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日経DUALオンラインセミナーに登壇しました(過去問について)

本日は日経DUAL主催のオンラインセミナーの講師として登壇させていただきました。
テーマは「入試まで110日 過去問を使いこなす家庭学習のコツ」。
事前に参加者の皆さんから、過去問についての疑問や質問をお受けしたのですが、驚いたのは過去問のやり方についてとても多くのご家庭が困っていることです。
「いつからやればいいの?」
「何年分やればいいの?」
「直しはきちんとやったほうがいい?」
といったことから始まり、第一志望校はどうする?「前受け校」の過去問もやる?などなど、一定の「指針」を示してほしい、というご要望が多いようです。
日経DUALセミナー中のひとコマ
これについては私の私見をセミナーの中でお伝えしました。
ここで「私見」と申し上げたのは、過去問のやり方に絶対的な「正解」はないからです。
お子さんの現状と志望校とのギャップ、どのような目的で過去問を演習するのかによって、やり方は変わってきます。
セミナーでは、麻布中を第一志望校とするお子さんの過去問演習の一例として「芝中学校→海城中学校→麻布中学校」という演習順を紹介しました。
「絶対的な正解はない」と言いましたが、一般的な取り組み方として「おすすめ」のものはあります。
麻布中(だけではないですが)を第一志望校としているお子さんが、今麻布中の問題を解いて合格点をとれる子はまれです。
だから、まずは「思考力型」の問題を出題する学校の中では解きやすい芝中の問題から始め、海城中にステップアップ。
そうやって過去問演習を続けていくうちに、得点力も上がっていきます。
その後で、いよいよ本命の麻布中の過去問、そんなイメージです。
もちろん目的は「合格」ですから、まずは目指すは「合格最低点」です。
私は、生徒が今(10月)の時点で合格最低点に近い(目安としては8割り程度)とれていたら「合格の可能性はかなり高いぞ!」と励ますことにしていますし、実際そのとおりなのです。
とはいえ入試では、誰しも必ず緊張します。
ご家庭でリラックスした状態では解けた問題が、本番では解けなかったということも起こります。
ですから、できれば最終的には「合格者平均点」を目指したいですね。
過去問に関しては、もちろん私が主宰する「名門指導会」でも使い方を指導していますし、主任相談員を務めさせている「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」でも発信していますので、ぜひ活用いただければと思います。
とにかく6年生のこれからは、つけなければならないのは「得点力」です。
過去問演習を中心に、より志望校の出題傾向に慣れることを目指してがんばってください。

9月、あらためて男子御三家についておさらいしよう

いよいよ9月、各塾の6年生の志望校別特訓(サピックスではSS、日能研では後期日特)が本格的に始まりましたね。
 
お子さんが5年生までのご家庭、お母さんも、来年、再来年はうちの子も、と気になるところかもしれませんね。
 
9月以降、学校別の対策模試なども行われ、6年生はどんどん志望校と受験校がはっきりとしてくる大切な時期です。
 
具体的には、模試などの結果を見て志望校を具体的に受験する方法で進んでいくのか、あるいは方針転換をするのか、厳しい選択を迫られる場合もあるということです。
 
特に志望校が御三家など難関校の場合、シビアな選択もありえます。
 
できればお子さんの第一志望校合格への道筋をつけさせてあげたいですね。
 
今回は、これから中学受験の勉強を始めようとしているご家庭、志望校を決めたいと考えているご家庭に向けてという意味もあり、あらためて男子の難関校である御三家(開成・麻布・武蔵)について、簡単に校風や出題傾向についておさらいしておきたいと思います 。
 
 
■ 御三家は、子どもたちの自主独立を求めている
 
 男子御三家とは、もちろん開成中・麻布中・武蔵中の3校です。
それぞれに独自のカラーがある学校ですが、共通点もあります。
東大を始めとする難関国公立大学への現役合格者数、合格率もさることながら、勉強だけでなく日常生活における自主独立生という点でも、この3校は共通する部分があります。
 
