あっという間に年末です。
受験生たちは、いよいよ、あとひと頑張りですね。
この時期は、もう過去問演習が中心というお子さんも多いかもしれません。
さて、その過去問、どのように演習しているでしょうか。さすがに「やりっぱなし」のお子さんはいないと思いますが、過去問からもいろいろ学んでほしいと思います。
■過去問演習から得られる「プラスワン」とは
時間をはかって解くのはもちろん、なおしや「解いてからの学習」も大切にしてほしいのです。
時間をはかって解き、答え合わせをする。そして、忘れていたことや覚えていなかったことなどを、みなさん確認すると思います。そして覚え直しなどするでしょう。工夫をする子なら、「正解でなかった選択肢」にも目を向け、そこから学べることはないか考えているでしょう。
どういうことかというと、問題の正解は「ア」のアブラナだったとして、残りの選択肢「イ」〜「エ」の中に知らないもの、覚えてないものはないか確認するのです。
こうやって小まめに「知識の抜け漏れ」を過去問演習(に限らず問題演習全般)で行っている子は、この時期にどんどん知識の厚みが増します。ぜひそういった「プラスワン」を演習にとり入れてください。
これが「解いてからの学習」の1つ目です。
■出題者はなぜこの問題を出したのか?
そして「解いてからの学習」の2つ目は、「出題者の意図」を考えることです。出題者がその問題を出題したのには、理由があるはずです。それを考えてほしいのです。
たとえば、2016年の開成中学校の理科の問題、大問1は天体(星座早見盤)についてでした。問1から問5までは、星座早見盤のつくりや使い方をひと通り覚えていれば、難なく答えられる問題なのですが、問6では「図1は、北緯35度、統計140度の場所で使う星座早見です。もしも、北緯35度、東経135度の場所で使う星座早見に作り変えるとしたら、・・・」という問題です。
「天体のこと、星座早見のこと、机の上の知識だけではなく、ちゃんとわかってる?」
という開成の先生の声が聞こえてきそうです。
東経135度といえば、日本の標準時子午線が通っている関西地方。経度が1度変わると太陽の南中時刻は4分ずれる、という知識は子どもたちにはあるのですが、それは太陽だけではありません。経度にして5度のずれ(20分)は、夜空に関してもそうなのです。
つまり関西地方の人たちは、20分前の東京の星空と同じものを眺めているわけです。塾のテキストで「覚えるべし」となっている知識を頭に入れれば対応できる問題ばかりは出さないのが難関校。このあたりの問題をしっかり考え抜いて入試に備えたいものです。
「超難問はとばせばいい」という考え方もありますが、受験者平均点が8割を超える開成では、「捨て問題」の選び方も難しいですね。