夏休みも終盤。
6年生はいよいよ9月から本格的な志望校対策に入っていきます。
サピックスのお子さんたちは、夏休み中に過去問演習の宿題が出ましたね。
特に国語科のチェックが厳しかったのではないかと思いますが、受験が近づいていることを実感したのではないでしょうか。
■夏こそ「あたふた学習」に注意
さて、5年生までのお子さんですが、夏期講習が(早稲アカなどは夏休みギリギリまでありますが)そろそろ終わりますね。
夏休みはあと一週間ほど残っていますが、ここまでのお子さんの勉強をちょっと振り返ってみましょう。
「あたふた学習」になっていなかったでしょうか?
学校が休みで、塾は夏期講習だけ。
そんなに大変そうに感じなかったかもしれませんが、お子さんたちはけっこう大変だったはずです。
復習内容もあるとはいえ、夏期講習では毎日のように目まぐるしく学習単元が変わるからです。
毎日塾の宿題を「片付ける」に終始してしまったようだ・・・
そんな印象を持っているお父さん、お母さんもいらっしゃると思います。
もしそうだとしたら、ここから一週間、お子さんには丁寧に過ごさせてあげたいですね。
■「まっさらな人」に説明してわかってもらえるか
夏期講習のテキスト、もういちど開いてみましょう。
それぞれの単元を俯瞰して眺め、お子さんなりの理解状況を聞いてみてあげてほしいのです。
この単元はだいたいわかっている、こっちの単元はちょっと自信がない、といった主観的なもので構いません。
その中で「あまり理解できていないとお子さんが感じている単元を、もう一度丁寧にやり直してみましょう。
問題を解くことが第一の目的ではなく、解説できることを目的としてみてください。
復習してお子さんが解けたら、それをお父さん、お母さんがわかるように説明してもらいましょう。
その時、ぜひお子さんに伝えてほしいことがあるのです。
それは「まっさらな人がわかるように説明して」ということです。
その単元、その問題をまったく知らない人に対して、その人がわかるように説明するよう伝えるのです。
「1学年下の、勉強が苦手な子に説明して」
と伝えるのもいいですね。
お父さん、お母さんが「まっさらな人」になりきって聞いて、説明が理解できればお子さんの理解度はかなりのものだといえるでしょう。
■「その問題が解けただけ」では意味がない
これは夏休みに限った話ではないのですが、「この問題が解けたからOK」という勉強にならないように意識しておきたいですね。
角度を変えて聞かれたら答えられたか。
正解がこの選択肢でなかったら解けたか
こういった「もしも○○だったら解けるか」を常に考える子が、いわゆる「できる子」です。
たとえば理科の植物の問題で、次のようなものがあるとします。
【問題】
次の4つの植物のうち、3つには共通した特徴があります。それな何でしょうか。
ア キュウリ イ トウモロコシ ウ マツヨイグサ エ マツ
いろんな可能性が考えられますが、回答例としては
キュウリ・トウモロコシ・マツは単性花(雄花と雌花がある植物)である
ですね。
雄花と雌花がある植物は
「父ちゃん 売り ます 一兆円」
トウモロコシ ウリ科 マツ科 イチョウ
で覚えられますが(中学受験情報局というポータルサイトでご一緒している辻義夫先生に教えてもらいました。うまい語呂合わせですね)、では正解ではなかった「マツヨイグサ」にスポットをあてられたら答えられたのか、という視点が大切なのです。
夏休み、ちょっとあたふたと過ごしてしまったかな、というならぜひ残りの一週間、このような丁寧な学習を心がけてみてください。
■図形はセンスがないとできるようにならない?
「図形はセンス」
よく言われる、このセリフ。
本当でしょうか。
確かに、小さな頃から抜群の「空間把握のセンス」を見せる子はいます。
しかし、そのような子は稀で、ほんの一部です。
図形に関する「閃き」と私たちが感じているものの実態は、無から生まれているものではありません。
これまでにつけてきた知識と知識が結びつき、新たな「気付き」が得られた瞬間が「閃いた」という瞬間だと私は考えています。
たとえば、計算問題を図形の問題として解くことができる、という「知識」があります。
1000 × 1000 − 1001 × 999
といった計算を面積計算に置き換えて考えられる、というようなものです。
1000 × 1000 は ア+ウ、
1001 × 999 は イ+ウ
だから、1000 × 1000 と 1001 × 999 のちがいは
ア − イ つまり
1000 − 999 = 1
ということになりますね。
この考え方を、自分だけでできる子はほとんどいません。
「計算問題を面積に置き換えて考えてもいいんだよ」
と誰かに教えてもらって、初めてそのような視点を持つことができるようになるのです。
■「1 + 2 + 3 + 2 + 1」は図形の問題!?
