皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

 

 

■志望校の合格可能性を判定するテストが本格的に始まります

 

学校でも新学年が始まり、6年生はいよいよ受験学年という気持ちで毎日の学習に励んでいることと思います。

同時に大手進学塾でも次のように4月から志望校の合格可能性を判定するテストが本格的に実施されます。

塾名

テスト名

実施予定日

日能研

実力判定テスト

4月8日

能開センター

中学受験公開模試 第3回

希学園

公開テスト

浜学園

公開学力テスト

四谷大塚

合不合判定テスト 第1回

サピックス

志望校判定サピックスオープン 第1回

4月15日

馬渕教室

馬淵公開模試 第2回

浜学園

合否判定学力テスト 第1回

4月22日

(五十音・日程順)

日能研はこれまでの「全国公開模試 実力判定テスト」が、5月からは「全国公開模試 志望校選定テスト」といった名称に変わり、成績資料に「自分の成績を基準に、志望校に対する可能性を確かめる(日能研HPより)」ことができる志望校判定情報が追加されるようになります。

四谷大塚も「公開組分けテスト」と異なり、「合不合判定テスト」では、「全国最多の受験生の成績結果と志望動向を、四谷大塚が持つ過去の膨大な合否データと照らし合わせて、 合格判定ラインを算出(四谷大塚HPより)」した詳細資料をつけてテストを返却します。

サピックスが実施する「志望校判定サピックスオープン」は、各教科1本であったテストが、算数と国語はAタイプが各35分、Bタイプが各45分、理科もAタイプ が20分、Bタイプが30分のように各教科2本となっています。AタイプとBタイプはそれぞれ、「知識の定着度と問題処理能力をみる問題(Aタイプ)、思考力と記述力を測る問題(Bタイプ)」という内容になっており、「2つのテストを受験することにより、より精度の高い形で志望校への適性や合格可能性を判定する(いずれもサピックスHPより)」ことができるものとされています。

このような2本立てのテストは、浜学園の「合否判定学力テスト」も同じです。そこで今回は、浜学園の「合否判定学力テスト」について見ていきたいと思います。

 

 

■浜学園の合否判定学力テスト

 

浜学園のHPではこの「合否判定学力テスト」について、「実際の入試出題傾向を踏まえた本格的なテストです。(中略)公開学力テストより多少難度を高め、出題形式も多様にして、入試レベルに柔軟に対応できるようにしています」と説明されています。それでは出題の特徴について具体的に見ていきます。次の表は、2017年4月23日に行われました「第1回 合否判定学力テスト」の出題分野と私が考える難度(A:基本問題 B:少し難しい基本問題 C:定番の問題 D:やや難しい問題 E:難しい問題 F:非常に難しい問題)です。

算数Ⅰ(試験時間50分 満点100点/平均点46.8点)

問題番号

主題分野

単元

配点

難度

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

数と計算

等差数列

5点

A

(3)

数と計算

逆算

5点

A

(4)

割合と比

比例式

5点

A

(5)

数と計算

群数列

5点

A

(6)

立体図形

円すいの展開図と表面積

5点

A

(7)

数と計算

概数の逆算

5点

A

(8)

割合と比

連比と比例配分

5点

A

(9)

割合と比

割合と線分図

5点

B

(10)

和と差の文章題

平均算

5点

C

(11)

数と計算

最小公倍数の利用

5点

A

(12)

平面図形

円の面積

5点

B

(13)

速さ

流水算と比の利用

5点

C

(14)

平面図形

三角形の相似

5点

C

(15)

和と差の文章題

平均算と①解法

5点

D

(16)

割合と比の文章題

食塩水の濃さと比の利用

5点

C

(17)

立体図形

角すい台の展開図と体積

5点

C

(18)

数と計算

数の性質と特殊な倍数

5点

E

(19)

立体図形

サイコロの転がり

5点

F

(20)

立体図形

表面積の最大化

5点

E

 

算数Ⅱ(試験時間50分 満点100点/平均点50.9点)

問題番号

主題分野

単元

配点

難度

1

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

四則計算

5点

A

(3)

時間の計算問題

5点

A

2

(1)

数と計算

四則計算

5点

A

(2)

繰り返しと余りの処理

5点

A

(3)

繰り返す数の和

5点

B

3

(1)

平面図形

区切り面積(等高図形の面積比)

5点

A

(2)

隣辺比

5点

C

(3)

まわりから引く

5点

C

4

(1)

場合の数

順列

5点

A

(2)

場合分けまたは余事象の利用

5点

C

(3)

平均または繰り返しの利用

5点

D

5

(1)

平面図形

転がり移動の作図

5点

C

(2)

描いた線の長さ

5点

C

(3)

線で囲まれた図形の面積

5点

C

6

(1)

速さ

最小公倍数の利用

5点

A

(2)

3点の重なり

5点

C

(3)

二等辺三角形を作る3点の位置

5点

E

7

(1)

立体図形

投影図の読み取り

5点

C

(2)

5点

D

2017年の4月に実施された「第1回 合否判定学力テスト」の平均点を見ると、「一問一答式の算数Ⅰの方が、大問形式の算数Ⅱよりも易しい」とは言い切れないように思われます。しかし、詳細に見ていくと、どの中学を受験する場合でも正解できるようになっておきたい問題(難度A・B)の配点は、算数Ⅰが55点、算数Ⅱが45点となっていますから、出題者の意図は、「算数Ⅰは受験知識の確認」であったと想像されます。

それでも結果として算数Ⅱの平均点の方が高くなっている理由は、この時期の受験生が「一問一答式の問題で失点をしてしまってはいるが、1ランク上の定番問題(難度C)を算数Ⅰよりも算数Ⅱで多く正解できた」からではないかと思われます。

 

 ■合否判定学力テストに向けた準備

 さてこのように見てくると、「第1回 合否判定学力テスト」は、基本問題(難度A・B)を全問正解できればほぼ平均点に達し、定番問題(難度C)で得点を上乗せできると偏差値50を超えていくことができそうです。それでも実際には得点が20~39点の受験生が、受験者数の25%弱を占めています。

ですから偏差値50を目標とする場合は、①基本問題レベルの知識確認、②四則計算問題を含む基本問題を必ず正解させる練習の2点が合否判定学力テストに向けた準備になるといえます。また、難度Cまでを全問正解できれば上位100位前後の得点に達しますから、偏差値56以上が目標である場合も、①定番問題の知識確認、②定番問題を必ず正解させる練習の2点が合否判定学力テストに向けた準備になるでしょう。

これらの準備はいずれもマスターコースのテーマ教材や演習教材を利用して行うことができます。出題分野が広範囲なのですべての準備は時間的に難しいでしょうから、まずは「平均的だとは思うけれどもう少し伸ばせそうな気がする分野」、「少し苦手な分野」の順に、これらの教材を利用しておさらいをしておくとよいのではないかと思います。