月: 2016年9月

5年生の算数のレベルが上っていきます

■5年生は塾の算数が難しくなっていく

 

各塾、5年生の算数の学習内容は佳境に入っていきます。

 

サピックスでは「総合(速さ)」を終えるといろいろな種類の文章題の学習に入ります。「仕事算」「倍数算」「相当算」などです。いずれも割合や比の考え方が絡むので、夏休み前に学習した「割合(1)〜(4)」そして夏の「比と割合(1)(2)」で不安があったなら、これらの単元の前に復習しておくとよいのですが、その時間がとれるかがポイントです。

 

ただ、基礎が不安定なところに応用を学習しても、効果はあまり上がりません。ちょっとやりくりして時間を捻出することをおすすめします。

 

日能研では10月は比の学習を重点的に行います。そして11月は速さ。中学受験の算数の中でも最重要単元にあたるものの学習になります。ここで苦手になってしまうと確実に不利です。比で重要なのは、面積図やてんびん図をしっかり理解できているかということ。特に日能研では面積図を多用します。

 

食塩水などの濃度も「食塩水の重さ×濃さ=とけている食塩の重さ」という公式で考えるのではなく、長方形の面積に置き換えて計算することで、逆比が便利に使える面積図。てんびん図も逆比を使った解き方です。これがちゃんと使える、使えないで、今後様々な場面で差が出てきます。

 

私が運営する家庭教師「名門指導会」でも、5年生のこの時期から後は割合や比と速さ、そしてそれらに関する文章題でつまずいたという問い合わせ、ご相談がもっとも多くなります。「今日は塾でどんなこと習ったの?」という質問で、お子さんがどんな説明をするか聞いてみてください。

 

今ひとつ理解できていないようなら、特にこれらの単元は授業の復習と解き直しを通して「公式まる覚えになっていないか」注意して見てあげてください。割合、速さともに、理解が浅いと子どもは公式をまる覚えしようとします。「そうしてその式になるの?」という質問で、理解度を知ることができます。

 

 

■四谷大塚の5年生も、やはり秋は比と速さ

 

四谷大塚の5年生も、10月は比の1ヶ月です。これまで習ってきた比の考え方を、速さや平面図形の問題で使う、より実戦的なものです。

 

「速さと比」ではダイヤグラム(グラフ)を使います。実際にグラフを書いたり、示されたグラフを使って問題を解くことももちろん大切なのですが、もっと大切なのは「状況図(動きを線分図のような図で表したもの)ではなく、ダイヤグラムを使って考える問題にはどのようなものがあるのかを知ること。

 

ダイヤグラムを使った解き方を知っていても、それをどんな問題に使えばいいかがわかっているかということです。速さの問題だからなんでもダイヤグラムを使えばいいかといえば、そういうわけではありません。ダイヤグラムを使うのがよい問題も、状況図を使ったほうが解きやすい問題もあるのです。

 

ダイヤグラムを使って解くのに適しているのは、時間の経過が大きな比重を占めているもの。状況図の中に「時間の経過」を表すのは難しいですが、ダイヤグラムならグラフの横軸が時間を表すので、「時間がたつ=グラフが横に伸びる」というふうに表せるからです。

 

「解き方」と同じくらい「その解き方をどのようなタイプの問題で使うのがいいのか」を知ることが大切なのです。

 

 

■「志望校判定テスト」で点が取れないということは

 

9月22日、四谷大塚で5年生対象の「志望校判定テスト」が実施されました。このテストに限らずですが、「ふだんの復習テスト、小テストなら点が取れるのに、大きなテストになると点が取れません」というお悩みの原因は、上記の「その解き方をどのようなタイプの問題で使うのがいいのか」がわかっていないことです。

 

毎週塾に通い、さまざまな問題の様々な解き方をお子さんたちは習っています。テストで解き方がわからなかったのに、先生にして質問に行くと、「なんだその解き方だったのか」と気づくことも多いのです。つまり、解き方を知らなかったのではなく、その解き方を使うということに気づかなかったのです。

