月: 2012年2月

合格実績から見る塾の選び方

家庭教師を依頼されるお子さん方の所属塾は、年によって大きく偏りが出ます。
特に受験を間近に控えた6年生の所属塾です。
昨年は日能研の小6の生徒が中心でした。
ところが今年はサピックスのお子さんが多いのです。

昨年は、日能研のテキスト改訂の影響だろうと思います。
パターン暗記が多かったテキストから、学習の本質に迫ろうという意欲に満ちたテキストへの
改訂だったのですが、自学自習のやり方がわからない子供たちにとっては使いにくいことが
多かったようです。

今年、サピックスのお子さん方が多い理由がどうもはっきりしなかったのです。
ところが、今週の単元を教えてみておぼろげながら見えてきました。

今週の小6算数は、図形の移動です。
回転移動をした図形の軌跡について長さを求めたり面積を求めたりする単元です。
テキストのA問題から他塾より少し難しめです。中堅校から中堅上位校に出題されるレベルです。そしてC問題で既に御三家や御三家受験者の併願校レベルの問題が入っています。
DやE問題はそれ以上です。

それらの問題を解説しながら、ふと目を動かしたときに、ダイニングテーブルの端においてある
サピックスの合格実績のプリントが目に入りました。
開成○○○人・桜蔭○○人・・・と印刷してあります。
それを見た瞬間に、何となく今年はサピックスのお子さん方が多い理由がわかったように
感じたのです。
サピックスでは、困っている子が増えつつあるんじゃないだろうかと。

サピックスの、この上位校の圧倒的な合格者数は、他の大手塾の脅威でしょう。
これが、合格実績が外側に与える影響です。
でも、この合格者数がサピックスの内側に与える影響を考える必要があると感じたのです。
サピックスには、いわゆる出来る子が多く集まっていることは異論の無いところでしょう。
サピックスにおいては御三家を志望する事は何も特別なことではなくて普通のことです。
それが、子供たちを教えている講師の方々の気持ちに染みこんでいるんだろうと感じたのです。

今、私が教えにうかがわせて頂いている何人かのサピックス6年生のお子さんは、
たまたま同じようなクラスにいます。
通っている教室は異なるのですが。
だからといって、同じ問題を説明する時に同じ解説では済まないのです。
なぜそうなるかを説明することによって理解しやすくなるお子さんもいますし、その問題の
発展型を解かせることによって理解が深まる子もいます。
ゆっくりと話す必要のあるお子さん、早口が許されるお子さん、複数回説明する必要がある
お子さん。
同じような位置のクラスにいるにも関わらず、一人一人の頭脳の働き方が大きく異なるのです。

集団指導塾である限り、一人一人にあわせた教え方は出来ません。
教壇に立つ講師の方々が、そのクラスのモデルをイメージして授業を進めることになります。
そのモデルイメージは、多くの場合、クラスの平均値より少し上になります。

子供たちを教える場合は、聞き取りスピード・理解度の深さ・知識量・知識のアウトプットスピード
・インプットスピードなど、いろいろな要素についてモデルイメージを持って教える事になるはず
なのです。
それぞれの要素において、そのクラスの平均値より少し上がモデルイメージになります。

この、クラス毎のモデルイメージが上に引っ張られがちになるのではないかと
かすかな不安を感じたのです。

実は、このモデルイメージを上手に作ることが出来るようになるには、そのレベルの
クラス担当の経験値が必要になります。
経験値が上がれば上手にイメージすることが出来るようになります。
私自身の経験から、出来る子を多く担当しているとどうしても、難しいことをスピーディーに
教えがちになるものだと思っています。

これは、集団指導塾から離れたからこそ言えることです。
集団指導塾でやっていた頃にそんなことを第三者から言われたら、
「そんなことは無い!この子たちの能力や学力は誰よりも知っている!」
と、聞く耳を持たなかったと思います。

上記のようなことを考えながら、上手な塾選びは、
「目指す中学校レベルに多くの生徒をコンスタントに入れている塾」
を探すことから始めることが、やはり大切なんだな感じました。