「1 + 2 + 3 + 2 + 1 = 9 ですが、1 + 2 + 3 +・・・+ 99 + 100 + 99 ・・・+ 3 + 2 + 1 = ? 」
このような問題を考えるとき、上記の「計算問題を図形の問題として考えてよい」という知識と、「1 + 2 + 3 + 2 + 1 = 9」という例示から「9は平方数だ」と気付けば、「平方数⇒正方形」と考えて
「1 + 2 + 3 + 2 + 1 = 3 × 3 = 9」
と、図形に置き換えられると考え、
「1 + 2 + 3 +・・・+ 99 + 100 + 99 ・・・+ 3 + 2 + 1 = 100 × 100 = 10000」という「閃き」が得られる可能性が出てきます。
これは「計算問題を図形の問題として考えてよい」という知識がなければ出てこない発想です。
■「気付き」を得られるように、厳選した知識をつける
理数系の科目をすべて「知識」「暗記」だけで乗り切ることができないのは、いろんなところでお伝えしている通りですが、「思考」「閃き」のもとになる知識はつけておかねばなりません。
そんな知識を「裏ワザ」としてお教えする問題集を発売しました。
私が監修させていただき、著者として本を作成してくださったのは、「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している算数の前田昌宏氏。
特に高学年のお子さんで「図形分野でもうワンランク偏差値をアップしたい」というお子さんには役立つものになったのではと感じています。
「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で明日8日(火)12時からプレゼント付きのキャンペーンを開催されるようなので、図形分野で実力アップしたいという方は、ぜひ明日サイトを覗いてみてください。
7月31日、聖徳学園小学校で5日間に渡って行われた「知能教育夏期セミナー」の最終日の弁士としてお招きいただき、お話ししてきました。
2才〜5歳児のお父さん、お母さんが対象です。
約90分の持ち時間でお話ししたのですが、会場の熱気がものすごく、あっという間の90分でした。
なんでも海外からのご参加もあったようで、参加者の皆さんの意識の高さ、教育への関心の高さに、話にも熱が入りました。
■遊ぶように勉強する
「知能教育」というと、なんだか小さいうちから机に向かわせて、ドリルのようなものをさせるようなイメージをもたれる方もいるかもしれませんが、聖徳学園の和田校長先生のお話に私がとても共感するのは「遊びながら勉強させる」「遊びのように勉強させる」という部分。
まったくそのとおりで、そう有るべきだと感じています。
学校というのは、外から見ているだけではわからないものです。
フジテレビ「フルタチさん」に出演させていただいたときに、古舘伊知郎さんと一緒に聖徳学園にロケでお邪魔したのが、今回セミナーに弁士として招いていただくきっかけだったのですが、ロケのときは驚きました。
どうしてもテレビやメディアでは「IQ130」という言葉が独り歩きするようなところがあるのですが、行っておられる教育は、非常に真っ当で、オリジナリティが高く、そしてとても工夫が凝らされたものでした。
■勉強は本来、楽しいもの
セミナー当日、参加者のお子さんたちは、教室で授業(?)だったのですが、まさに「遊ぶように勉強」していました。
小さな紙テープで自分が作った「かたち」を、見学に入った私たちに誇らしげに見せに来てくれた子もいました。
小さな子は、楽しそうに勉強します。
見ることも書くことも、とても楽しく、彼らの好奇心を刺激することなのです。
でも、大きくなってくると、どこかで「楽しいと思えない」という瞬間を迎える子が出てきます。
それは、学年が上がるにつれて習うことが高度になり、「習ったのにわからない」「みんなわかっているのに、自分だけわからないからつまらない」といったことが起こってくるからです。
でもそこで、何かのきっかけで乗り越えることができれば、また楽しく勉強しよう、という気持ちになれるのです。
私がご相談を受けるご家庭のお子さんの中には「勉強が楽しめない」という状態になっているお子さんがたくさんいます。
わからないことが出てきたときに、それを乗り越えるより速く進学塾のカリキュラムが進んでしまうため、きっかけを失ってしまっているのです。
そこを乗り越えるお手伝いをするのが、わたしの仕事の1つだと考えています。
■夏休みこそ「思考力」を育てる勉強を
夏休み、受験生のお子さんは塾の夏期講習などで忙しいかもしれませんが、6年生以外は空き時間も割と豊富にあるのではないかと思います。
ぜひ、ああでもない、こうでもない、と考え抜く時間をとってほしいと考えています。
塾の宿題を「こなす」ことばかりに目が行っては、「考える楽しさ」「勉強の楽しさ」が見えにくくなってしまいます。
あまり長時間でなくていいので、こういう「考える楽しさ」を日常の勉強の中に残すことが、受験勉強を乗り切っていく上で、とても大切なことです。
ぜひ、そんな時間をとるよう意識してみてください。