皆さん、こんにちは。

塾ソムリエ西村則康が主催する名門指導会において、関西エリア統括を担当している都関です。

西村のコラムページの場を借りて、関西の情報をお伝えしています。

■2019年度の関西エリアの中学入試

関西エリアでは2019年度の中学入試も終りました。

主な難関中の受験状況(1月23日現在)は次の通りです。

学校名

2019年度

2018年度

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

募集人数

受験者数

合格者数

実質倍率

180

708

262

2.7倍

180

727

252

2.9倍

東大寺学園

176

884

351

2.5倍

176

911

373

2.4倍

大阪星光学院

190

733

298

2.5倍

190

730

284

2.6倍

甲陽学院

200

393

220

1.8倍

200

402

222

1.8倍

神戸女学院

135

※262

135

248

159

1.6倍

四天王寺

245

674

531

1.3倍

245

600

471

1.3倍

洛南(男)

190

※910

190

551

210

2.6倍

洛南(女)

254

71

3.8倍

西大和(男)

180

960

520

1.8倍

180

1067

471

2.3倍

西大和(女)

40

219

37

5.9倍

40

286

51

5.6倍

清風南海A(男)

200

※908

416

※2.2倍

200

559

242

2.3倍

清風南海A(女)

387

153

2.5倍

高槻B(男)

70

※841

345

※12.0倍

70

770

321

2.4倍

高槻B(女)

35

※404

87

※11.5倍

35

296

100

3.0倍

須磨学園

120

●226

●90

●2.9倍

120

1044

404

2.6倍

注:※は志願者数、●は第1回のみ、‐は未公開

全体的に見ると受験者数は2018年度よりもやや減少していますが、そのような中で、大阪星光学院中学と四天王寺中学は受験者数を増やしており、人気の高さが伺えます。

また、受験者は減ったものの、東大寺学園中学、西大和学園女子中等部は実質倍率が昨年度より高くなり、受験生には厳しい結果となっています。

■2019年度の灘中学の入試状況

それでは関西の大手進学塾がその合格者数を競い合う灘中学の入試状況はどうだったのでしょうか。

2018年度は、志願者数735名、受験者数727名、合格者数252名(内、東京都39名・神奈川県19名)、実質倍率2.88倍、入学者数185名でしたが、2019年度は志願者数731名、受験者数708名、合格者数262名(内、東京都45名・神奈川県21名)、実質倍率2.70倍となりました。

出願時点では昨年比で4名減でしたが欠席が15名増となったこと、東京都と神奈川県の合格者数が昨年比で8名増になったためか全体の合格者数は10名増で、実質倍率は0.18ポイント下がりました。

とはいえ、2015年度は2.61倍、2016年度は2.67倍、2017年度は2.76倍でしたから、相変わらずの狭き門だといえそうです。

一方で、2019年度の入学試験の合格者平均はというと、算数が大きく下がったため、500点満点の総合では、過去5年で最も低い318.6点となりました。

合格者平均

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

算数1(100点)

54.4

54.8

63.1

66.5

49.8

算数2(100点)

64.6

61.2

62.4

69.2

56.8

算数計(200点)

119.0

115.9

125.5

135.7

106.6

総合(500点)

343.0

320.7

346.3

348.7

318.6

その結果、合格者平均と受験者平均の差が、国語9.6点/200点、理科8.7点/100点に対し、算数23.6点/200点で、力の差がでた試験結果でした。

■灘中学の2019年度の算数の入試問題と2020年度入試に向けた対策

上記のように低い得点となった算数ですが、「超難問」のオンパレードだったのかというと、実はそうでもないのです。

なかなか難しいことではありますが、もし、冷静に対処できていたならば、もう少し得点することが可能な試験だったのではないかと思います。

と言うのも、灘中学の過去の問題や難関中の出題に似た問題があるからです。

算数1日目の大問4は昨年度の大問4と非常に似かよった問題ですし、大問8も2004年に出された問題の解き方が利用できます。

大問3の覆面算風の問題、大問11の展開図の組み立ても灘中学の過去問演習で必ず取り扱われる題材ですから、灘中学の受験生であれば正解可能な問題です。

それでも点数が伸びなかったのは、例年は1枚目の数論や場合の数などを中心とした問題が難しく、2枚目の図形分野が比較的解きやすいのに対し、今年はそれが逆になっていたため、戸惑いを感じてしまって力を発揮できなかったということがあったのではないかと思います。

試験会場、特にそれが第1志望校の場合、小学生が緊張せずいつも通りに問題に取り組むということは非常に難しいのですが、それだけに過去問を研究することはとても大切なことだといえるのです。

ただ過去問を解くだけでなく、なぜそのような解き方を選べるのか、さらにどのような解き方を身につけることが必要なのかを知ること、それらに加えて、公式的に解き方を覚えるのではなく、問題演習を通してその解き方が成立する理由を深く考えて本当の力をつけていくことが、灘中学のような難関中を受験する勉強では重要なことだと思います。