高い大学合格実績を誇りながらも、カリキュラムは独自、そして生徒活動などに関してもユニークなものがあるというのも、この3つの難関校の共通点の1つです。
 
 
■ 開成中
 
何と言っても、東大合格者数が圧倒的なのが開成です。
現役で140名、OBを合わせると180名を超える卒業生が東京大学に進学します。
ただ、ガリガリの進学校というだけでは全く無く、「知性」「自由」「質実剛健」を重んじる教育理念を掲げています。
「ペンは剣よりも強し」をモチーフとした校章も有名ですね。
生徒の自主性を尊重した学校行事も盛んで、特に体育祭は開成の象徴ともいえます。
 
入試では、2018年に「適性検査型」ともとれる国語の問題を出題したり、びっくりするくらい易しい算数の出題があったりと(もちろんその逆もあります)、受験生は「全方位死角ゼロ」といった準備を求められます。
 
理科社会の問題が学校の偏差値レベルから考えると易しく、平均点が8割を超えるなど、ミスが許されない高得点勝負となるのも開成の特徴です。
 
男子御三家の中で唯一、高校からの募集を行っているのも特徴で、これがこの先どうなっていくかが注目されていますね。
 
 
■ 麻布中
 
私は麻布中の入試問題が大好きです。
このことはもう何年も前から公言していて、毎年、特に理科の入試問題は楽しみにしています。
もちろん12歳の小学6年生が取り組む問題ですから、中学、高校生しか知らないような公式や定理は使えません。
しかし「ここまで生きて、勉強してきたことを総動員して考えてご覧」と言わんばかりの問題は、理科好きのお子さんにとっては手応えじゅうぶん。
まるで麻布の先生に授業をしてもらっているような気分で、入試問題に取り組むことと思います。
 
国語は15問程度の設問中、10問が本格的な記述問題。
「とにかく書かせる麻布」と言われる出題傾向です。
 
校風の自由さも有名で、文化祭や体育祭にもよく表れています。
校則がなく、茶髪の子も多い。
伸び伸びとした学校ですね。
 
 
■ 武蔵中
 
建学の精神「武蔵の三理想」として「東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物」「世界に雄飛するにたえる人物」「自ら調べ自ら考える力ある人物」を掲げる武蔵も、やはり生徒の自由と自主性を重んじ、校則がなく生徒自身の責任と判断に委ねています。
 
東大合格者数が低迷しているということが話題になりがちですが、武蔵の教育の本来の目的はそこだけではない、というのが武蔵中高の向いている方向だと思います。
 
これは入試問題にも表れていて、伝統の「お土産問題」を必ず出題する理科の問題をはじめ、非常にユニークかつ、子どもたちの「12歳なりの教養」を問う問題は、他の学校には見られないものです。
 
国語の「字数制限のない記述問題」、算数の調べ上げ問題なども特徴的です。
 
 
■ やっぱりそれぞれに個性的な御三家
 
以上、簡単にまとめただけでもそれぞれの特徴が際立つ3校。
 それぞれに応じた受験対策が必要ですね。
 
また御三家に限らず「なぜこの学校を目指すのか」はとても大切なことです。
志望校は、偏差値や実績だけでは決められません。
 
その学校の「教育理念」に賛同する、ここが核心だと思っています。

2018年中学入試 理科の「思考問題」が増えた!?

2018年の入試もほぼ終わり、名門指導会の講師たちとともに問題分析を重ねています。

■「思考力問題」が増えた?