 

5年生はこれからテストのレベルが上がるという話も以前しましたが、レベルの高いテストの問題というのは「この問題は今までに習ったどの解き方を使うのか」がわかりにくいようになっているのです。問題の条件を整理していくとだんだん解法が見えてきたり、幾つかの解法を組合せて使うと解けるようになったり、といったつくりになっています。

 

「大きなテストで点が取れない」という悩みがあるなら、ふだんの学習から「どうしてこの解き方なのか」を意識して勉強させるようにしてみてください。

この時期から5年生のご家庭からのご相談も増えますが、6年生の受験に向けての相談も多くなる時期ですので、ご相談があれば早めにお願いできればと思います。

お子さんのテンションが上がらないときの対処法

なかなか宿題に取りかからないわが子を見て、あるいは勉強をイヤイヤやっている姿を見て、「もう、それなら受験なんてやめちゃいなさい!」なんてことを言ってしまったというお話を、初めてご相談に来られたお母さんから聞くことがあります。

 ご家庭により様々ですが、中学受験をすることに決めた発端は、お子さん自身であることも多いようです。

 特に男の子は、純粋というか気まぐれというか、ほんのちょっとしたことがきっかけで「僕◯◯中学校に行く!」と盛り上がったりするわけです。

 それが悪いというわけではありません。男の子の親御さんならよく分かるのではないかと思うのですが、小学生の男の子というのはそんなものです。

 

 ■「自分で決めたんだから、やりなさい!」ではなんともならない

 「それにしたって、自分で受験するって決めたんだから、さっさとやんなさいよ!」

お母さんがそんな気持ちになるのもわかります。「僕◯◯中学校に行く!」で始まった受験、だったらと協力し始めたお父さん、お母さんの心配をよそに、さっぱりテンションの上がらない様子を見せることがあるのも子どもです。

 特に、6年生になってから受験することを決めて塾に通いはじめたお子さんは、塾の授業についていくのが大変で「やってもやっても結果が出ない・・・」という気持ちになりがちです。そのためテンションが上がらないことも多いようです。

 中学受験の進学塾は、4年生、遅くとも5年生くらいには受験勉強を始めるものとしてカリキュラムを組んでいます。塾での5年生の「ベース」がない状態での6年生の勉強は、想像以上に大変なのです。さらに4年生のぶんまで抜けているとなれば、かなり地頭のいいお子さんでもずいぶん苦戦するはずです。

 勉強のテンションが上がらないのがこのような理由だったら、「自分で決めたんだからやんなさい」では解決しません。

 

・志望校の偏差値と今のお子さんの偏差値にはどれくらいギャップがあるか

・塾の授業スタイルはお子さんの理解のスピード、レベルにあっているか

 

の2点をチェックしてみて、著しく無理がありそうなら志望校の変更、塾の課題量の調整や、場合によっては転塾の検討もしなければなりません。

 

 ■うまくいっているのにテンションが上がらない事例は少ない

 塾の授業もよくわかって、成績も取れているのにテンションが上がらない、という事例はあまりありません。塾の授業がわかれば面白いですし、成績が取れれば嬉しいでしょうから、珍しい事例といえます。

 このような場合は勉強面での問題というよりは、塾の友達とうまくいっていないなど、人間関係のトラブルなどが原因になっていることが多いようです。

 やはり家庭学習のテンションが上がらない場合は、勉強面で何かの問題点を抱えていることがほとんどで、その原因を突き止めて解決することが大切です。

 お母さんが感情的にならずに現状を把握するには「なぜ?」という質問ではなく「何?」という質問を心がけるのがよいでしょう。

 「どうして宿題をやらないの?」

 という質問はどうしても感情が先に立ってしまうし、お子さんもそう受け取りがちです。

感情でぶつかり合っても(ときには必要かもしれませんが)、お互い摺り減るばかりです。

 「何があったの?」

という質問で、事実として何が起こっているのかを冷静に聞くようにしたいものです。冷静に聞いてみると、予想もしなかった事実がわかってきたりもするものです。

 

夏休みが終わり、日も短く忙しい毎日が戻ってきました。

目標を共有し、しっかりコミュニケーションをとりつつ2学期を乗り切っていきましょう。

 

新年度までの4ヶ月あまり、どう過ごす?

