■ 家庭教師の授業で心がけていること

子どもに教えるときに、できるだけ子どもに書かせることを意識しています。

こちらが書いて説明することは簡単なのですが、それでは「感覚的な納得」まで結びつけにくいのです。

「この問題を教えた」という事実が大切なのではなく、「この問題を子どもが自力で解けるようになった」ということが大切だからです。

そしてもう少し詳しく言うと「この問題を」ではなく「このような問題を」を意識しています。

また、単に「書かない」のではなく、子どもが塾で習ってきた問題、習った分野の問題の場合、できるだけ「塾でどう習って、どのように理解したか」がわかるように問題をたどるのです。

塾で習ったときは理解できたけど忘れてしまっている場合もあれば、塾の授業ではわからなかったということもあります。
だから、教える方法や内容も含めて、話の展開や方法は子どもによって、場合によって様々です。

30名が相手の授業だと、こちらのリードのしかたがぴったりくる生徒が10名だとしても(本当はもっと少ないのかもしれません)、1対1だと100%その子に合わせた指導ができるのが家庭教師の醍醐味です。

■ 「そう習ったから」は要注意

はじめに「感覚的な納得」と書きましたが、ここに落とし込むことが大切なのです。

たとえば「比」についての問題で「Aの3分の1とBの4分の1が等しいとき、A:Bの比を答えなさい」というものがありますが、「逆比で4:3」と答える子どもに対して、どのようにアプローチするかを考えます。

まず「どうして逆比で4:3になるのか説明してくれる?」と伝え、どのように理解しているかをチェックします。

図を書いたり数字を並べたり、いろいろな方法で説明してくれる場合もあれば「そう習ったから」といった返答をする子どももいます。

そのような様々な反応から、実感、感覚を伴った理解、納得ができているのか、単にそう覚えているのかを探っていくのです。

単に「公式」のように覚えているということがわかったら、掘り下げて基本から考えさせていきます。
たとえば「Aの3分の1」とあるから、そのようすを図に書いてみようといった提案もできるし、「どんなふうに書くと比べやすそう?」という質問もいいですね。

■ ご家庭でお子さんと塾に関する会話を

親御さんにありがちなのが「理解できていない」とわかったときに、感情的になってしまうことです。
たしかに親としては「これがわかってないってことは、もっと他のことも、あれもこれもわかっていないんじゃないかしら」と心は穏やかではありません。
しかしここで「わかってないじゃないの!」と伝えても、なかなかうまく解決しません。

塾の授業で感覚を伴った納得ができていないのは、お子さんがサボっているわけでも塾の先生が手を抜いているわけでもありません。
先程述べたように、塾の先生の説明が「ぴったりくる」子どもは、ごく一部なのです。
それが集団授業の限界ともいえます。

だから、塾の授業をどのように理解しているのかをチェックすることは大切で、私たちのようなプロのマンツーマン授業ではすべてそこがスタートとなるのです。

ご家庭のお父さん、お母さんができることもあります。

「今日はどんなことを習った?」
「塾の先生は、何が大切って言ってた?」

そんな質問に、お子さんがどのように答えてくれるかで、ある程度塾の授業をどれくらい理解できているかを知ることができます。

ぜひ、お子さんと塾の話題でたくさん会話をしてみてください。

名門指導会の講師研究会にて。授業のロールプレイで、お子さんにとってベストな伝え方を研究します。