理科の入試問題を分析していると、どの学校も思考力を問いたい、考える力のある子を選抜したいという意図を持って入試問題を作成されていると強く感じます。

もちろん、思考力のある子をとりたくないなんて学校はないわけで、過去も今も学校の入試問題作成者は懸命に入試問題をく工夫されているのでしょうが、ここ2〜3年は、さらにそれを強く感じます。

ただ、「相手は12才の小学6年生である」ということを考えると、あまり突飛で大人向けな問題にせず、12歳なりに様々なことに興味を持ち、しっかり思考力や観察力を養ってきたかどうかをみる問題作成は、とても難しいと思います。

そのあたりのセンスというか、さすがと思わせるのは麻布の問題だと前回述べましたが、武蔵の「お土産問題」も相変わらずユニークです。

袋の中に入っているものに関して洞察するというのがいつものパターンですが、今年は食品の保存などに使うジッパー付きのビニール袋についてでした。
ふだん何気なく使っているものですが、考えてみれば開けやすく、勝手には開きにくいつくりはどうなっているのか。

まさに子どもなりの観察力を問う、良い問題と感じました。

麻布中も数年前、様々な飲み物のペットボトルについて考察させる問題を出題していましたが、ふだんから「もののつくり」に関して考える習慣をつけておくといいですね。

■セミナーを行います

上記のような入試分析を踏まえ、2018年2月21日に渋谷でセミナーを行います。
このコラムをお読みいただいている頃には、すでにセミナー後かもしれません。
とても好評で、たくさんのキャンセル待ちをいただいているので、同じ内容のセミナーを再度行うつもりにしています。

私が主宰する家庭教師「名門指導会」主催のものも含めて、これで今年に入ってセミナーはすでに2回目。
大・小様々、そしてテーマも様々に、今年もできるだけ開催していきます。

■上位校だけが中学受験じゃない

今関わらせていただいている書籍のテーマが、いわば「みんなの中学受験」なのですが、「みんなの」というのは「中学受験は限られた人たちだけの、特別なものじゃない」というニュアンスです。

「別にトップ校を狙うわけじゃないし、うちには関係ない」
「小学生のうちは外を駆け回らせてあげたい」
「友達と遊べないなんて可愛そう」

そんなイメージを持っている方も多い、中学受験。

でも、ある日突然

「ぼく、中学受験したい!」

とお子さんが言い出すかもしれません。

あるいは仲良くしていた友達が「中学受験する」と宣言、受験準備に入ったりして、心がざわつくようなこともあるかもしれません。

私は昔から「日常生活の延長線上に中学受験もあるべき」と思っていますが、近年ますます「身近」なものになってきたのではとも思います。
なにより「現実、中学受験するとなったらどうなるの?」という現実的な知識は持っておいて損がないと思います。

そんな「とても身近で現実的な中学受験」といった内容になりそうです。

ある方との共著なのですが、近々みなさんにもご報告できそうです。

興味のある方はお待ちくださいね。

2018年、開成中と麻布中の出題傾向は変わったか

首都圏での入試もほぼ終わり、進学校が決まったお子さんも多いのではないでしょうか。

若干の変動はあったものの、首都圏の主要校の倍率などは例年同様でした。

今年なにより関係者の話題をさらったのが、開成中学校の算数が非常に易しかったこと。
開成出身の名門指導会のトップ講師も「OB会でも話題になるのでは」と言うほどでした。

実は、今年ほどではないにせよ開成、麻布の(筑駒を除けば)トップ2の出題傾向は例年対照的で「処理力の開成、思考力の麻布」という印象を持っている人も多いと思います。

開成の理科、社会の平均点の高さは例年有名で「ミスすると落ちる」典型的な出題です。
受験者平均で8割、合格者平均では9割に迫る平均点は「開成の理社で合格はできないが、不合格はあり得る」という通説を生んでいました。

ところが今年は算数も同傾向。

受験したお子さんたちも戸惑ったでしょう。
算数が得意なお子さんは、試験時間を持て余したのではないでしょうか。
そんな問題でした。

算数で差をつけたい、と思っていたお子さんたちは「なんでこんなに簡単なんだ!?」と思ったでしょう。

一方、麻布は例年通りの「思考力勝負」の出題。
開成とは逆に、受験生が「今まで受験勉強でやってきたことは何なんだ?」と思ってしまうような出題。
その場で条件を与えられ、その場で考える。
使わなければならない知識は最小限。