「先生、お友達はみんながんばっているのに、うちの子はぜんぜん必死になってなくて、困っているんです。」
謙遜混じりによくお母さんたちからご相談(?)を受けます。
さて、6年生はともかく(もうかなり「必死」モードのお子さんも多いと思います)、5年生のお子さんだったら、これはちょっと「求めすぎ」かもしれません。
■5年の9月に「必死」になれないとダメか
この4日にサピックスでは「小5志望校診断サピックスオープン」の第1回が行われ、22日には四谷大塚でも5年生対象の「志望校判定テスト」が行われます。いよいよ「志望校」という言葉を冠したテストが実施され、テストの難度もあがることはお伝えしてきました。
・・・でも、今5年生のお子さんがお母さんから見て「必死」かというと、ほとんどのお子さんは親がヤキモキするくらい「のんびり」して見えると思います。これはしかたがないと割り切りましょう。
子どもが先を見通す力は、まだまだ大人に比べるとつたないものです。
お母さんが「6年生まであと5ヶ月もないのに・・・」と焦る気持ちは、残念ながらお子さんはあまり実感していません。だからこそテストでも平常心で受けられるのかもしれませんが。
だからといって、ここからの4ヶ月あまりば大切でないというのではありません。次々とやってくる大きなテストも、そのテストなおしもとても大切です。
ここから数ヶ月、うまくお子さんをリードしてあげたいものです。
■4年生も次の学年に備えて準備を
下の問題を見てください。
9月4日に行われた四谷大塚の4年生組分けテスト、大問6です。正方形アの面積を求めるのが問題(1)、そして問題(2)では、3点P,Q,Rを結んでできる三角形の面積を求める問題です。
(1)は、正方形アとイの1辺の長さの合計が31cmで、その差が3cmという「和と差」に着目し、和差算で解く問題です。和差算の考え方、やり方は知っていても、この図形の問題を「和差算の考え方で解けばいい」と考えついたでしょうか。
5年生、6年生に比べるとまだまだ易しいですが、「問題を見抜く力」を要求する問題です。
このような問題がだんだん4年生にも求められ始めます。5年生に向け、お子さんに「問題を見抜く力」がついているかどうかチェックしてみるといいですね。 

