昨年の開成中の算数入試が易しかったことは、このブログ以外の記事やさまざまなメディア向けのコメントでお伝えしてきました。
で、今年はどうだったかというと、さすがに昨年より難化していました。
昨年は「いったい開成中はどうなっているんだ!?」といった声もあちこちからあがっていたのですが、今年の問題を見て、学校の考えや苦悩がわかるような気がしたのも確かです。
開成を目指してくる子たちは、全国でもトップレベルの実力の持ち主たち。
もちろんもっともっと算数の難度が上がっても、対応できるはずです。
今年の出題は、まさに「オーソドックス」というにふさわしい難問だったと思います。
ただ、難問奇問ばかり出す学校ではないのが、開成中学校。
基本的な問題もあれば、手を動かすだけで正解が見えてくるような、そんなつくりの問題もあります。
学校側としては、スマートな方法で難問をサラリと解く生徒ばかりに来てほしいわけではないのだと思います。
しっかり作業して細かいことを積み上げていく、そんな努力ができる子、その努力の末に見つけた糸口にワクワクできる子に来てほしいと思っているでしょう。
そんな子のために、問題に趣向を凝らします。
でも、それが塾のテキストに収録されると「解き方を教えてもらう」対象となり、あまり難問だと「捨て問」と判別され「誰も解かない」ということがおこるのです。
結果、算数で差がつかないということになれば、算数に力を入れてこなかった子が有利になる場合だってあるかもしれません。
入試は「選別するため」のテストで、それに向けて行う受験勉強は「合格するため」の勉強だと割り切れば、ある程度はしかたがないのかもしれませんが、ちょっと味気ないですね…。
でも、今年の開成中の最後の大問4などは、まさしく「思考系」の権化のような問題であり、パズルのような、算数好きのお子さんはワクワクするような「初見」の問題。
学校からのメッセージがビシビシと伝わってくるような問題でした。
入試問題は、学校からのメッセージとよく言われます。
もちろん「対策」も大切なのですが、そのメッセージを読みとく楽しさも味わいながら勉強できるといいですね。