対照的な2校ですが、「らしい」といえる出題でした。

いずれにしても、何か特徴的な対策をするのが効果的というよりは、算数の「地アタマ」を鍛えるのが効果的と考えられる出題です。
条件設定をその場で与えられて考える麻布、そして「やるべきこと」がわかっている状態でミスなく確実にやりきることが求められる開成。

私が例年楽しみにしている2校の問題、今年も「らしい」ものでした。

来年に向け、しっかり準備していきましょう。

2015年 麻布中学校 理科

私は理科を教える講師でもあるので、主要な中学校の理科の問題は入試が終わったら解きます。その中で、私が好きな問題に、麻布中学校の理科があります。
 
何が好きなのかというと、「覚えているだけ」「知っているだけ」というレベルの知識では解けない、子どもたちによく考えさせる問題で、理科好きの子なら、どんどん問題に引き込まれるような、非常に知的好奇心を喚起する問題を出題します。
 
リード文が非常に長く「読解」と言っても差し支えないような問題や、条件設定が複雑で整理して考えなければならない、そして「どうやって整理してやろう」と考えさせるような問題も多く、難関中を目指す受験生を唸らせる、まさに良問。
 
たとえば今年、2015年の問題は、大問1は生物分野です。サンゴとゾーザンテラの共生関係と、深海でのチューブワームの共生関係の共通点、相違点に関する問題で、麻布中対策をしっかりと行ってきた受験生からすれば、予測の範囲内。「ここで大きな失点をしたら、合否に影響するぞ」と気を引き締め直したのではないでしょうか。
 
続く大問2は、磁石です。すべての磁石を「小さな磁石の集まり」と考え、その小さな磁石の向きが揃ったときに強い磁石になるという誘導に従えば、無理なく解ける作りになっています。ここでも大きな失敗は許されません。
 
そして大問3。地層の問題ですが、山を上から見た図を横から満た図に置き換えるということができた受験生は、順調に取り組めたはずです。後半では地震波の進む速さが問題になっています。よく読んで問われていることが理解できれば、求められていることはそんなに難解ではありません。理科が得意な子はだんだん調子が出てきたのではないでしょうか。
 
そして大問4。光の屈折、色と波長に関する計算と思考の問題です。絶対に小学校では習わないレベルと内容の問題を、読み、理解し、与えられた条件に従うことでその理解が深まっていくような問題。最後まで解ききったら、かなり優秀な受験生でもフーっと息をついたのではないでしょうか。
 
そして、「あぁ、いい問題だな。」と味わったかもしれません。
 
麻布を目指す新6年生。そんな試験後の感想になるよう、しっかり備えていきましょう。
 

サピックス生は、四谷大塚の合不合判定テストを午後に受けるべきか?

先週末に四谷大塚の合不合判定テストと、サピックスの合否判定テストが実施されました。

 

昨年までは、サピックスの生徒は四谷大塚の合不合判定テストを受けていたのですが、今年度から自前のテストを受けることになりました。

 

今回は、午前中にサピックスのテストを受け、午後からは四谷のテストを受けた方が多かったのではないでしょうか。

 

今回は、「サピックスの合否判定」「四谷大塚の合不合判定テスト」「日能研のセンター模試」「首都圏模試センターの首都圏模試」の特徴をまとめてみたいと思います。

 

 

□サピックスの合否判定□

受験する生徒の母集団の学力が一番高い。御三家やそれに準ずる学校に対して合格の可能性を探るには最適なテスト。

その反面、偏差値50程度以下(四谷合不合偏差値で55程度以下)の学校に対しての判定は難しい。

その層の受験生の人数が少ないことと、それらの学校で出される問題よりも数段難しい問題構成であることが理由。

受験するのは、ほとんどがサピックス生。

 

 

