■同じように塾に通っても、成績がいい子とそうでない子がいる
同じように進学塾に通い、同じ先生の授業を受けても、成績が上がるお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。
もちろん、それまでの学習状況が違うとか、いろんな理由がありますが、同じくらいの時期に入塾し、塾に通うまでの学習状況はたいして違いがないように見えるのに、大きな成績の差がつくことはよくあることです。
これを、子どもの能力ややる気のせいにして済ませるのは、簡単なことです。実際に「お子さんのやる気の問題ですね」といったようなことを塾の先生に言われたことがある方も多いです。
でも、塾で成績が上がらない、理解が深まらないということは、能力ややる気ではない原因が何かあるはずなのです。
塾での勉強は、先生の話を聞いて理解し、やってみて、できるかどうか確認し、できなければできるようになるまで説明を聞いたり、また演習したりの繰り返しです。
この繰り返しの中で、お子さんの(塾、あるいは先生の、かもしれませんが)どこに問題があるのか。
聞き方はどうなのか。先生の言うことを聞いて理解できているのかを確認するには、塾でおこったことをお子さんに思い出してもらうのが効果的です。
■塾での出来事を思い出せるか
塾で先生が解説した問題はこれ、みんなで演習した問題はこれ、その答え合わせのときに先生はこんな説明をした、といった事実を聞き取っていきます。
たとえば、説明してもらった問題やみんなで演習した問題がどれかが思い出せないような場合は、塾の授業に「参加」できているのか疑わしいでしょう。まわりの子が騒がしいとか、お子さん自身が授業に集中できていないとか、中には「先生が他の子を叱りつけるのが怖すぎて、それしか覚えていない」ということを言った子も過去にいました。
そこまでではないにしても、説明してもらった問題に関して先生が言ったことがうまく再現できない場合などは、うまく聞いて理解できていないということですから、その原因をつきとめなければなりません。
多くの場合、聞くことが上手にできていない子は、聞くべきときに何か別のことをしてしまっています。遊んでいるとかそういうことではなく、ノートをとっているとか、前にやった問題のことを考えているとか、そんなことです。
このような場合、お母さんがすべきことは2つ。
■授業をしっかり聞かせるためにお母さんがすべきこと
1つは聞くことに集中しやすい準備をさせること。塾の先生が説明しているときに、子どもが夢中でシャープペンシルの芯を入替えているなんてことは、塾ではよくあることです。そんなことが無いよう、きちんと準備をして出かけることを教えてあげなければなりません。
もう1つは、「聞くべきときには聞くのだ」ということを教えてあげることです。先生が解説しているときは、書くことよりも聞くことを優先し、そちらに集中するよう教えてあげるのです。
そのためにノートが不十分になったとしても、結果として理解度が高いほうがお子さんの成績は上がるものです。
意外に意識されることがない「授業の聞き方」とその準備。一度確認してみてください。
■インターネットの情報は正しいとは限らない
新刊の執筆をしています。そんな中で、中学受験を検討しているご家庭のお母さんの持つ、受験に関する情報の多さと、誤った情報の多さをあらためて感じています。
ちょっとインターネットで検索すれば、本当に様々な情報を手に入れられる時代になりました。少し前には考えられなかったことです。
ただ、気をつけたいのは、それらの情報のすべてが正しいとは限らないということです。実はインターネットで検索してみると、意外に多く誤った情報が流通していることに気付きます。すべての個人が発信できる情報化社会では、しかたがないことなのかもしれません。
間違った情報でないとしても、自分にとってぴったりの情報でないということはよくあります。
各塾が発表する「合格体験記」もその一例で、情報としては正しい。実際に経験したご本人が書いているわけなので、多少の記憶違いがあるかもしれませんが、誤った情報ではないでしょう。しかし、それをそのまま自分の子どもに当てはめても、うまくいくとは限らないのです。
「算数が苦手だったので、5年生の夏は◯◯という問題集を購入して、毎日1ページやらせてみたんです。そしたら算数の成績がみるみる・・・」こんな体験記を読むと、「◯◯という問題集はそんなにいいのか。」という気持ちにもなります。でも、うまくいったのはそのお子さん一人だけで、同じように算数が苦手であったとしても、同じ方法が我が子にとってぴったりという保証はありません。
そういう意味では、情報が多い時代というのは、情報の取捨選択が難しい、大変な時代といえるでしょう。
■信頼できる情報源とその使い方は
そんな中、お子さんにぴったりの情報をどのように手に入れればいいのかというと、もっとも確かなのは、お子さんのことをよく知っている人からの情報。受験勉強に関しては、塾の先生や担当の家庭教師や個別の先生ということになります。
先生の過去の経験の中から、できるだけお子さんに近い条件だった事例を教えてもらう。今のお子さんに最も近い状態だったお子さんは、どんな勉強をして結果を出したのか。
こういった知識と経験のストックを多く持っているのが、スキルの高い講師の1つの特徴です。
塾の先生はたくさんの生徒を担当しているので、わが子のことだけを考えてくれるのか、と思われるかもしれませんが、ふだんからちゃんとコミュニケーションを取っていれば、相談に乗ってくれるはずです。
上手に塾と講師を使い、お子さんにとってもっとも効果的な学習とは何かを見つけ出していきましょう。