■5年生になって成績が下がったなら
ゴールデンウィークが終わりました。今年は3日〜5日が土日と重ならないということもあり、けっこう自由に使える時間があった、というお子さんも多かったのではないでしょうか。
塾での新しい学年が始まってから3ヶ月あまり、特に5年生で「成績が下がった」という方にお伝えしておきたいことがあります。
書籍などでもお伝えしていることですが、4年生と5年生の学習内容、密度は大きく違います。4年生までは、その週の宿題を2回、3回と繰り返してできたと思います。だから、その週に習った問題の「解き方」を完璧に「覚える」ことができたのです。
大雑把に言ってしまえば、実はこれは5年生でも同じで、お子さんの記憶力頼みということになりますが、いわゆる「復習テスト」は、その週の頑張り次第でなんとかなるのです。
4年生と5年生で最も違うのは、大きなテストです。サピックスや四谷大塚なら組分け、日能研なら公開模試といった、範囲のないテストです。
何が大きく違うのかというと、「一目見て解き方がわかる」という問題が少なくなるということです。たとえば4年生までのテストだと、「これは消去算だ」と問題を見た瞬間にわかる問題が中心だったので、消去算の解き方を覚えてさえいれば高得点が取れたのです。
■勉強のしかたを変えよう
5年生で成績が下るお子さんの勉強法に共通している1つの特徴が「暗記型」の勉強法です。4年生のときに、その週の宿題を何回も繰り返していた、というお子さんが多いです。
確かに解き方を覚えることは大切なことなのですが、それよりも大切なのが「なぜその解き方で解くのか」をわかっているといること。「消去算だからこの解き方で」ではダメなのです。そもそも、「この問題は消去算ですよ」と問題には書いていないからです。
4年生までなんとかなっていたのは、「これは消去算だ」とすぐにわかる問題が多かったからです。
さて、では5年生で成績が下がった、言われたとおり「暗記型」の勉強に偏っていた気がする、という場合、どうすればいいでしょう。
できる子は、問題を解くとき
「どうしてこの解き方で解くのか」
「問題の条件を変えられたら、同じ解き方で解けるのか」
と自問しながら解いています。
お子さんの勉強のしかたを、そうなるよう仕向けてあげてください。つきっきりになる必要はありませんが、ときどき横から「どうしてその解き方で解けるの?」という質問をしてあげるのです。
これもいろんなところで紹介していますが、お子さんが先生になって、生徒役のお母さんに問題の解き方を教える「家庭内ミニ授業」も効果的です。「家庭内ミニ授業」では、お母さんはできるだけ「できない生徒役」を演じてあげてください。
ただ習った方法を当てはめるのではなく「どうしてその解き方で解くのか」を考え、理解していないと「できない生徒」に教えることはできないからです。
■5年生で勝負がつく?
4年生までの学習で、自然に「どうしてこの解き方で解くのか」を考えながら勉強することができるようになる子もいますが、そうでない子のほうが実は多数派です。それは、塾の宿題をこなして次の週のテストに備える、という繰り返しの中で、「習った解き方をしっかり覚えて使えるようにする」という当然のことを繰り返してきたからです。
塾という「仕組み」に乗って勉強していると、どうしてもそうなりがちで、それは別に悪いことではありません。でも、そのままのやり方を続けていると、成績は頭打ちになります。
このことに早い段階で気づいて学習のしかたを変えたお子さんが、高学年で伸びるお子さんです。
学年が変わって成績が今ひとつというご家庭は、夏までに一度勉強のしかたを見なおしてみてはどうでしょう。