今回は、あるお母さんへのメッセージの形を取りながら、皆様へのアドバイスにしたいと思います。

(あるお母さんへのメッセージ)
今回の合否判定の結果が悪かったとのこと、ご心配のこととお察しします。

 

得意な算数と理科の成績が少し下がっていらっしゃるとのこと。

算数も理科も、解くためには子どもなりの型が大切です。

算数においては、解き方のパターンです。○○と□□の差から△△を求めて、それを利用して鶴亀算に持ち込むというような

思考の順序と、まず線分図を描いてからその差を〇数字で表して・・・というような作業の順序が解き方のパターンです。

理科においては、問題文を読みながら、その中にある1つ1つの重要言語から何を連想しながら理解していくのか、

これが知識部分の型ですし、

基準数字を求めてそれを書き出して、その下にわかっている数字を書き問われているものを確認する・・・というような作業の手順が、

型になります。
 

この型は、身についたと思っていても、しばらく使わずにいると忘れてしまうものです。

テストを見直して、「あっ、そうだった!あ”~」という叫び声は、知っていたけれど曖昧になっていたことの証拠です。

でも、単純知識ではなくて、解き方の型が曖昧になっているだけですから、あまり時間をかけずに復活させることが可能です。

典型的な問題を選びだして、それを項目毎に数問ずつ解き直しをさせることで解決します。

いけないのは、「流水算の応用が解けなかった」

→「流水算の基本を忘れたのではないかしら」

→「速さも怪しいわ」

→「そういえば時間計算も心配」

というように、負のスパイラルに落ち込むことです。
 

○○さんのように、数ヶ月前まで偏差値60近辺の高い学力を保っていたお子さんが、ふとしたきっかけで点数を下げる原因は、

1 体調

2 睡眠不足

3 型が曖昧になった

この3つです。

 お母さんの負のスパイラルが良くないのは、お母さんの不安感がお子さんに伝染するからです。

入試直前の緊張感の高まっている時期ですから、お母さんの言葉やちょっとした仕草にも敏感になっています。

「あなた、本当に速さは大丈夫なの?」と聞くだけで、○○さんなら、

「私本当に大丈夫かな。もしかしたら速さだけじゃないかも。」と思い始めます。

問題を解くときに、これまでは「私だったら解けるはず!」と自信満々に向かうことが出来たのに、

「私に解けるかな?」と成功の予感が持てない状態で問題に向かうことにななってしまいます。
 

確かに点数が下がったのですから、何らかの原因はあります。それを解決してあげればすむことです。

○○さんの志望校にも少し試行錯誤を必要とする問題が出題されます。

試行錯誤が必要な問題と型に当てはめて解く問題とは、解きはじめの頭の使い方が違います。

試行錯誤型の問題ばかりをやっていると、型がおろそかになります。

型で解く問題ばかりをやっていると試行錯誤型に弱くなります。

さじ加減が大切なのです。
 

お子さんがこれまでに無いような悪い点数を取ってきた時は、是非、平静を装ってください。

子どもが寝た後で答案を見て、型を忘れ始めていないかを見てあげてください。
 

○○さんとは、一週間後にお会いできますから、お子さんの答案と問題用紙に残った計算や式の跡を見せてください。

そのときに、6年生で使ってきた教材をテーブルにど~んと積んでおいてください。

型を思い出すために必要な問題を選び出します。

あっそうそう、付箋もお願いします。
                                            (あるお母さんへのメッセージ 終わり)

実は、入試直前にふとしたきっかけで点数が下がり、それがきっかけとなってボロボロになってしまう子どもがたくさんいます。

志望校に向けて、これまで順調に来ていたのに「よりによってなぜこの時期に」と思われるでしょうが、

瞬間的な点数降下はよくあることです。

「慢心するな」という天からの声だとでもとらえてください。

そして、テストで解けなかったのと同じ型の問題を、数問ずつゆっくりと解かせてください。

そして、「これで、このタイプの問題は大丈夫になったね。良かったね。」と言ってあげてください。