□四谷大塚合不合判定テスト□

四谷大塚生、YT提携塾、早稲田アカデミー生を中心に、多くの塾の生徒が受験する。

受験生の学力レベルがまんべんなく散らばっている。

昨年までは、サピックス生が受験していたため、御三家の判定にも信憑性があったが、今年度については不明。

中堅上位から中堅下位のレベルの判定の質は充分に保たれると考えられる。

しかし、この規模の試験であっても、新設校や中堅下位よりも偏差値の低い学校の判定は難しい。

入試予想の偏差値表は、コンピューターから打ち出された生データーに近く、政治的な判断が働いていないことも、信頼できる要因の一つ。

 

 

□日能研のセンター模試□

普段はセンター模試という呼び方になるが、小6の8月からは合格判定テストという名称になる。

全国の日能研生が受験するために、御三家レベルの層も厚い。

(関西日能研の灘や神戸女学院志望者も受験する)

非常に易しい問題から、正答率が1%に満たない難問までが出題される。

受験生の分布に合わせた出題のためと考えられるが、どの層にとっても若干の不安要素となっている。

返却時に受け取ることが出来る資料の充実度は群を抜いている。

学校情報や、個人の得意不得意分析は当然として、中学入試に使われた文章の著者ランキングまでもある。

読み切ることすら大変な量である。

 

 

□首都圏模試センターの首都圏模試□

特定の塾が主催する模試ではなく、首都圏模試センターが管理運営している。

市進学院、栄光ゼミナール、中萬学院、トーマス、ENAなど多くの塾が参加している。

他の塾主催のテストに比較して、基本的な問題が多いことが特徴。

受験者層を考えると、御三家レベルの判定は厳しいと思われる。

その反面、中堅以下の判定に対しての強みを持つ。

四谷偏差値で45以下の学校に対しては、このテストの判定を大切にしたい。

合格可能圏の判定が少し甘いとの風評がある。

 

 

上記のように簡単にまとめてみました。

サピックスのお子さんは、四谷大塚の合不合を受けるべきかどうかは、現状の学力と志望校によって分かれます。

 

アルファ1・2の開成、麻布、桜蔭志望者はサピックスのテストだけでも良さそうです。

(女子学院、慶応付属、早稲田系列、武蔵は他流試合の必要がありそうです)

 

でもそれ以外を志望されている場合は、四谷大塚の合不合判定テストも受験されることをお勧めしておきます。

 

また、併願校に午後受験をお考えの場合、「うちの子は午前・午後と連続して受験しても大丈夫か」の判断に使えます。

過去問題は、いつから解き始めればよいのか

夏前あたりから、「受験校の過去問題はいつから解き始めたらよいのか?」というご質問が増えてきます。

 

首都圏や大阪圏のように、私立中学がしのぎを削っているエリアでは、学力の輪切りが進んでいます。

 

偏差値50?55までの子供は、第1志望は○○中学、55?60では□□中学というように、同程度の学力と得点力を持っている子供たちが受験することになりますから、ボーダー付近に一番多くの子供たちがひしめき合うことになります。

 

その混戦から一歩抜け出すことが出来るのは、該当校の傾向対策ですから、その学習の仕方や、量や時期が大切になります。

 

 ところが、塾によって入試か顧問を解く時期の指示が大きく違います。

 

サピックス・日能研・四谷大塚・早稲アカという大手塾でも大きく違いますから、親御さんが混乱されるのも当然だと思います。

 

 「『うちの塾の先生は、11月からで充分です。』とおっしゃったのに、仲良しの○○ちゃんの通っている塾では、夏から過去問の勉強が始まるらしい。」

このような相談が増えることになります。

 

過去問の学習は、「通っていらっしゃる塾の志望校別日曜特訓の有無やカリキュラム」や、「志望校の入試問題傾向」や、お子さんの現状の学力、併願校の入試問題傾向などをすべて考慮して考えていく必要があります。

 

ですから、ご相談への返答はお一人お一人異なります。

 

