2017年の入試について、主宰する家庭教師の名門指導会の講師と振り返る機会がありました。
ざっくりと言ってしまえは、いわゆる難関校、名門校と呼ばれるところは例年通り。
開成は開成らしく、麻布は麻布らしいテストでした。
「アクティブラーニング」という言葉が叫ばれ、やや一人歩きしているようなところもあるように感じていますが、一流と言われている学校には、出題傾向にもブレがないように思います。
まさに解く過程そのものが「アクティブラーニング」なのではと感じます。
麻布や渋幕の理科の問題を見ていると、このような問題を楽しんで解く子が集まってくれば、さぞ理科の先生も授業が楽しいだろうな、とも思います。
「何を知っているか」だけでなく、その知識をどう使うか考え、判断し、問題を解決する。
優れた入試問題はその指南役となり、問題を提起し、興味を持たせ、今持っているものをどう使えばその問題を解決できるか考えさせ、生徒に問いかけます。
自分たちのつけてきた知識を使うと、実は古代の昆虫が巨大だった理由も、恐竜が巨大だった利点と弱点も、説明することができる。そんなことに気づかせてくれるのです。
子どもたちは出題者の意図を考え、出題者の提起した問題を解決するために、今まで自分が得てきた知識、技能のうち何を、どう使えばいいのか、あたかも出題者と「対話」するようにしながら解き進めていきます。
こうして「問題の解決」という喜びを体験したとき「知識をつけていてよかった」と子どもたちは感じ、さらに知識をつけてもっと難しい問題を解決したい、と思うのです。
そんな喜びにあふれた入試問題が、今年もいくつもの学校で出題されている。
大げさではなく、そういう人の体験の積み重ねの先にあるのが、現在のこの世界だと思うのです。
道路も、巨大なビルも、数百人を乗せて長距離飛行する旅客機も、ロケットも人工衛星も、地上400kmに浮かんでいるサッカーコートほどの大きさがある宇宙ステーションも、人が作ったものです。
今年麻布中の問題を喜々として解いた子どもたちがおとなになる頃、どんなものを作っているでしょうか。
どんなことを実現しているでしょうか。
そんなことを考えると、ワクワクしてしまうのです。