前回は、小4・5年生の一般的な夏休みの使い方を書きました。

今回は、普段ジタバタと時間にせかされた学習をしているお子さんをお持ちの親御様に向けて書いてみたいと思います。

 ・頑張って勉強をしているのに成績が上がらない。

 ・ミスが多い。(ちゃんと読んでいないんじゃないかと思えるほどにミスが多い)

 ・普段のノートの字が乱雑になってきた。

このような状態を、「ジタバタ学習」と名付けています。

こういう時のお子さんの気持ちは、次のような思いで一杯になっています。

「もう間に合わないから、とりあえず覚えちゃおう。」

「これを早く終わらせて、次にこれをやらなくっちゃ!」

「正解を出すことよりは、早く終わらせなくっちゃ!」

そして、勉強の方法は、極端に暗記に偏っていきます。

算数の問題ですら、1問1問覚えようとしてしまっているわけです。

この問題は、以前やったあの問題と
考え方が似ているぞとか、あの考え方が使えるぞと言うような、解き方の関連づけに全く気持ちが向かわない状態になっています。

「うちの子は、テキストの復習はちゃんと出来るのに、少し文章が変わったりするだけで解けなくなってしなうのですが・・・?」というご相談が多いのですが、この状態こそ、「1問1問暗記してしまっている学習」です。

 
□半年先に危険が迫っています□

この状態で、新学年の2月を迎えたらどうなるでしょう。

学習内容が、一段難しくなり、問題が複雑になってきます。これまでに習った内容がわかっていることを前提にしながら、別の要素が絡まってきます。そうなる
と、これまでの、「片っ端から覚えていく学習」では太刀打ちできなくなります。時間的にも、子供の記憶力の面でも限界を超えてしまうのです。

 小4・5年生にとって、夏休みは、この「じたばた学習」から抜け出すことが出来る最大のチャンスです。

時間の使い方としては、

1 早起きの習慣をつけさせる。

2 塾の授業の復習の時間をたっぷりと取る。

3 お子さんが先生役、お母さんやお父さんが生徒役になって、算数を説明してもらう時間を確保する。

また、お子様への言葉かけで大切なことがあります。

お子様自身が、自然に自分の頭の中の言葉で考えていけるような言葉掛けです。

そして、前にもお話しした「非言語コミュニケーション」も最大限にご利用ください。

そして、出来れば一日に30分程度はお子さんの勉強につきあってあげてください。

「夏休みは、学校には行かなくていいんだから、焦って宿題をこなさなくっていいんだよ。(ニコッ)」と言ってあげてから、

「問題文を最初から最後まで読み切ってから、考え始めるというルールにしようね。」

「式をちゃんと書いてから計算を始めると、難しい算数の問題も解けるようになるわよ。(ニコッ)」

「線分図や面積図をじっくりと丁寧に書いていいのよ。時間はたっぷりあるんだから。」

算数の問題を解き始めたら、

「その式で何が出たの?」

「A君の速さ。」

「そうね。偉いわね。単位は?」

「km毎時。」

「次に何が出せそう?」

「池の周りの長さ。」

「次のこともちゃんとわかっているのね。最後まで自分で出来ちゃいそうね、がんばって。」

このように、お子さんが考えていることを自己確認できるような質問を投げかけてあげてください。

くれぐれも、

「こうすればA君の速さが出るでしょ。その後池の周りの長さをそうやって出して、それからB君の速さをこうやって出せばいいんでしょ。」

というような説明は控えてください。あくまでも、お子さん自信が気付くのをサポートする姿勢です。

そして、一日の締めくくりは、

「○○ちゃんの算数教室」です。

その日に、お子さんが勉強した問題の中でちょっと難しいと感じた問題を2?3問を自分で選んで、親御様を生徒役にして、授業をやってもらうのです。授業という形式に照れてしまうお子さんの場合は、

「この問題の解き方をお母さんに教えてくれる。」(説明しなさい!という命令口調は禁物です。)と言ってみてください。

そして、お子さんが説明しているときには、大げさに相づちをうったり、うなずいたりしてあげてください。

 ここでも、注意が必要です。

お子さんのたどたどしい説明に、思わず、

「そうじゃないでしょ!これが○○になって□□だから・・・。」

とならないように、ぐっと我慢です。

 お子さんが、自分の頭の中の言葉で考えるようになる練習だと言い聞かせながら、ニコニコと聞いてあげてください。