でも、ポイントは次の4点になると考えています。

 1 志望校別日曜特訓に自分の志望校が入っている場合は、11月あたりからで

   充分毎合う。

  (入っていない場合は、10月あたりからやっていく必要がある。)

 

 2 設問の文章が長かったり、記述の文字数が多かったりなど、特徴がはっきり

   している学校への対策は、早めに始める。

  (9月あたりからが望ましい。志望校の過去問題だけではなく、類似の問題を

   出す学校の問題も数多く解くように計画を作る。)

 

 3 基礎学力が、志望校に明らかに届いていない場合は、傾向対策よりも弱点対

   策を重視する。そして、傾向対策は12月から集中的に行う。

 

 4 併願校は、入試問題の傾向が似ている学校から探すことが出来れば理想的で

   す。そうできない場合でも、あまりに問題傾向のかけ離れた学校を併願する

   のは危険。ですから、早めの過去問学習が必要になってくるのは、下記の学

   校になります。

 

開成の国語、

麻布の算数・国語・理科・社会、

桜蔭の国語・算数、

栄光の算数・理科

筑駒の算数・国語、

武蔵の国語・理科

渋幕の算数・理科・社会、

渋々の理科、

学習院女子の国語・理科、

海城の理科・社会

 

一方、平常の学力がそのまま得点順位に反映される学校もあります。

(過去問学習で大きなプラスαを期待できない)

 

慶応付属の3校

早稲田

早実

女子学院

浅野

成城学園

上記以外にも数多くあります。

 

そして、過去問学習をやる上で注意していただきたいこと。

 1 制限時間を守ってやらせる。

 2 問題文を読み飛ばさないようにさせる。

 3 やりっ放しにならないように、間違った問題の復習をしっかりとやらせる。

 4 間違った問題をすべて復習させてはいけない。

  (合格者平均点に届く点数までにしておく)

 5 解説が詳しい過去問題集を使う。

 6 解答用紙は、拡大コピーして使う。

 

過去問の学習は、学力通りの点数を取るために必要なことです。

 

 

直前になって慌てることがないように、今から予定を立てておかれることをお勧めします。

サピックス小5国語勉強法

今回は、国語の話を中心に書いていきたいと思います。

サピックスの国語テキストはAテキストとBテキストの二種類です。
Aテキストは、語句と短い文章による問題。
Bテキストは、読解と記述を扱っています。
 

算数と比較して国語はやや手薄な印象を持つ保護者もいらっしゃいますが、Bテキストを見るとそうとも言えません。

 

『Aテキスト』の知識量は、他塾のテキストと比較してかなり少ない量です。

逆に言えば、この範囲では95%以上を暗記することを目標においてください。

特に女子学院や慶応のように語句問題が多い中学校を第1志望としている場合は注意してください。

 一方、読解分野は質量共に不足している感じを受けます。問題文自体が易しいのでじっくりきめ細かく読んでください。

 『Bテキスト』は、問題文用冊子、設問・解答用冊子、解答・解説用冊子の三分冊構成をとっており、他の塾にはないユニークなテキストになっています。

特に、解答・解説は小学生にわかるような表現になっているので、自習教材としても活用できます。

読み物としても優れた題材を選定しているので、無理な
く取り組めます。また、繰り返し読む価値のある優れた文章が多いことも特徴です。

教室やクラスによって違いますが、宿題量は多くない方です。

でも担当者によっては(校舎毎の差というよりも担当者による差の方が大きいように感じま
す)、「その答えになった理由を書く」、「その答えの根拠となった文章を抜き出す」などの宿題を課される場合があります。そうなると膨大な時間がかかります。

全部をやりきろうとせずに、半分ぐらいを真剣にやるといった工夫が必要になってきます。

このBテキストは、麻布のような物語文を中心とした記述対策として優れたものです。

記述力は短い期間で身につくものではありませんから、麻布や開成、武蔵のような記述問題が多い最上位高を目指している場合は、このBテキストをやる時間も1週間の学習スケジュールに入れてください。