今春の入試を振り返る(概観)

私達は、毎年入試が終わるとすぐにその年の入試問題を解いて、各学校毎に問題傾向が
変化したのかしなかったのかを詳細に分析します。
 今年も、そのミーティングの第1回目を実施しました。
このときばかりは、普段寡黙な先生方も突然雄弁になります。
まだまだ、学校毎の詳細な情報をお出しできる段階ではありませんが、
今年の入試問題の概観だけでも取り急ぎお知らせします。

● 算数
○パターン理解で解ける学校と、そうはいかない学校との区別がよりはっきりしてきた。
○パターン理解では、何ともならない学校では、条件提示の文章が長くしかも込み入ってきた。
○提示された条件に基づいて、面倒がらずに丁寧に処理していくことが出来れば決して
 難しくない。
(○条件提示が込み入ってきたばかりに、出題者自身が気付かない出題ミスすら
散見されるようになった)

パターン理解だけでは解けない学校は、
開成・桜蔭・筑駒・麻布・双葉・栄光・渋幕・海城・渋渋 などです。
(武蔵は意外にパターン理解で通過できます)

○○算というような特殊算を一生懸命に学習してきたことが、意外に役に立たないと言える
学校群です。
・問題文を丁寧に読む。
・題意(条件と結論)を正確に読み取る。
ここまでで、既に勝負がついてしまう問題だと言えます。
小六の1学期までの、短い文章で出来ている塾の模擬テストでは対応力が判定できません。
2学期の志望校判定テストなどの、文章の長いテストで始めて対応力が分かる学校群だとも
言えます。

● 国語
算数においてパターン理解では何ともならない学校を中心として、記述の多い上位校の
素材文が、非常に難しくなった。
細かい情景描写が延々と続くような文章が多くなった事も大切な変化。
おにぎりに巻いたノリの様子を延々と書いてある文章すらある。
このような学校に対しては、塾テキストになるような問題演習をやりこなしても、
対応力は身につかない。
細かく読む事を真剣に練習していかせることが必須になった。

(私)「難しくって、どの程度難しくなったの?お母さん方にはどのように説明すれば
分かってもらえる?」

(国語講師)「そんなの簡単ですよ。お母さんがその文章を読めば、どの程度難しい文章かは
すぐに分かってもらえると思いますよ。」

(私)「細かく読む練習って、どうしたら良いの。」

(国語講師)「その場その場で適切な質問を重ねていくのが一番効果的なんだけれど、
それをお母さんにやってくださいとはちょっと言えないな。
子供自身がやるにも限界があるし。
その場にいって、私が質問できれば一番簡単なんだけれど。う~ん、困った。」

(私)「それは、家庭の言語レベルが大切だって事?」

(国語教師)「確かにそれも大きく関係するんだけれど、それ以上に言葉を大切にする
環境が大きく影響するって事かな。
よく言うじゃない、細部に魂は宿る、とか、細部に精神が宿るとか。
伝えたいことをニュアンスも含めて正確に相手に話そうとすると、その主題に付随する
メタ情報も微に入り細にわたり話すことが必要になるよね。
いつも、概略や事実の表層部分だけを伝えてそれで終わりするのではなくて、
状況説明や情景描写を含めてニュアンスまでも伝え合うような会話が、
時々はなされている環境が大切だと思っているんだけど。」

(私)「ああ、なるほど。
例のおにぎりに巻いてある海苔の状況説明が延々と続く文章のことだね。
確かにあの文章は、読んでいるうちに生唾が出てきそうだよね。
でも、小学生が最後まで読み切るには、素養というか慣れが必要だよね。」

(国語講師)「そうそう、読解の学習を通して細部を読み取る素養や慣れを養成していくことが、
教える際の肝になる。
だから、塾テキストの問題演習ばかりを大量にやってもなかなか効果は上がらない。」

 このような会話(雑談)が続きました。

パターン学習や大量演習・繰り返し学習だけでは歯が立たない学校群は、
ますますその特色を際立たせてきたと言えます。

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「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

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▼2021年6月26日(土)

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▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

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