■「最後はご本人のやる気の問題ですから」

 
こんなことを言う方がいます。いますというか、多いです。一度や二度は塾の先生に言われたことがある方がいるかもしれません。
 
このことばは「いろいろがんばったけど、なんともならないから成績が上がらないのはやる気がないあなたのお子さんのせいです」と言っているのと同じです。
 

なぜお子さんはやる気をなくしているのでしょう?

 

理由はさまざまですが、中学受験を目指す子の場合、はじめからやる気がなかった、勉強が嫌いだったということはほとんどありません。

 

むしろ逆ではないでしょうか。

 

しかも、やる気がないといっても、平均的な小学生とくらべれば、勉強時間も長いはずです。

 

やる気がないから成績が悪いのではなく、頑張っても思うように結果が出ないからモチベーションが下がっているのです。

 

■成績が上がらない本当の原因

 

本当はどうして成績が悪いのか。本当の原因は何なのか。この問いの答えを子どものやる気に求める講師には、相談しても何ら解決しないでしょう。残念ながらスキルや経験が足りないということです。

 

たとえば過去に身に付けておくべき知識がないとか、計算力に問題があるとか、その小さな原因が授業の理解を少しずつ妨げ、結果として大きな差がついてしまうことはよくあります。

 

この成績不振の原因を解決すれば、成績はよくなります。逆に、原因を解決することができなければ、その場はわかったように感じられても、またどこかでつまずきます。

 
塾の授業はよくわかると感じているのに成績が悪い子が多いのは、そのためです。
 
でも、成績が上がっていない原因を解決することは、そうたやすいことではありません。原因を突きとめることも、それを解決することも難しいです。
 
なぜかというと、その原因を直視することが非常に怖いことだからです。
 
たとえば、「お子さんは低学年から高学年になる中で身につけておくべき「整理して考える」という習慣があまり身についていません。だから問題が複雑になったときに対応できないのです。」
 
とお母さんに告げるのは、ある意味残酷なことです。でももっと残酷なのは、その原因を解決しようとしないことです。そして子どものモチベーションの問題にすり替えてしまうこと。
 
ぜひ、先生を探すなら、「よく分かる先生」にとどまらず「成績を上げてくれる先生」を探してください。実はそういう先生は、厳しい先生でも、怖い先生でもありません。
 
■理想の先生
 
その先生はいつも明るくてひょうきんで、子どもを楽しませ、その先生が次に何を言うんだろうと、子どもはワクワクしながら授業を受けています。もちろんそばで見ているお母さんもそうです。
 
そしてその授業の中には「どうして?」が多用されるのです。「なんでそう思ったの?」「どうしてその解き方がいいと思うの?」「こんな問題を考えるとき、どんなふうにまとめたら考えやすいと思う?」「それはどうして?」
 
ワクワクしながら授業を受けていたら、「考える」という習慣がつき、いつの間にか成績が上がってしまう・・・。
 
その先生は子どもができるようになっても、大げさに褒めることはありません。その代わり、すごく嬉しそうな顔をするのです。
 
心底喜んで、感動していたりします。
そして、こんなことを言うのです。
 
 
「こんなことができるようになるなんて、すごいね。」
 
 
これが、私が目指す理想の講師だったりします。