■ 各塾で、6年生を対象に学校別の模試が行われます。
サピックスでは「学校別サピックスオープン」がすでに9月から行われていて、10月には渋幕、聖光学院、灘などの学校の模試が行われます。
四谷大塚、早稲アカでも御三家をはじめとした難関校の学校別合格判定模試がありますね。
いずれも12月くらいまでかけて行われますが、これらの模試の対象となる学校は、上記のように御三家をはじめとした難関校のみです。
たとえば四谷大塚の「学校別判定テスト」の対象校は以下のとおりです。
開成、麻布、武蔵、駒場東邦、桜蔭、女子学院、フェリス女学院、開成、桜蔭、筑波大附属駒場、栄光学園、聖光学院、豊島岡女子、慶應中等部、灘
では、これらの最難関、難関校以外の学校を第一志望校としているお子さんは、どうすればいいのでしょうか。
■ これから必要になるのは「合格するための力」
家庭教師として6年生のお子さんのサポートをしている私たちが、10月からの時期で重視するのは、何よりも「合格するための力」です。
「学力=合格力」なのではないかという疑問もあるかもしれませんが、完全にイコールではありません。
もちろんすべての学校の入試問題に対応できる学力、経験値があればいいのですが、子どもたちに与えられている時間は限られています。
何よりも、第一志望校をはじめとした、そのお子さんの受験校の入試問題に対応できる状態を作るのが、最優先事項になります。
学校別の模試を受験するのももちろんその1つですが、そもそも模試が設定されていない学校を第一志望校としているお子さんは、何をすべきでしょうか。
■ そろそろ過去問の演習を
まず最優先なのは、過去問の演習です。
学校それぞれに、出題傾向や問題量、国語の素材文の長さや記述量、算数での解き方・考え方の記述など、特徴や個性があります。
それらに対応できるよう、過去問で練習しなければなりません。
よく「過去問は何度も繰り返して解いたほうがいいですか?」というご相談を受けますが、このように傾向やクセに慣れるという目的なら。繰り返す価値はあると考えています。
「一度出た問題はもう再び出ないのだから、繰り返しても意味はない」というご意見もあります。
その意見にも、一理はあります。
やるべきことがたくさんある受験生ですから、何をどのようにやるかということはとても大切です。
御三家などの有名校に関しては、塾での傾向分析や類題の作成も盛んで「開成タイプ」「灘タイプ」の問題は各塾の志望校別特訓講座にあふれるほどあるでしょう。
このような場合は、あまり過去問の繰り返しは意識しなくてもいいでしょう。
しかし、志望校別特訓が設定されない学校になると、そうはいきません。
自分なりに傾向に慣れ、時間配分をしっかり練習する素材となるのが過去問のみ、という状況もあるのです。
お子さんの志望校に合わせ、しっかり入試本番のシミュレーションができる環境を整えていきたいですね。
■ 過去問は「実物」を用意することも大切
ちなみに過去問ですが、市販の過去問本を購入するのも必須ですが、市販本は書籍化するために編集されていて、実物とは体裁が違うことを意識しておきましょう。
書籍というのは、できるだけ経済的なページ数の中に有益な情報を盛り込むために、内容が過密になりがちです。
これ自体は特に悪いことではなく、そのおかげで市販の過去問本には詳しい解説もついていて助かりますね。
ただ一方で、実物がどのような体裁かを知っておくことも大切です。
学校で購入できる場合もありますし、四谷大塚のホームページではメールアドレスを登録するとPDFをダウンロードできるサービスもあります。
「実際の入試問題はこれくらいの枚数なのか」
「けっこう余白が多いんだな。計算に使おう」
「2つ折りで小冊子のようになっているんだな」
さまざまな発見があると思います。
過去問については、塾からの指示のあるなしに関わらず、10月にはもう取り掛かっていなければなりません。
第一志望校以外に併願校・前受け校などがあり、それぞれの何年分かを演習するとなると、かなりの時間を取られるからです。
過去問を上手に演習して、第一志望校の合格を手繰り寄せていきましょう。