一部は実施されていますが、6年生になると、上の表のように「志望○○特訓」といった特別講座が、これまでの学習に加わってきます。

そして、以前にもお伝えしたように、これらの「志望○○特訓」の一部には受講するための条件が設定されていることに注意が必要です。(詳しくは2019年9月25日付けの西村コラムをご覧ください。)

■2月からの受講条件をクリアすれば志望校に合格できる?!

新6年生の2月から始まるこの「志望○○特訓」は、多くの場合、学校別のコース編成となっています。

大手進学塾によって学校別コースの受講条件は異なりますが、原則として、5年生時に受けた公開テストなどの偏差値や順位が基準となっています。

従って、現時点では、どのコースで受講できるかがすでに決まっていることと思いますが、この受講条件が6年生の途中で定期的に見直されていくことにも注意が必要です。

下の表は、関西エリアの大手進学塾のひとつ、希学園の志望校別特訓の受講条件をまとめたものです。

※希学園 2019年配付資料より

希学園の場合、「コース在籍下限値」については、志望校別特訓の第Ⅰ期と第Ⅱ期は「コースの授業内容に対応できるであろうと考えられる最低ライン」と資料にあるように、受講の目安として設定されています。

しかし、第Ⅲ期以降は、「コース在籍下限値を下回る場合、そのコースでの受講は認められません」とあり、「コース在籍下限値」が受講の資格に変ります。

ですから、2月に志望校別特訓の受講条件を満たしていても、その数値は上がっていきますから、3ヶ月間の公開テストの偏差値も上げていくことが第Ⅱ期以降の受講のために必要となっていきます。

■「志望校○○特訓」と志望校の偏差値

新6年生の2月から始まる「志望○○特訓」の受講条件が、学習が進むにつれて厳しくなっていくことは上の表の通りですが、「志望○○特訓」の受講条件と志望校の合格可能性80%以上の偏差値との関係はどのようになっているのでしょうか。

引き続き、希学園のケースを例に見ていきましょう。

上のグラフは、大阪府の男子のトップ校大阪星光学院中学と、女子のトップ校四天王寺中学について、志望校別特訓の「コース在籍下限値」と2020年の予想N85偏差値表(合格可能性85%以上)の数値をまとめたものです。

大阪星光学院中学の場合、志望校別特訓の最終期である第Ⅳ期の「コース在籍下限値」は53、N85偏差値59ですから、その差が6あります。

また、四天王寺中学の場合、第Ⅳ期の「コース在籍下限値」は42、N85偏差値54(英数Ⅱ)、61(医志)ですから、その差はそれぞれ12、19と非常に大きなものとなっています。

このことからわかるように、「コース在籍下限値」はその志望校に向けた学習をしていくのに「ギリギリ無理がない」条件を示しているに過ぎず、「志望校別特訓が受講できる=志望校に合格できる」ということではないのです。

ですから、5年生の現時点で志望校の合格可能性80%(あるいは85%)以上の偏差値に達している場合は、現在の学習方法を油断なく継続していけばよいといえるのですが、「志望校○○特訓」を受講する条件をクリアしていても志望校の合格偏差値との差が大きく隔たっているときは、学習方法について至急に見直しをすることが必要でしょう。

そのため、まずはここ3ヶ月の公開テストなどについてどこで点数を取り損なっているのか、基幹講座や特別講座の宿題について計画的に仕上げることができているか、テストや宿題のまちがい直しの仕方は適切なのかなど、日々の家庭学習とその結果であるテストの両方について課題を洗い出し、その対策に優先順位をつけて取り組んで行くことが大切だいと思います。