月: 2019年4月
私が主宰する家庭教師「名門指導会」では、定期的に東京、大阪で所属する講師を集めて研究会を行なっています。
教室という場所がある塾にくらべて、講師が直接ご家庭に訪問する家庭教師の場合、講師と講師が顔を合わせる機会がなく、他の家庭教師派遣センターなどでは、ほかの講師と会ったことがない、というようなことも多いようです。
ではなぜ名門指導会が定期的な研究会を行うのかというと、先生方のノウハウをシェアすることがとても有意義で重要だと考えているからです。
先日は、子どものノートについての話題でした。
学校や塾の授業で、お子さんたちがとるノート。
そもそも、いったいなんの目的でノートをとるのでしょうか?
①「書きながら授業を聞いたほうが、頭に入ってきやすい」
②「授業後、ノートを見ながら復習するため」
③「テキストに書かれていない重要なことを先生が言ったときに、メモをとるため」
おおまかには、これくらいの理由でノートをとるのではないでしょうか。
①が理由であれば、走り書きでも頭に入りさえすればよいでしょう。
でも②の目的もあるのだったら、ある程度「あとで見直す」ことを前提に、ノートをとる必要があります。
具体的には、日付やテーマ(単元名)テキストのページや問題番号などを書いておくなどの工夫です。
③の目的の場合、テキストのどの部分に関連することかがわからないと、後で見たときに一体何のためにとったメモなのかがわからなくなりそうです。
もしかすると、このような目的のメモはノートではなく、テキストに直接書き込むのがいいかもしれませんね。
まだまだたくさんの話題が出てきたのですが、ひとつ先生方のみんなが「確かに」とうなずいたのが「ノートがカラフルすぎ、美しすぎる子は成績が悪い」ということでした。
ノートを丁寧に取ることはいいことなのですが、あまり度が過ぎてそれが目的のようになってしまうと、本末転倒だということです。
でも、そんな癖がついてしまう子はもともと真面目な子が多く、「授業で習ったことをしっかり書いておきたい」という欲求から「美しすぎるノート」となってしまっている場合が多いので、ノートのとり方を変えさせる場合も、頭ごなしに伝えることはせず、ソフトランディングで変更していく必要があります。
そんな場合の対応も、ベテランの先生方にはそれぞれノウハウがあって、興味深いものです。
お子さんのノート、ときどき見てあげてくださいね。
もちろん上手にとれていたら褒めてあげましょう。
「あれ・・・」と思うような部分があれば、よければご相談いただければと思います。
■春休みが終わりました
春休みが終わり、学校での新しい学年が始まりました。
塾では一足先に、2月から新学年の授業が始まっていますが、春休みまでの2か月間の振り返りができたでしょうか。
学校と毎週の塾の授業という日常がまた始まりましたが、がんばった分だけ結果に結びつく、そんな学習サイクルを作りたいですね。
以前にも書きましたが、各塾の5年生は4月から夏休みまでの間に、割合や速さといった重要かつ苦手とするお子さんが多い単元を学習します。
理解が不十分なままにならないよう、気をつけて取り組みたいですね。
■言葉の定義より大切なこと
特に割合の考え方、感覚をしっかり身につけておくことは大切です。
塾のテキスト、そして先生によっても違うのですが、割合の単元では「もとにする量」「くらべる量」といった言葉が出てきます。
言葉の定義を知ることも大切なのですが、実はこの言葉が曲者なのです。
「もとにする量」「くらべる量」といった言葉によって「難しい」「わからない」という印象を持ってしまうお子さんが多いのです。
割合について、親御さんに知っておいていただきたいことは、「割合とは『何倍』という意味だということです。
たとえば「720円の2割5分は何円?」とあったら、「2割5分」を「0.25倍」と読み替えればいいのです。
この「割合とは『〜倍』という意味だ」と知っておくことはとても大切で、割合の学習において混乱を防ぐとてもいい方法なのです。
お子さんが割合を学び始めたら、ぜひこのことを思い出してください。
前回は、各塾の5年生が1学期に算数の重要な単元である「速さ」「割合」を学ぶということを書きました。
実は算数だけでなく、各科目で非常に重要な学習内容を網羅するのが、進学塾の5年生のカリキュラムです。
「5年生終了時には、社会科の公民を除いて入試に必要な全単元をほぼ終了する」
と言われているのが、中学受験塾のカリキュラム。
「受験ではこの単元、解法がキモになるんだよね」
というような事柄は、ほぼ5年生でその基本を習います。
だから5年生は非常に大切な学年なのですが、これはまだ5年生になっていない4年生、そしてもうすでに5年生の学習を終えてしまった6年生も、意識しておいてほしいことなのです。
■ 4年生は、あまり完璧にこだわりすぎず
どの塾に通っていても、4年生は比較的、時間に余裕があります。
塾に通う日数も週に2日ほど、そして習う内容も易しく、場合によっては親がその内容を指導することも可能な単元も多いと思います。
だから、習ったことを完璧にできるようにしよう、と考える親御さんも多いのですが、実はあまり「完璧」を追い求めすぎないほうがいいと思います。
なぜならその「完璧」を目指す勉強法は、5年生になるといろいろな理由で通用しなくなるからです。
「習ったことを完璧にできるようにしよう」という家庭学習の、どこがいけないのか。
それは「完璧」を追い求めすぎると「全部大切」「すべてを完璧に」となりやすく、そこに「宿題の優先順位をつける」という視点がなくなってしまいやすいからです。
一週間あたりの宿題量や塾に通う日数、時間などから考えて、5年生になると優先順位をつけて学習しないと回らなくなるのです。
