□悩み方が間違っていませんか(1)□

上位校を目指す方々からの相談が例年通り増えてきました。
特に小6の方からの相談が多くなっています。

Aさんのお母様から
「2ヶ月前までα2にいたのですが、今はαからも落ちてしまいました。これまで通りに遅くまでまじめに勉強しているのですが、なかなか成績が戻りません。前半の1行問題のところではミスが増えていますし、後半の応用問題では解き方が見つけられていません。
子供は、どうしても桜蔭に行きたいと言っていますが、このままでは無理だと思います。何か良い問題集はありませんでしょうか。」

このご相談から見えてくるお子さんの問題点を整理してみましょう。
1 基本問題でのミスが増えた。
2 自分で解き方を考えつかなければいけない応用問題が解けない。
この2点が現状の問題点です。

そして、お母様が改善策としてお考えなのが、「良い問題集を使って学習を増やすこと」です。

これまで、成績の良かったお子さんが、これまで通りの学習量を確保しているのに成績が下がるには、必ず原因があります。それは、学習量でも、問題集の質でもありません。
これまでの勉強の仕方が間違っていた。または、これまでの勉強の仕方では間に合わなくなってきた事が理由です。勉強の姿勢という曖昧な言い方ではなかなか理解いただけませんから、別の言い方をさせていただきます。
「勉強に向かう気持ちの持ちよう」です。実は、これも誤解を受けやすい言い方ですね。自分から頑張って勉強しようという気持ちが無いから効果が現れない。このような事を言いたいのだと誤解されてしまいます。

御三家を目指し、大手塾の上位クラスに在籍している小6生たちの中で、「勉強に対するやる気」の面で問題を抱えている例はほとんどありません。(5年生や4年生にはよくあることなのですが)授業は集中してよく聞いていますし、睡眠時間を自ら削って宿題を頑張っている子たちがほとんどなのです。

これまで、上位クラスをキープしてきた子供たちは、「インプットの達人」だと言えます。授業で説明された重要語句や重要パターンを記憶し、家庭学習で定着させてきました。その定着率が点数を決めていのです。上位クラスを維持してきたのは、その努力の成果ですから、おおいにねぎらってあげてください。また、「インプット」した知識をそのまま「アウトプット」するだけで解くことができる能力を持っていたことの証拠にもなります。うちの子は頭脳明晰なんだとお考えになって間違いありません。

ところが、頭の中に多種多様な知識が入り、しかもなお、新しい知識をどんどん吸収していかなければいけない今、「インプット」した知識が、「アウトプット」にスムーズにつながらなくなってきたのです。

「頭脳の引き出しから、この問題を解くために必要な知識を探し出す意欲」が、今必要になってきたのです。

この意欲を引き出す方法については、次回以降に考えていきたいと思います。