■うちの子、問題文を読んでいません…
「問題文をよく読まずに解いて間違ってしまって・・・あとで解き直させれば正解するのですが」
そんなご相談を受けることがあります。
問題文を読まなければ解けないはずですが、このお母さんのニュアンスは「読むのだけど、読み方がいい加減なので本来の問題の意味を取り違えてしまう」といったところだと思います。
さて、この「問題文を読まない」という問題ですが、けっこう深刻だと感じています。
私が主宰する家庭教師の「名門指導会」では、体験授業というサービスも有るのですが、それとは別に「家庭訪問」というサービスもあります。
文字通り私がご家庭を訪問するのですが、ご相談をくださった親御さんとお子さんと接していると、この「読まない」問題を抱えたお子さんに接することがあります。
■「読まない」とも「読めない」ともいえる子どもの状態
そこで「読まない」のか「読めない」のかを考えてみるのですが、多くのお子さんは「読めば理解することができるが、いろいろな理由で精読できない」という状態にあります。
そこでその「いろいろな理由」って何なのかですが、一言で言ってしまえば「習慣」です。
問題文を隅々まで読む「習慣」がないのです。
だから「読まない」とも言えるし「読めない」とも言えるでしょう。
読んでもわからないのかを確認するために、音読させてみます。
すると、私が教えなくてもスラスラと正解を導き出してしまうことも多いのです。
実際「この問題がわかりません」と質問に来る子どもに対して問題を音読してあげる(あるいは音読させる)と「あ、わかった」となる子どもは多いのです。
テストで音読するわけにはいきませんが、少なくとも「問題を隅々まで読む」ということができれば、テスト返却後に悔しい思いをすることが減りそうですね。
■「読まない習慣」の原因になっているもの
先程「習慣」とお伝えしましたが、「問題文を読まない」と親御さんが感じているお子さんは、それが習慣となってしまっています。
問題部に出てきた数値をそれらしく組合せて式をたてるが確信がないとか、「てにおは」を読み違えて問題で求められていることとは逆のことを答えてしまうなど、「もうちょっと落ち着いて問題を読めば正解できたのに…」といった不正解の原因となっていることが多いのが「あたふた学習」です。
テストでも宿題でも、とにかく「時間がない」「早くこれを済ませて次をやらなくちゃ」という気持ちが先に立ってしまって、問題文を読む時間も惜しんでいきなり解き始めてしまう、そんなスタイルがクセのようになっているのです。
特にお子さん自身がじっくりと問題に取り組みたい「ゆっくりタイプ」の場合、あまりふだんから「早くしなさい」と急かすと弊害が出てしまいます。確かに中学受験ではスピードを要求される場面も多いので悩ましいところですが、総じて「急かすことで得られるメリットとデメリット」をくらべると、デメリットのほうが多いようです。
この秋「問題文を隅々まで読む」ということをテーマに、お子さんと取り組んでみるのもいいかもしれませんね。
あたふた学習に関しては、こちらのコラムでもお話ししています。
よければ参考にしてみてください。
気温が急に下がり、すでにインフルエンザが流行っている学校もあるとの話を聞きます。
季節の変わり目、体調を崩さないよう過ごしたいですね。
6年生はいよいよ志望校対策の時期ですが、4年生、5年生も次の学年に向けて準備をしていきたいですところです。
■苦手克服は今
とにかく得意を伸ばす、という考え方もありますが、苦手と思いこんでいることも実はそう苦手なわけでもなかった、ということはよくあります。
授業を聞いたときにちょっと難しく感じてしまったとか、そんな理由で「◯◯は苦手」と子どもが自分に暗示をかけてしまうようなこともあります。
テストのたびに間違う(少なくとも親からはそう見えてしまう)単元を克服できないか、試せるのは4年生、5年生の時期です。
逆に6年生の今の時期になると、そろそろ苦手克服はやめて「とれるところで点をとる」という考え方に変えていく時期だからです。
もちろんご家庭だけで苦手を乗り越えられればいいですが、家庭教師や個別指導の教室を利用するなど、外部の手を借りるというのも1つの方法です。
(失敗しない家庭教師の選び方をコラムにしたものがあるので、よければ読んでみてください)
中学受験 成功する家庭教師の選び方
■家庭教師として感じること
私は長年家庭教師として中学受験を目指すお子さん、ご家庭のご相談に乗る仕事をしていますが、家庭教師にしかできないな、と思うことがあります。
もちろんマンツーマンの個別指導ですから、お子さんが理解するまで教えることができるのですが、実はそれだけのために家庭教師を利用するなら、とてももったいないことだと思うようになりました。
なぜなら、家庭教師にしかできないことがあるからです。
それは、家でのお子さんのようす、親御さんとお子さんの関係を感じられることです。
塾など教室に出かける場合、その時点でお子さんも親御さんも「アウェイ」にいるわけです。
つまりお子さんも過度な「甘え」が許されない状況だということを承知している状態ですね。
これはマンツーマンの指導でも、個別指導の教室などならそうだと思います。
つまり、家での「ありのまま」のお子さんの姿、お母さんがいつも見ている「よそ行きでない」お子さんの姿を見られるのは、家庭教師だけです。
「この子の家庭学習がスムーズに回っていくためには、何をどう変えたらいいだろう」
そんなことを考え、提案するのが家庭教師の最重要の仕事の1つで、決して問題を教えるだけでは子供の成績は上がらないということも、経験から痛いくらいわかっています。
