とても急いで問題を解く子がいます。私は「あたふた学習」と呼んでいるのですが、問題文を読み始めるなり鉛筆が動き始め、そのまま鉛筆が止まることなく答えが出る、といった具合です。いっしょに問題を解いているときなど、私が問題文を読んでいる間に、すでに答えを出してまう子もいるほどです。
 
中には、かなり難度の高い問題でもそんな調子で正解してしまう子もいます。読むスピードも思考のスピードも速い子です。
 
しかし、大部分の子どもはそんなに速く問題を正確に解くことはできません。では一体どうしているのかというと、重要な決断のときに「思考停止」するのです。
 
ある問題を考える過程で、ふつうはいくつものポイントに遭遇するものです。ちょっと立ち止まってそれまでの思考を整理したり、ここからの方針の確認をしたりという作業が必要になる場面です。問題が複雑で難しくなるほど、このような場面は多くなります。
 
どんどん解き進めていきたいところだけど、急ぎすぎると混乱してしまうので、自分を落ち着ける意味でも立ち止まって整理することが必要かな、と自分を客観的に見る時間といってもいいかもしれません。」
 
ここで、ぐっと熟考するという習慣が大切なのです。
 
でも「あたふた学習」の子にはその時間がないのです。特に記号選択問題などで顕著で、選択肢が残り2つに絞られたときなどに「エイヤッ!」で選んでしまうようなところがります。
 
これは習慣のようなもので、大量の塾の宿題に毎週対応するうち、どんどんこなしていかなければ終わらない、という気持ちから、「あたふた学習」に陥ってしまっていることがほとんどです。
 

 

夏休み、夏期講習を受講している6年生は相変わらずの宿題量だと思いますが、一度立ち止まって勉強のしかたを見なおしてみるのもよいかもしれません。 「あたふた学習」で10やっていたのを、ていねいに5だけやることに変えただけでも、ずいぶん変化が出るものです。