それを見越して4年生からやっておかないと、5年生で家庭学習のサイクルが破綻します。
「でも、4年生はまだ宿題も多くないんだから、別に完璧にやってもいいじゃない。」
そんな声も聞こえてきそうです。
それでも、たとえば宿題を何度もさせるとか、すべての問題を完璧に、という考え方にはこだわりすぎないほうが、長い目で見て上手くいった例が多いように思います。
宿題の取捨選択をして空いた時間は、理社の調べ学習や「テキストの外」に出ていくような学習をするのがよいと思います。
■ 6年生は「5年生で積み残したこと」を意識して
6年生は、夏くらいから本格的に「受験対策」の勉強になりますね。
志望校別の特訓が始まり、志望校の過去問演習に関する指示も塾から出ると思います。
ポイントは夏が来るまでの時期、つまり春の間に、どのくらい5年生のときの「積み残し」を補強できるかです。
5年生で何ができて、何ができなかったか。
手薄、苦手なままになっている科目、単元は何か。
把握できていないのなら、数回の実力テストの結果を見ながら、リストアップしなければなりません。
お子さんの答案と正答率表を参考に「正答率が高いのに間違った問題が多い単元は何か」を調べましょう。
まだいろいろな意味で余裕がある春のうちに、こういったことを早め早めにしておくと、夏からの勉強が実り多い者になります。
名門指導会では私が直接ご家庭に伺う「家庭訪問」のサービスもあるのですが、その折に上記のようなテスト分析を詳しく行うと、御本人もお母さんもびっくりするくらい「やるべきこと」がはっきりします。
ぜひご家庭でも「やるべきことのリストアップ」にチャレンジしてみてください。
4月に入り、春休みも後半。
新しい元号「令和」が発表され、いよいよ来月から新しい元号に切り替わります。
何か新しいことを始めたり、チャレンジしたくなる春ですが、今年はことのほかそんな気持ちになりますね。
さて、お子さんたちは春休みを終えると学校でも新学年、1学期を迎えます。
新しい学年、新しいクラス、新しい友達や担任の先生、新しい環境での生活を迎えつつも、塾ではカリキュラムが本格的に難度を増していきます。
■5年生最大の「山場」は
6年生はいよいよ夏に向けて、最重要単元の総復習となっていきます。
(多くの塾で、社会科だけは公民分野が未習ですが、他の教科はほとんど5年生までで基本的なことは全て学んでいる状態で、6年生1学期は復習&応用発展的なカリキュラムです)
では5年生はどうかというと、特に算数では5年生の「山場」ともいえる単元が2つ登場します。
ひとつは「速さ」であり、もうひとつは「割合」です。
多くの塾で、4年生でその基本は学んでいますが、本格的に学習するのは5年生です。
サピックスでも5年生の1学期、速さは「旅人算」として登場し、夏休み直前には割合も本格的に学習します。
入試問題にも頻出の単元であり、これらの分野に苦手があると、受験において大きく不利になるといってもいいでしょう。
その意味で、5年生の1学期はとても重要です。
■塾カリキュラムの特性を意識して
大手進学塾の算数カリキュラムにおいて、もっとも「堅実」なつくりになっているのは日能研ではないかと思います。
たとえば小数や分数の計算の単元が出てきたかと思えば、それらを数週に渡って「これでもか」と言わんばかりに徹底的に続けて指導するカリキュラムです。
一方でサピックスは、図形を学習したかと思えば次の週には約数や倍数、というように目まぐるしく学習単元が変わっていきます。
どちらがよくてどちらがよくない、といったことではなく、一長一短なのです。
日能研のように1つのテーマをじっくり学習するタイプのカリキュラムの塾は、時間をかけて理解し、コツコツ積み上げていきたいお子さんにはぴったりです。
一方サピックスのように目まぐるしく単元が変化する塾は、どんどん新しいことを学習したいお子さん向きです。そのためには1回1回の内容を短いサイクルで身につけていくことが必要ですね。
四谷大塚はその中間的なカリキュラムです。
お子さんが通う塾の授業がどのようなカリキュラムで進んでいくのか、そしてお子さんの学習に取り組むときのタイプや姿勢はどうか、そのあたりを親御さんが見極めてあげる必要がありそうです。
■「わかったつもり」のままでは身につかない
乱暴な言い方をすれば、塾の一斉授業で習って「わかった」と言って帰ってきたお子さんは、半分くらい「わかったつもり」の状態です。
確かに塾の先生の言うことは理解できたし、授業中にそのとおりに問題を解けばできた。
でも、時間がたっても同じことが確実にできるようになるかどうかは、家庭学習にかかっています。
習ったとおりに問題を解くだけではなく「どうしてそのように考えるのか」「なぜこの解き方で解くのか」を自分なりに考えながら、習ったことを反芻する学習時間が必要です。
各塾なりに、テキストやテストはそのような学習となるようにできているはずなのですが、「追われる学習」が続いてしまうと、いつのまにか「機械的な作業」が勉強であるかのようになってしまいがちです。
家庭学習がそのような「機械的な作業」にならないためのヒントは、「スピーディーな学習とスローな学習の使い分け」だと感じています。
完全に理解できている基本問題や計算問題などは、テキパキと(ときには制限時間を設定して)スピーディーに処理する。
応用問題を考えるときや授業の内容を振り返るときは、じっくりと考え方をことばにして説明するなど(親御さんに対してお子さんに説明してもらう「家庭内ミニ授業」もおすすめです)スローな学習を心がける。
すべてが「あたふた」にならないように気をつけて、1学期を上手く乗り切りたいですね。