前回のコラムで、

「夏休みが受験の天王山」と言われるけれど、特に6年生は過度に夏休みに期待しないことが大切だということをお伝えしました。

夏休み中は毎日の夏期講習やそこで出される課題や宿題、模試もたくさんあります。

国語の漢字や語句、理科や社会の知識や算数の基礎など、本来コツコツと身につけなければならないものをその限られた時間だけで何とかしようというのは少々無謀だとは思いませんか?

実際、何でもかんでも「夏休みに頑張るから」と先送りにしていた生徒さんが、夏休み後に「結局終わらなかった……」と青ざめている姿は残念ながら毎年見かけます。

秋からは過去問演習や志望校対策が本格的になり、基礎の総ざらいなどをやっている時間はなくなりますから、そんな自体になってしまうことは避けたいですよね。

ゴールデンウィークを終えたら、夏休みまでに各科目(基礎)の総ざらいを一巡出来るようにスケジュールを練りましょう。

一人では無茶な計画を立ててしまいがちなので、その際は塾や家庭教師の先生にも相談してみることをおすすめします。

特に、国語の漢字や語句に関しては早めに対策しておきましょう。

中学受験に必要な国語の漢字や語句はかなりのボリュームで、分厚い参考書1冊分にもなります。

またこれらを正確に暗記し、自在にアウトプット出来るようになるまでにはある程度の時間や演習回数が欠かせません。

5月中旬~夏休み前までの2ヶ月間を使ってしっかり定着させておきましょう。

ここで、よく寄せられる漢字のお悩みについて少しお話しておきます。

まず、「漢字が覚えられない」というお悩み。

国語が嫌いな生徒さんに多いのですが、この場合以下のような覚え方をしていないか確かめてみましょう。

  • 知らない漢字や熟語の意味を確認せずひたすら書き写す
  • 答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた暗記法(自分の手で書かない)
  • 問題集にあれこれ手を出す(同じものは1度解いたら終わり)
  • テスト直前に覚える&間違えてもそのまま

これらはどれもその場しのぎのやり方で漢字を定着させる工程が踏まれていないため、漢字が上手く覚えられず、覚えてもすぐに忘れてしまいます。

漢字を覚える際に有効なのは、意味を理解して覚えること、反復すること、間違えたものは直しを必ずすること、なるべく毎日やること。
意味もわからず書きまくるだけでは記憶に残りません。

英文を覚える時に、単語の意味や文法、和訳を理解している方が覚えやすいのと同じで、漢字・熟語も部首や成り立ち、意味を理解している方が覚えやすいのです。

また、答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた「目」だけの学習では、読みの暗記は出来ても、なかなか書けるようにはなりません。

漢字の読み書きをしっかり覚えるためには次々と問題集を変えたり、1度解いただけで終わりにしたりせず、これと決めた1冊にとことん向き合いましょう。

面倒で回り道のようでも、漢字や熟語の意味をきちんと理解し、実際に手を動かす演習を繰り返してみてください。

そして、それでもテストで間違ってしまったときは必ず間違い直しをすること。

きちんとノートに記録し、再度それを間違えた場合には印をつけていくと、自分が間違えやすい漢字が目に見えて判り意識できるようになります。(同音異義語が苦手、などのクセも見えてきますよ)

朝食前の5分間でも良いので、出来るだけ毎日取り組めると良いですね。

6年生で漢字が苦手な場合は『漢字マスター1095題 6年』(日能研)、基礎が身についている場合は『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2606問』(旺文社)などがおすすめです。

参考書としては、小学校で習うすべての漢字が学年別に収録されている『SAPIXの漢字学習字典 SAPI漢』(サピックス)も良いと思います。

イラスト付きで、漢字学習が楽しくなる知識も紹介されているので4年生でも使えますし、サピックスの校舎だけでなく書店などでも購入できますよ。

『小学漢字 1006字の正しい書き方』(旺文社)はポケットサイズで持ち歩きやすく、書き順が一画ずつ示されている上、熟語も豊富です。

すべての漢字に成り立ちに関するコラムもあり、こちらも大変重宝すると思います。

漢字学習は読み書きだけでなく、熟語・対義語・類義語などの知識や語彙力のアップ、ひいては国語力そのものの底上げに繋がるので、夏休みまでに特に終えておいてほしい基礎ざらいのひとつです。

受験生の皆さんがここからの2ヶ月を上手に使い、準備万端で夏休みを迎えられること、そして、各科目の総ざらいを通じて、コツコツ取り組んだ暁には大きな結果がついてくることの楽しみ、喜びを体感してくれることを大いに期待しています。