■「暗記型学習」になっていないか

 
サピックス、日能研、希学園といった大手の進学塾で高学年時に、特に5年生あたりで中位のクラスで伸び悩む典型的なタイプが「暗記型学習」タイプの子どもです。4年生くらいまでの単純な問題では、繰り返しパターンを暗記することで好成績をとれてしまいますが、5年生になると一気にパターンが複雑化するので、思うように点数が取れなくなります。
 
この暗記型の学習に決定的に欠けているのは「考える力」です。「考える力」というのは、何を問われているのかを正確に理解した上で、求められている答えまで、自分の中にある知識のストックを組み合わせながら筋道立てて考え、答えへ至る力のことです。
 
こういった「考える力」を養わずにきた暗記型の子は、今まで自分が見たことがない、解いたことがない問題を極度に恐れます。高学年になると学習内容はだんだん複雑になり、パターンも多様になってきます。暗記で全てのパターン網羅していくのは非常に非効率になり、ましてや難関中学で出題されるレベルの問題パターンを全て暗記していくのはほぼ不可能です。
 
 
■高学年は「考える力」をつけるチャンスでもある
 
しかし「考える力」がある程度身についている子であれば、初めて見る問題だったとしても、恐れることなく立ち向かっていけます。例えば、数列の1000番目の数字を求める問題で、公式のような解き方が分からなかったとしても、1000個の数字を間違えずに書くことができれば答えに到達できるというように考えます。そして2030個の数字を書いているうちに、簡易な計算で答えに到達する方法をみつけてしまったりします。
 
「暗記型」の勉強方法の子たちが、伸び悩んだり、成績を落としていく高学年の応用学習は、逆に考えると「集中力」と「基礎学力」をしっかりと身につけている子どもであれば、「考える力」をつけていく絶好のチャンスになるのです。