■親の行動が子どもを勉強嫌いにする?
主任相談員を務めさせていただいたいる、中学受験ポータルサイト「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の「子どもを勉強嫌いにする親の行動3選」という記事で、同じく主任相談員としてご一緒している個別指導教室SS-1の副代表、辻義夫氏とともにインタビューを受けました。
「子どもを勉強嫌いにする親の行動」とのことで考えてみたのですが、これがけっこうあるんですね。ふだん何気なく行っていること、あるいは無意識のうちにとっている行動が、お子さんを勉強嫌いにすることって、あるんです。
逆に言えば、接し方を意識して変えることで、お子さんを勉強好きにだってできるはずです。
では、どんな行動がお子さんを勉強嫌いにするのか。
記事と重複することをお伝えするわけにはいかないので、記事でお応えしたのとは別のことをお伝えすると、1つは「なんでも親が先回り」してしまうこと。
たとえば小学生には、1年の年間計画を立て、それを3ヶ月の中期計画に落とし込んで、月次目標ができ、一週間の・・・といった計画をまだうまく立てられるわけではありません。しかし、明日塾でなんの授業があるか、来週までに宿題をどのあたりまでやればいいか、といったことは考えることができます。
今日何をやるか、どうやるか、何問やるのか、明日持っていくものは何か、といったことまで、親がぜんぶ先回りして考えるようになってしまうと、子どもは毎日の勉強(に限りませんが)に楽しみを感じられなくなってしまいます。
計画を立てるにしても、お子さんにも意見を聞き、一緒に考えるということが大切です。
主体的に、何事も「自分事」として考えて行動するのは、受験勉強にかぎらず重要なことです。
■「命令文+or」ではなく「命令文+and」を
英語の構文で、
「命令文+or 〜」というのがあります。日本語に訳すと「◯◯しなさい、さもないと〜」でしたね。もう一つ「命令文+and 〜」というのもありました。「◯◯しなさい、そうすれば〜」という日本語訳でした。
さて、みなさんは誰かからものを頼まれる場合、どちらで頼まれると「やってみよう」と思うでしょうか。
「◯◯しなさい、さもないと〜」の「〜」の続きに入るのは否定的な言葉です。やらないとひどい目にあうとか、そんなことでしょう。一方、「◯◯しなさい、そうすれば〜」の「〜」に続くのは、肯定的な表現です。
否定的な言葉は、人からモチベーションや勇気、やる気を奪います。平たく言えば「◯◯しなさい、さもないと〜」は脅しなので、言われた方も相手の言うことを聞きたいとは思わないでしょう。
お子さんに頼んで勉強してもらうわけではないですが、どうせ伝えるなら、肯定的な表現で伝えたいものです。否定的な表現ばかり伝えると、お子さんは「嫌な気持ちになること」を避けるため、聞き流すようになります。気持ちを塞いで、否定的な言葉の影響を受けないように、自然と自分を防衛するのです。
そうなると勉強どころか、親子関係すらうまくいかなくなっていきます。
■何でも話せる関係になっているか
上の項目とも関係することですが、悩んだときに真っ先に相談できるのは、特にお子さんが小学生の間は親です。中学校、高校と成長していくと、だんだん家庭の外の世界の人に相談するようになっていきますが、今はまだその時期ではありません。
学校のこと、塾のこと、受験生にかぎらず、お子さんにも悩みや不安はあります。ご自身が子どもだったとき、どうでしたか?
私はよくお父さん、お母さんたちにこのように質問して、ご自身が子どもだった時のことを思い出してもらいます。はじめは「覚えていない」と仰っていても、よく思い出してもらうと、けっこう思い出されるものなんです。
そしてそのとき思い出すのが、「ああ、あのとき親からこんなことを言われたのが嫌だったんだよね」といったこと。「もっと勉強することの大切さを、噛み砕いて説明してほしかった」「自分の価値観を押し付けてくるのが嫌だったんですよね」というようなこともあれば、「習いごとをやめたいって言ったときに、もっと止めてほしかった。我慢することの大切さを教えてほしかった」といったこともあります。
親は親で、きっと「もっとこうしてあげればよかった」ということがあるのでしょう。私も成人した娘の親としては、そんなことだらけです。
たまにはそんな、自分が子どもの時のことを思い出して「この子にどう接してあげればいいだろう」と考えるような親御さんになら、お子さんは悩んだときに「親になんか相談しても・・・」とは思わないと思うのです。
受験勉強、長いようで後で思い返せばあっという間です。この時期を私は「家族の青春時代」と強く感じます。忘れがたい、輝きの時代です。
充実した時間にしていきましょう。