受験生のご家庭に意識しておいてほしいこと

■6年生は「入試モード」
9月、各塾の6年生は一斉に「入試モード」に入っていきます。
サピックスでは「学校別サピックスオープン」が、早稲田アカデミーでもNN志望校別コースの学校別オープン模試が行われます。日能研も公開模試の表題が「合格判定テスト」になりますね。いよいよ学校名のついた模試や判定の出るテストがどんどん行われるわけですが、これらの模試を受けていく中で、「志望校」と「受験校」をはっきりさせていく段階に入っていきます。
第一志望校の関する考え方は、ご家庭によりそれぞれです。実力相応のところを、と考えているご家庭もあれば、第一志望校はチャレンジなんだけれども、それ以外の学校でしっかり「押さえる」という考え方もありです。
■用意したい「押さえの学校」
意識しておいていただきたいのは、この「押さえる」という感覚です。私たち講師はよく「押さえの学校」と呼んだりしますが、お子さんの実力なら合格できる可能性がまずまず高く、「ここなら通わせてもOK」と親御さんも思えるような学校です。
早々と第一志望校をあきらめる、というのではありません。入試が近づいてくればくるほど、お子さんも親御さんも気持ちの余裕はなくなるし、視野も狭くなってしまうのがふつうです。
「何が何でも◯◯中学校」
という気持ちはわかるのですが、お子さんはさておき親御さんは一歩引いて「受験戦略」を考えるべきです。
一番危ないのが、「実力よりもちょっと上」の学校ばかりで受験計画を立ててしまうこと。最良の場合は「さて、どの学校に通わせようか」という嬉しい悩みになりますが、最悪の場合は・・・と考えると、お勧めできません。
せめて1つは「押さえ」を用意してください。
今すぐにでなくても大丈夫です。ここから学校別の模試を受けてその結果が出る中で、考えていけばいいのです。
■入試問題の「共通点」「違い」をチェック
特に首都圏は学校が多く、受験校選びも難しいのですが、受験する可能性のある学校に関しては、過去問をしっかり見ておくようにしましょう。「解く」よりもまず「見る」ことからです。
過去問を「見る」というのは、たとえば国語は記述が多いのか、選択式回答が多いのか、算数はパターン問題中心か、高度な思考を要する問題が中心なのか、解き方は書かなければならないのか、理科の計算は多いのか、といったことをまずはチェックするのです。
受験校が多くなりがちな首都圏で、受ける学校が全部タイプの違う問題ばかりだと、対策に手が回りません。まずは解答用紙を親御さんがチェックするところから始めましょう。受験校の過去問の「共通点」「違い」を把握することで、受験戦略の修正ができるわけです。
残り5ヶ月足らず、冷静に過ごしていきましょう。 

▼2022年11月18日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「<志望校・併願校の決め方 校風、偏差値と問題傾向から決める! 合格するための受験校の選び方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年10月28日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「小学4・5・6年生対象 めざせ合格「過去問」の正しい使い方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月30日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「飛躍的に成績を上げる!苦手克服 勉強法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年9月10日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【4・5年生】9月から偏差値10UPを狙うオンラインセミナー  毎年2学期に成績を上げるご家庭がやっている10個のこと」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年8月5日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験の「基本のキ!」令和4年度版 最新の中高一貫校の選び方から受験の傾向まで全部分かる!」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年7月21日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「【2022年夏】確実に成績が上がる夏期講習の受け方 3つのポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年7月8日(金)

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▼2022年6月24日(金)

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▼2022年5月26日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「6年夏休みに成績を大きく伸ばす6月・7月の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。。

▼2022年4月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「家庭学習のやり方を指南  塾に通っているだけで、安心していませんか?」にて、講師を担当させていただきました。

▼2022年4月14日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「夏休みまでに偏差値5UP 6年生GWで成績を上げる10のポイント」にて、講師を担当させていただきました。。

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▼2022年2月25日(金)

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▼2021年11月19日(金)

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▼2021年10月22日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験合格つかむ「過去問」使い方セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年9月24日(金)

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「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「7/16入試にも役立つ夏休み自由研究対策セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月26日(土)

新渡戸文化学園が主催するオンラインセミナー「中学受験へ向かうみなさまへ 中学受験って何? 大切なことは何?」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2021年6月25日(金)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「親が知りたい中学受験のキホン」をにて、講師を担当させていただきました。

▼2020年10月14日(水)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験セミナー第2弾!過去問を活⽤する家庭学習のコツ」をにて、講師を担当させていただきました。にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年9月29日(火)

「日経DUAL」が主催するオンラインセミナー「中学受験 コロナで変わる!併願校の選び⽅/合格を導くための模試の問題⽤紙・答案⽤紙活⽤法」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月12日(金)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するオンラインセミナー「ウィズコロナ時代の中学受験を成功させる夏の過ごし方」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年6月6日(土)

増進堂 受験研究社が主催するオンラインセミナー「学校再開・塾再開にどう向き合うか」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2月19日(水)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年首都圏中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2020年2 月6日(木)

「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」が主催するセミナー「2020年関西中学受験 入試分析セミナー」にて、講師を担当させていただきました。

▼2019年10 月11日(金)

淑徳与野幼稚園が主催する講演会「父母講座 我が子への根拠の無い信頼の大切さ」にて、講師を担当させていただきました。

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