私の自宅は、東京都でも「田舎」と言われる地域です。

夏になると「虫」も増え、いろいろな事が起こります。
ハチなど危険な虫から、カブトムシなど「甲虫類」とよばれる子どもたちに人気の虫たちまでが、我が家を訪問するのです。

さて、いよいよ都内も暑くなってきた今夜、小さな訪問者がありました。
コガネムシの仲間です。

やや弱っているようですが、つかまえようとすると活発に逃げます。
そりゃ、虫にすれば「人間なんかに捕まったら殺される」といったところかもしれませんね。
手の上を這う小さな虫の感触、懐かしい思いがします。

外に放そうとバルコニーの手すりにつかまらせるのですが、光に引かれるのか、すぐに戻ってきてしまいます。

ずいぶん疲れているようなので、私はこの小さな訪問者をもてなすことにしました。

小皿に濃い砂糖水をつくり、それを脱脂綿に吸わせてコガネムシをとまらせます。
そうすると、それまで私の手から逃れようと必死にもがいていたコガネムシが、ピタッと脱脂綿につかまったまま動かなくなりました。

え?・・・死んだ?
と思うくらい、微動だにしなくなります。
よく観察すると、口もとはもぞもぞと細かく動いています。

もどってこないように部屋の明るさを暗くし、コガネムシののった小皿をバルコニーの隅におきます。
そして数時間後、そっと覗いてみると、いなくなっています。

砂糖水で空腹を満たし、また空に羽ばたいていったのなら、これほど嬉しいことはありません。

人間と違い、昆虫が生まれてから成虫になるまでの生存率は、極めて低いはずです。
せっかく成虫まで育ったんだから、あと少し、がんばれ!

そんな気持ちになったのでした。

でも、結局は人間でも同じなのかもしれませんね。
小さな虫を見て、自分たちの姿を省みる。

嘘なく、ひたむきにがんばる。
そのためには、生きるための知恵や良心が必要です。

夏が来ました!
ぜひお子さんにも、いろんな生物の無心に生きる姿に触れさせてあげたいですね。