■苛酷さを増してきた6年生のテスト
7月3日、サピックスの組分けテストが行われました。純粋な問題難度は(平均的には)そう高くはなかったのですが、出題のしかた、問題配列など受験生にとってかなり「とっつきにくい」部分もあったようで、特に「理科が難しかった」という声を多くの子ども達から聞きました。
その理科の問題ですが、分析して難度別に分けてみたところ、以下のようになっています。
A・・・易しい・基礎知識・・・23問(52.3%)
B・・・標準・思考系問題・やや難度の高い知識・・・13問(29.5%)
C・・・難しい・複雑な思考、計算を伴う問題・・・8問(18.2%)
上記のような配分で、これだけみるとそう難しいテストには見えません。
以下、具体的な大問ごとの問題配分を見ていきます。
■大問ごとの内容と難度は・・・
大問1
小問集合でレベルAとBのみの出題。難関校狙いなら絶対に落とせない部分。一方中堅校が第一志望のお子さんも、この部分で点を稼がねばなりません。約半分が天体に関する知識の問題でした。多く間違っていた受験生は、覚えなおしが必要ですね。
大問2
溶解度計算に関する問題。レベルBの問題が中心で、AとCのレベルがバランスよく含まれています。レベルCは(3)②(7)①②のみ。これ以外でどこが間違っていたか、確認しましょう。
大問3
人体、消化と吸収に関することが中心の出題。この大問もレベルAとBのみ、しかもA問題が中心の出題。間違いが多かった受験生は、明らかに知識不足、つまり習ったことを忘れています。次にサピックスのカリキュラムで人体が扱われるのは9月「人体総合」です。ひとまず夏休みまでに復習と覚えなおし、知識の点検をしておきましょう。
大問4
てこに関する問題。・・・ですが、受験者全員にとって「初見」だったのではないかと思います。てこを利用した体重計の話題で、結局その仕組みがわからないまま、この大問すべてを「捨て問題」にした受験生も多かったでしょう。しかし、実はそれで「正解」ともいえます。少なくとも第一志望校が中堅レベルの中学校なら、時間と労力を使うべきはここではありません。
■入試問題を戦略的に解くという視点を
大問4のB問題は(1)のみ、あとはすべてC問題。Cの中でもかなり難度が高いといえるでしょう。配点は18点。サピックスの塾生なら問題数を数えてそれくらいの計算はしたのではないでしょうか。
ああ、ここで時間と労力をかけて勝負するより、大問1〜3に戻って不安のあったところを解き直そう、と考えた受験生も多かったと思います。ここで「大問4をほぼ丸ごと投げ出した」ということに気持ちをどれくらい揺さぶられてか、が問題です。
大問4に差し掛かった時点で、残り試験時間は数分だったはずです(理科のテストの制限時間は30分です)。ここで気持ちのタフさが求められるんです。これまでも組分けやオープンテストはそうでしたが、ここからはさらに「実戦力」「得点力」が求められるテストになっていきます。秋からの学校別オープンなどその典型です。
夏には過去問の演習も始まりますが、戦略的に「残り時間で何に取り組めば最も得点を得られるか」という視点で問題を見ることが大切になってきます。今一度、お子さんとこのテストを見なおしてみてください。夏休みが始まるまでにやるべきことが見えてくるはずです。
■四谷系・日能研でも同じことがおこります
早稲田アカデミーを含め、四谷大塚系の塾では7月10日に合不合判定テストが行われましたね。やはり受験生の夏前、いよいよ「入試対策」という言葉がリアルに聞こえるこの時期のテストだけに、同じことが起こっていると思います。
日能研は9月から6年生の公開模試が「合格判定模試」になります。こちらも入試問題並みの実戦的なテストになるでしょう。6月までのテストを「得点力」という視点で見直して夏に臨んでください。
テストで解ける問題は一人ひとり決まっています。今できないことが、テストのときに急にできるようになることはありません。「このテストで、自分の実力で最大限取れるのは何点か」を常に確認し、得点をそれに近づける努力が必要です。
そんな視点で、夏休みまでの期間にやるべきことを考えてみてください。