2020年になりましたね。
1月〜2月にかけて受験生たちを入試に送り出すという立場上、私は「お正月=めでたい」とのんびり思えず過ごすことが多いのですが、ご家庭ではひとときの団欒を楽しまれたでしょうか。
■ 中学受験は変化している?
昨年を思い返せば、春先に「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している辻義夫先生との共著「つまずきやすいところが絶対つまずかない-小学校6年間の図形の教え方」が出て、12月の末には「難関校合格のすごい勉強習慣」が出版となりました。
その間を縫って、さまざまなメディアで発信させていただきましたが、直近で印象に残っているのは「日本初 答えがない問題も?スマホ持ち込みOK入試」というテーマで「羽鳥慎一モーニングショー」に出演させていただいたことです。
私も実際に問題に取り組んでみたのですが、中学受験の問題はここ近年で大きくバリエーションが広がっています。
既存の2科目(算数/国語)、4科目(算数/国語/理科/社会)での受験問題の中での新傾向問題というのももちろんありますが、入試区分自体が新しいという試みも多く見られます。
この流れのきっかけの1つとなったのは、まぎれもなく大学入試改革ですが、そちらがどのような結果を迎えるにしても、中学入試の近年の変化は好ましいものだと私は感じています。
教科のテストで測れるもの以外に目を向けた入試が、今後どのように定着していくかはまだわかりませんが、今は各学校が試行錯誤している状況です。
今後なくなる入試区分ももちろんあるでしょうが、多面的な目で受験生を見る視点は、今後さらに増えていくでしょう。
■ 「勉強の王道」を目指せ
一方で、以前もお伝えしましたが「変わらない入試」というのも厳然と存在します。
教科の勉強はもちろん大切なのですが、ただ単に知識がある、たくさんのことを覚えているだけでは太刀打ちできないのが一流校の入試であり、過去からすでに「思考力・表現力」などを問うものです。
受験生のみなさんには、ますます「勉強の王道」を目指してがんばってほしいと思います。
「勉強の王道」と私が表現するのは、限られた手がかりから問題解決の方法を模索し、仮定や試行を重ねて正解にたどり着く過程を大切にする勉強です。
「覚えて、答えたら丸がもらえる」という勉強が難関校の入試で役に立たない(将来世の中に出てもです)ことは明白だということは、多くの方がすでに感じていることだと思います。
■ 「長文化」「読ませる出題」を意識しよう
たとえば開成中学校の入試問題をみたとき、近年明らかに文字が多く、しっかり読まなければならないという傾向が強まっていることがわかります。
これは国語ではなく、算数の話です。
「解き方を知っている」ということだけではなんともならない問題なのです。
算数や理科社会の問題にも読解力を要求する。
そんな出題は開成に限らず増えています。
そして、この傾向は続いていくのではないかと私は考えています。
いわゆる「パターン問題」というのはさらに減っていくでしょう。
始まりつつある2020年の入試問題がどうなるのか、興味深く見ています。