近頃、小学校低学年や年長の子どもをお持ちのお母さんからの相談が増えてきました。
 
習い事や家での様子や小学校での様子をお聞きすることから始めているのですが、時には先走りすぎだと感じてしまうことがあります。
 
このブログでも何度かお話ししたように、学習は3段階です。
 
第1段階 生活知識
 
普段の生活の中で身につく知識や身体感覚です。“速く歩けば短い時間で着く” “金属のボールに熱湯を入れると熱くて持てないのに、カップラーメンの容器に熱湯を入れたら持つことが出来る” “二日後と二日目は違う”・・・このような日常生活で感じ取る経験です。多くは身体感覚に結びつき、その後の学習の基盤を作ります。
 
第2段階 基礎学習
 
いわゆる「読み書きそろばん」と言われるものです。音読や黙読を通じて意味をとらえる練習。読みやすい文字や数字をてばやく書く練習、基本的な計算が素早く正確に出来るようにする。これらの基礎学力は単純作業に思われますが、頭の働きとしてみればなかなか複雑です。
 
音読をスムーズにするには、先読みの視線移動が必要です。また、黙読においては、目から入った画像情報を文字情報に換え意味をとらえます。数字を扱う練習では、一瞬数字を頭にとどめておくという作業記憶(短期記憶)の能力が必要です。
 
これらの能力は、今後の学習効率を高める上で大切になってきます。
 
第3段階 応用学習
 
算数の文章題を解けるようになったり、国語の長文の意味をとらえ問題を解くことが出来るようになったり。物事のつながりを理解したり、原因と結果の関係が分かったり、その上でそれらの事項を長期記憶に収納したり。
 
この3つの学習段階は、大まかに時期が分かれています。
 
第1段階の生活知識は、生まれてから小学5・6年生あたりまで。
 
第2段階の基礎学習は、年長から小学4・5年生あたりまで。
 
第3段階の応用学習は、小学3・4年生から。
 
これらのことから、小学校の低学年や年長さんには、第1段階の生活知識と第2段階の基礎学習が大切だと考えています。小学校に入る前から勉強机の前に座らせ続けているようでは、生活知識をや身体感覚が鍛えられません。
 
受験勉強の先取りをむやみにやってしまうと、因果関係を理解する力が育ちません。時期に応じた学習内容と学習スタイルが大切になります。受験時期のご相談だけではなく、年長さんから小学校低学年までの方の相談にも積極的に応じていきたいと考えています。受験勉強の成果大きくするためには、低学年時の正しい学習が必要ですから。