10月29日、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」の主任相談員としてご一緒させていただいている、個別指導教室「SS-1(エスエスワン)代表の小川大介さんと、YouTubeを使ったオンラインセミナーの講師を務めさせていただきました。

 

ついこの間夏が終わったと思えば、もう11月。肌寒い日も多くなり、冬の訪れが近づいていることを意識させられます。この時期になると、お母さん、お父さんたちも、この学年、1年間の総括をすることが多くなってきますね。今の塾で、今の学年の授業をここまで受けてきて、全般として成績、学習状況などをどう評価できるかな、といったことです。

 

みなさん、今の塾に多少の不満や要望はあるでしょうが、基本的には今の延長線上で、大幅な路線変更よりは現状の改善で頑張らせてみよう、という方が多いのではないかと思います。それでも成績がなかなか上がらないとか、がんばっているのに結果が見えてこない、という思いを持っている方も多いというのは、日々お受けするみなさんのお悩み相談などからも、痛いほど感じることです。

 

お子さんを塾に通わせていれば、苦手科目や苦手単元が出てくることもあります。今回の単元はあまり理解が進んでいないな、と感じる場面が日常の中にあると思います。もう11月、そろそろそんな単元をしっかり身につけさせなくちゃ、と考えたときに、真っ先に思い浮かぶのは冬期講習です。とりあえず冬休みには、気になっているあれとあれをしっかりやらせよう、とか考えるわけです。

 

ここで夏休みを思い出していただきたいのですが、あれもやりたい、これもさせたいと思っていたのに、なんだかなんとなく終わってしまって、結局苦手単元は克服できたのかしら、となっているご家庭も多いのではないでしょうか。こういう感覚をお持ちのお母さん、お父さんがご相談に来られたときに聞いてみると、「講習会は復習だから、そこでこれまで苦手だった◯◯をしっかり理解して・・・」と考えていた、という方が多いのです。あらかじめ講習会前にカリキュラムを確認し、お子さんの苦手単元が含まれているかをちゃんとチャックしていた、という方も多いのです。

 

どうして、あらかじめ「夏休みには◯◯を習得させたい」と心づもりをして、さらにカリキュラムまでチェックしたのに、終わってみたら苦手が克服できていないということが起こるのか。

それは、講習会のカリキュラムにお子さんの苦手単元が含まれていたとしても、お子さんに必要なレベルの問題や、過去に習ってできなかった、分からなかった問題が扱われるかどうかがわからないからです。もっと言えば、過去に習った単元と同じ単元名が講習会のカリキュラム表の中にあっても、それは復習とは限らず、前に習ったことをベースとして、さらにレベルの高い問題や、より発展的な解き方、考え方をする問題を取り扱う時間かもしれないのです。

だから、「講習会を受けてみたけど、結局苦手克服はできなかった」という結果にならないために、カリキュラム表だけを見て安心ぜず、その内容、レベルまで塾の先生に確認してから臨まなければならないのです。

たとえば、お子さんがサピックスにお通いのご家庭ならよくわかっていると思うのですが、サピックスは講習会中もカリキュラムが進んでいく塾です。もちろん若干の復習はありますが、基本的にはあまり戻ることなく進んでいくタイプのカリキュラムを持つ塾です。1つ1つの単元をちゃんと理解しているお子さんにとっては、もっとも効率のよいカリキュラムということになります。しかしいったんつまずいてしまうと、なかなか取り戻すことができず、そこからどんどん成績が下り坂になるお子さんもいるのです。

もちろん塾によってカリキュラムは様々なので、お子さんがお通いの塾の特性を把握しておくことで、来月に始まる冬期講習会を上手に利用することができますね。そして何より大切なことは、塾の講習会を復習、苦手克服の機会として使えない場合、ここからの約2ヶ月の間に、その時間を捻出する必要があるということです。

お子さんがお通いの塾をより深く理解する、いい機会になるかもしれません。