サピックス小6算数

算数がなかなか伸びないと悩んでいらっしゃる方へ。


頭の出来が良いのに、成績が不安定なお子さんがサピックスに多いような気がします。

 

そんなことまですぐに連想できるんだと感心するほどスピーディーな思考が出来るお子さんの中に、こんなに易しい問題をなぜ間違うんだろうと意外な感じを受けることが多々あります。

 

1昨年に相談があったサピックス小6のα2の男の子の話をしてみましょう。

お母さんからの相談は、

「宿題は、信じられないほどのスピードでやり切ってしまう。分かっているのかと思って聞いてみるとちゃんと分かっているようだ。でもテストが安定しない。良いときには150点中130以上を取ってくることがあるのに、80点ぐらいの時もある。心配だ。」


というものでした。


事務所にお母さんとお子さんを呼んで話を聞いてみました。

 

知的好奇心が強く、非常に物知りなお子さんでした。

少し算数を教えてみましたが、まさに1を聞いて10を知るタイプというのでしょうか、少しヒントを与えるだけで、解き方を見つけることが出来ます。

 

ところが、式を書かせようとすると書けないのです。

 

計算だけでも構わないよと言ったところ書き始めたのですが、殴り書きです。

 

暗算力も優れていました。

 

240×2.25を、筆算せずに暗算で答えを出してしまいます。

 

聞いてみると、2.25倍というのは、2倍と後その4分の1を足せばいいから、240の2倍で480。

 

それに240の4分の1の60を足して540としたというのです。

 

ノートには式も計算も書かれていなくて、ただ540という答えだけが書かれています。


いろいろな数字を頭の中において、必要に応じて処理することが出来るという点においては、抜群の出来です。

 

ところが、点数が悪かったテストを見ると、大問の2番からたくさん間違っています。

 

普通は問題用紙に残った計算の跡を見るとどういう方法で解こうとしたのかが分かるのですが、その子の問題用紙には所々に数字が残っているだけです。

 

しかも、その問題から遠く離れたところに書いてあったりしました。

 

その子は、式を書くのが面倒だから、これまでも書かなかったと言うのです。

 

今の算数の得点の不安定さが、6年生単元に入ってひどくなったことから、次のように考えてみました。


 ・算数の解き方はすぐに理解できる。
 ・処理を頭の中で全部やろうとしている。
 ・数字の処理をしているうちに、今何をやっているのかをわすれてしますう。

 

また、何をやっているのかを思い出しているうちに、頭の中にあった数字が入れ替わってしまうこともある。

 

そこで、その子の第1志望校の麻布の算数の解答用紙を見せてみました。

 

「ほら、この2問は考え方や式を書く欄があるだろ。ここに式や計算をちゃんと残していないと点数がもらえないんだよ」と脅してみました。

 

その後に、「計算の前に式は書こうね。まとまった式で無くって良いから、今から計算しようと思っている式を書こうね。」と言ってみました。

 

またお母さんには、式を書いているかどうかを見張ってもらうことにしました。

 

しばらくしてお母さんから電話がありました。


「式を書いてねと言うと、『分かっているよ、くそババ?』と言って式を書いてくれません。どうしたものでしょう。」とおっしゃるのです。


 子供に電話口に出てもらいました。
「解くときに式を書いたらどんな良いことがありそう?」
「ミスが減って点数が上がりそう。」
「そうだよね。じゃあ式を書こうと思うかな?」
「うん」
「じゃあ、今日これから解いたノートを先生にFAXしてきて、出来るかな?」
「うん」


このような電話を何度か繰り返すうちに、5月のマンスリーがありました。

 

なんと140点です。

 

それ以降も、ミスが増えるときもありましたが、式を書こうねと言い続けていきました。

 

11月の志望校判定では合格可能性80%以上が出ましたし、麻布中学に合格しました。

 

このように、難しい問題になってくると、処理能力の高い頭脳を持っていても処理しきれなくなるのです。

 

