■講師に向いている人
先日、中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」で主任相談員としてご一緒している小川大介さん、辻義夫さんとお話ししていたときに「講師に向いている人」という話題になりました。
いろいろな要素が出てきたのですが、中でも3人が共通して考えたのが「相手ができるようになることが嬉しいと感じる人」ということ。
「教えるのが仕事なんだから当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、講師として未熟なときは、なかなかこの喜びが感じられないのです。
喜びを感じる余裕がない、というのがその大きな理由。
学生のアルバイトで塾講師や家庭教師をしたときの「生徒ができるようになったときの喜び」を覚えていて、それが志望動機となって講師の応募をしてこられる方も多いのですが、社会人として、プロとして「お子さんの成績を上げる」ということにコミットするとなると、学生時代のアルバイトとはプレッシャーが違います。
もちろん、お子さんにもお父さん、お母さんにシビアに評価していただかなければ、講師としての成長はありません。
その上で、相手に評価され、信頼され、相手が成長していくことを心から喜べる関係と結果を作り出すことができるのが、いい講師ではないかという結論になりました。
■中学受験に関わる講師全体のレベルアップを
未熟な時代はどの講師にもあるものですが、「相手ができるようになる喜びを得たい」という志を持って講師になったのに、その喜びを深いところで知ることができるようになる前に挫折してしまう方もいます。
どんな仕事でも同じだと思うのですが、ある程度の経験を積まないと、その仕事の本当の楽しさややりがいのようなものは感じづらいものです。
そんな楽しさややりがいがはっきりと感じられるようになるまでは、ただがむしゃらに、努力を続けなければなんともなりません。
ただ、そうなるまでの期間を短くしてあげることは可能と考えています。
先輩講師の経験や知恵を教えてもらうことで、講師としてぐんぐん成長してもらうというわけです。
事実、私が主宰する家庭教師の「名門指導会」では、月2回講師のみなさんに集まってもらい、勉強会を行っているのですが、やはり先生方の「成長」には目をみはるものがあります。
名門指導会はプロ講師ばかりの集まりなので、新人の先生が一から、というシチュエーションは少ないのですが、月2回の「情報交換」がもたらす先生方への影響は大きいと感じています。
もうすでに一流の講師の方たちばかりですが、それでも成長を続けない訳にはいきません。
入試問題も、中学受験をとりまく状況も変化を続けているからです。
今後、できれば他の塾、家庭教師派遣会社の講師の方たちも巻き込んで「中学受験に関わる講師全体のレベルアップ」の動きをとっていければと考えています。
楽しみにしていてください。
6月になりましたね。
蒸し暑い日も多いですが、逆に夜は肌寒い日もあり、体調管理も難しいところです。
サピックスでは約1か月後、「7月度 入室・組分けテスト」がありますね。
塾によってはもうすでに夏休み・夏期講習のクラスが決まってしまっているところもありますが、これから決まる、という場合は「なんとか夏は上のクラスで」という思いかもしれません。
■6月は「差をつける」絶好の機会
6月は祝祭日がなく「退屈・単調な月」だと言われます。
梅雨入りの季節ということもあり、子どもたちも大人も体調を崩しやすく、モチベーションも上がりにくい月です。
しかし逆に考えると、そんな時期だからこそ、「差をつけるチャンス」と捉えることもできます。
サピックスの組分けテストは、範囲がありません。
だから、ふだんどおり「今週のこと」だけやっていると、テストに出る苦手単元や「うろ覚え」になってしまっていることがらに引っかかり、失点してしまいます。
そのあたりを復習しておかなければ、と頭でわかっていても、ついつい日々やるべきことに忙殺され、何もできないまま来月のテストを迎える、という子が多数です。
なかなかふだんの勉強に「+α」の復習を加えるのは難しいのが現実ですが、だからこそ、その「+α」ができた子は7月組分けでグンと差をつけられるというわけです。
■「うろ覚え」を狙い撃ち
しかし、先程も書いたとおり「ついつい日々やるべきことに忙殺され・・・」となってしまいがちなのが受験生。
サピックスのように課題量が多い塾ならなおさらです。
「あれもこれも」と考えていては、結局何もできなかったとなってしまいがちです。
短時間、隙間の時間でできて効果があると期待できるのが「うろ覚え」の撃退です。
今までできなかった応用問題、難問をクリアしようとするのではなく、「できるはずなのに間違う」という問題を少しでも減らす、という方向です。
どの塾のどのテストでもそうですが、基本問題〜標準問題くらいのレベル、つまり正答率が50%を超えるくらいのレベルの問題を全部正解すれば、平均点くらいはとれるようにできているのです。
それにプラスして、自分の得意分野の応用問題が少しでもできる子が、みんなから頭一つ抜け出す子です。
まずは、テスト直しのときに「あ〜、これできたはずなのに、惜しい!」となりそうな問題をなくすことからです。
算数なら、倍数・約数の問題や「〜通り」といった場合の数の数え出し、定番の図形問題の中に、「解き方を忘れかかっている」ものが存在するはずです。
演習の材料は基礎トレなどでじゅうぶん。
「できたはずなのに」という問題を探すのが目的ですから、わかるものはどんどんこなして「あれ?」となる問題を探す作業を、1日20分とか30分と時間を決めて(最短10分でも、みつけられれば儲けもの)やるのです。
地味な作業ですが、確実に効果は期待できます。
6年生以外の学年、サピックス以外の塾の方も、同じような発想で6月の単調な毎日に「+α」を加えてみてはどうでしょう。