もしも家庭教師を利用しようとお考えの方がいたら、「わからないところを教えてもらう」だけではもったいないということを知っておいていただきたいと思うのです。
■冬までの目標を立てましょう
苦手克服でも成績アップでもいいのですが、ぜひ冬までの目標を立てていただきたいと思います。
5年生のお子さんのご家庭は、やはり6年生までに少しでも志望校の合格圏に近づけておきたい、という思いがあるでしょう。
4年生も、今よりも家庭学習をスムーズに回したいとか、クラスアップも大いに気になるところだと思います。
東京で月2回、関西で月1回位のペースで「少人数相談会」というイベントを行っているのですが、やはり個別に親御さんたちのお悩みを聞いていくと、「がんばっているのに成果が出ない」というご相談が一番多いように思います。
成績を上げるには(もしも今上がっていないのなら)「習慣」を変える必要があります。
今週の勉強だけでなく、過去に習ったことをふだんの勉強と並行して、いかに復習していくか。
ともすれば「今週のこと」で手一杯になりがちな毎日ですが、それを繰り返しているだけでは「実力テストになると結果が・・・」というサイクルから抜けづらいですね。
だからこそ「習慣」を変える方法を模索したいのです。
どんな方法があるかを考え、ご提案するのも家庭教師の仕事であり、醍醐味でもあります。
塾の先生以外に「セカンドオピニオン」がほしいという方は、ぜひそんな視点で有効なアドバイスを得られる方法を考えてみてください。
もちろん私たちにご相談くださってもOKです。
■ 各塾で、6年生を対象に学校別の模試が行われます。
サピックスでは「学校別サピックスオープン」がすでに9月から行われていて、10月には渋幕、聖光学院、灘などの学校の模試が行われます。
四谷大塚、早稲アカでも御三家をはじめとした難関校の学校別合格判定模試がありますね。
いずれも12月くらいまでかけて行われますが、これらの模試の対象となる学校は、上記のように御三家をはじめとした難関校のみです。
たとえば四谷大塚の「学校別判定テスト」の対象校は以下のとおりです。
開成、麻布、武蔵、駒場東邦、桜蔭、女子学院、フェリス女学院、開成、桜蔭、筑波大附属駒場、栄光学園、聖光学院、豊島岡女子、慶應中等部、灘
では、これらの最難関、難関校以外の学校を第一志望校としているお子さんは、どうすればいいのでしょうか。
■ これから必要になるのは「合格するための力」
家庭教師として6年生のお子さんのサポートをしている私たちが、10月からの時期で重視するのは、何よりも「合格するための力」です。
「学力=合格力」なのではないかという疑問もあるかもしれませんが、完全にイコールではありません。
もちろんすべての学校の入試問題に対応できる学力、経験値があればいいのですが、子どもたちに与えられている時間は限られています。
何よりも、第一志望校をはじめとした、そのお子さんの受験校の入試問題に対応できる状態を作るのが、最優先事項になります。
学校別の模試を受験するのももちろんその1つですが、そもそも模試が設定されていない学校を第一志望校としているお子さんは、何をすべきでしょうか。
■ そろそろ過去問の演習を
まず最優先なのは、過去問の演習です。
学校それぞれに、出題傾向や問題量、国語の素材文の長さや記述量、算数での解き方・考え方の記述など、特徴や個性があります。
それらに対応できるよう、過去問で練習しなければなりません。
よく「過去問は何度も繰り返して解いたほうがいいですか?」というご相談を受けますが、このように傾向やクセに慣れるという目的なら。繰り返す価値はあると考えています。
「一度出た問題はもう再び出ないのだから、繰り返しても意味はない」というご意見もあります。
その意見にも、一理はあります。
やるべきことがたくさんある受験生ですから、何をどのようにやるかということはとても大切です。
御三家などの有名校に関しては、塾での傾向分析や類題の作成も盛んで「開成タイプ」「灘タイプ」の問題は各塾の志望校別特訓講座にあふれるほどあるでしょう。
このような場合は、あまり過去問の繰り返しは意識しなくてもいいでしょう。
しかし、志望校別特訓が設定されない学校になると、そうはいきません。
自分なりに傾向に慣れ、時間配分をしっかり練習する素材となるのが過去問のみ、という状況もあるのです。
お子さんの志望校に合わせ、しっかり入試本番のシミュレーションができる環境を整えていきたいですね。
■ 過去問は「実物」を用意することも大切
ちなみに過去問ですが、市販の過去問本を購入するのも必須ですが、市販本は書籍化するために編集されていて、実物とは体裁が違うことを意識しておきましょう。
書籍というのは、できるだけ経済的なページ数の中に有益な情報を盛り込むために、内容が過密になりがちです。
これ自体は特に悪いことではなく、そのおかげで市販の過去問本には詳しい解説もついていて助かりますね。
ただ一方で、実物がどのような体裁かを知っておくことも大切です。
学校で購入できる場合もありますし、四谷大塚のホームページではメールアドレスを登録するとPDFをダウンロードできるサービスもあります。
「実際の入試問題はこれくらいの枚数なのか」
「けっこう余白が多いんだな。計算に使おう」
「2つ折りで小冊子のようになっているんだな」
さまざまな発見があると思います。
過去問については、塾からの指示のあるなしに関わらず、10月にはもう取り掛かっていなければなりません。
第一志望校以外に併願校・前受け校などがあり、それぞれの何年分かを演習するとなると、かなりの時間を取られるからです。
過去問を上手に演習して、第一志望校の合格を手繰り寄せていきましょう。