一度式に書くことによって、頭のメモリーを解放して次の思考に入っていけます。

 

よく分かっているはずなのに点数が取れないと思われる場合は、解いた後に式が残っているかどういかを見てあげてください。このような子がサピックスには多いような気がします。

サピックス小5基礎トレの使い方

算数が、約数・公約数の範囲に入りました。

この単元は、次週の倍数・公倍数と共に分数を理解するための大切な単元です。

ところで、サピックスの分数計算に使われるのはたった2週です。

日能研が5週間、四谷大塚が3週間であることを考えると異例な短さです。

言い換えれば、
「分数計算ぐらいは自分で勉強して、もう出来るようになっているよね」と言われているのです。

あと3週間後にはその分数計算の週です。

異分母分数の和と
差、分数同士の積と商は、そろそろ練習を始めさせてください。

今週の単元を理解すると、分数の約分がしっかりと理解できます。

また来週の単元を理解する
と、通分がよく分かります。分数の計算練習を始めるには一番良い時期です。

前回に少し基礎トレーニングの使い方を書きました。

この基礎トレーニングの使い方について印象に残っているお子さん2人の例をお話ししましょう。
 

1人目は、α2クラスの男子、小6だけでも20クラスを軽く超える大規模校ですからαクラスだけでも6クラスありますから、かなり成績上位のお子さんです。

ご相談があったのは、小5生の6月です。

お母さんからの相談は、

「うちの子は算数のミスが多くて。毎日基礎トレーニングの宿題やらせているのですが、計算ミスが一向に減りません」

というものでした。

基礎トレーニングをやっているテキストを見せてもらったときに気がついたことが2つあります。

1つ目は、計算の数字が非常に乱雑なこと。

2つ目は、計算の後が少なく、多くを暗算でやっていたこと。

そこで、前に書いた方法をご紹介しました。

基礎トレーニングをこなす量を減らすわけですから、お母さんは半信半疑でしたが、だまされたと思って1ヶ月間
やってもらうことにしました。

お子さんには、基礎トレの回数を減らす代わりに、計算の字をきれいに書くことと、暗算を減らすことを約束してもらいました。

 結果は、大成功です。

次のマンスリーでは1番の計算はすべて正解、2番の一行問題は1問だけの間違いで、135点/150点になりました。

考えたり工夫
したりすることは大好きだけれど、単純な繰り返し学習をいやがるお子さんでしたし、4年まで通っていた公文ではEまで終わっていましたからこの方法が使え
たわけです。
 

このお子さんは、この一年半後、第1志望の麻布中学に合格しました。

もうお一人の例です。

 サピックスBクラスの女子です。

相談があったのは、小5生の11月です。

 お母さんからのご相談内容は、

「マンスリーテストのせめて1番2番だけでも解けるようにしたいと思って、基礎トレーニングをきっちりとやらせようとしているが、時間がかかってどうしょうもない。一日の学習がそれだけで終わってしまう事もある。」

というものでした。

 この件は、事務所にお子さんとお母さん2人に来てもらって話を聞いてみました。

そして少しお子さんに教えてみました。そこで気がついたことは、

・少し早く説明すると理解できない。
・同じ内容を2回繰り返したり、ゆっくり話すと理解できる。

の2点です。

 サピックスのてきぱきとした早い授業について行けていない可能性があります。

また、基礎トレーニングの1ページ(10問)に時間がかかりすぎることか
ら、サピックスに合っていない可能性があります。

その反面、ゆっくりと説明すると応用部分も理解できますから、受験が不可能と言うわけではありません。

 そこで、思い切って転塾を勧めてみました。

地元密着型で(YTネット加盟塾)、その地域では丁寧な指導で評判の高い塾です。

そのお子さんは、転塾した塾
で(はじめは、四谷週例テストのAコースでした)、成績を伸ばし、半年後にはCコースに上がり、東洋英和中に合格しました。

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