6年生の夏には、「志望校を目指すクラスに参加できない」ことを理由に、転塾を希望する相談を頂戴する機会が増えます。
そこで、6年夏からの転塾について、お話しましょう。今回はその前編です。

・なぜ6年の夏から転塾するの?

転塾を考えるきっかけの多くは、志望校別特訓(以下、志別)について「通っているA塾では参加資格がないが、

別のB塾では参加させてくれるそうだ。」

「通っているA塾では参加資格を取るのが難しいが、別のB塾なら取れるかもしれない。」と言った理由です。


 

・志望校別特訓への参加資格って何?
各塾とも、卒業生の豊富な模試データをもとに、志別のコースに参加する資格基準を公開模試の偏差値により設定しています。

ですから、参加資格にあたる成績を達成できないお子様が、その塾から合格した実績はかなり少ないと思ってください。

参加資格に足る成績を取ることは、志望校合格の必要条件と言えるでしょう。

 

・志望校別特訓への参加は不可欠なの?

しかし、実績を作ることと、志別に参加することは同じではありません。

どの塾でも志別の対象校となっている学校はごく一部の超有名校だけでそれ以外は、複数の対象校を持つ合併クラスか、

コース自体が存在しないのです。

 

単一の対象校を持つ場合は学習内容も特化され、参加する意味があります。

しかしそれ以外は、お子様が必要とする学習内容に特化して勉強するわけではないために、

志別への参加が合格への必要条件だとは言い切れません。

 

・単一の対象校を持つコースなら参加が必須?
それでは、単一の対象校を持つコースなら参加が必要なのでしょうか。

そのコースにクラスが3つあるとしましょう。

上位クラスから順に合格者の占める割合は、80%、40%、0%が平均的な値だと思ってください。

もし参加できたとしても2組の上位に位置しなければ合格の可能性は低いのです。

しかも、志別クラスは志望校へ向けた傾向、対策授業であり、成績向上を目的としたクラスではありません。

受講をしても、上位クラスへ上がるための指導はないものと考えるのが妥当でしょう。

クラスアップには自助努力を期待されるのです。

志別3組で受講をすべきか、自分のための学習時間を確保して成績向上を目指すべきか、悩ましい選択ですね。

資格は無いが今の志望校を変える選択をしない場合、私なら10月までは後者をお勧めします。そして、11月に受験校変更も含めて決断です。

 

・塾の先生が絶対参加を求めるのはなぜ?

塾の先生方が志別への絶対参加を求める理由は、主に次にあげるようなことです。

①他の塾へ行かせないため。

②自分達が受験まで寄り添うことで生まれる先生自身とご家庭双方の安心感。

③志望校別特訓で子供達のモチベーションを引き上げるため。

④営業努力


この中で、納得できそうな理由は③くらいでしょうか。

 

・転塾しますか?
このように志別の参加資格となる成績を実績として残すことは重要ですが、9月段階で余裕がない場合には

志別への参加が合格に必要だとは思えません。

さらに、今、成績が足りないことには何か改善の余地があるはずなのですが、それが十分に検証されていないケースも多く、

先ずは成績アップのために必要なことを検証したり、実践しうたりしないで転塾しても、

転塾先でも成績が伸びなかった例も数多く発生しています。


とても大切な問題ですから、受験のプロを交えて十分に検討をしてから決定をしてくださいね。

それでも、やっぱり転塾を選ぶ方には次回、転塾の際に気をつけたいことをお話しましょう。