■テレビで話せなかったこと
 
先週、テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」に出演させていただいた際、繰り返し学習の弊害についてお話ししたのですが、テレビの1コーナーということもあり、あまり多くのことを話すことはできませんでした。放映された内容以外にも、高学年になるにつれて成績が下るお子さんが多いということなど収録ではお話ししたのですが、これも取材やテレビ出演の際、よくお話ししていることです。
 

近年の中学入試、とくに難関校の入試では、「この問題の解き方を知っていますか」というような問題は出題されません。「あなたはこの問題の解き方を見つけることができますか」といった出題なのです。つまり、持っている知識をもとに、組み合わせて、複雑に作りこまれた問題で「何がわかっているのか」を整理し、「あと、何がわかれば問題を解決するための筋道が見えやすくなるか」を、自分の力で考えることが必要なのです。

 

「年齢算の解き方は線分図」と覚えるような勉強を、私は「暗記型学習」と呼んでいます。この学習を小さい頃から続けていると、小学校高学年で成績が下がります。勉強自体が楽しくないというのも、この勉強法の特徴です。 覚えることが主体で、「考える」という要素が少ないからです。

 

「二人の年齢を見やすく比べられたら」⇒「線分図なら比べやすい」

 

だから線分図なのです。今考えたいテーマから考えて、使うべき図は何か。その知識が必要なのです。知識というよりも、反射という感じで一瞬で「比べる」⇒「線分図」が出てくるまでになったら、それが本物の知識で「打てば響く」というのはこういう状態です。

 
■暗記型学習から思考型学習へ お母さんは「3秒ルール」を
 
「◯◯だから△△」と、勉強の中に常に「考える」という要素が増えてくると、勉強は楽しくなります。これが「思考型学習」です。
 
では、お子さんのに「思考型学習」を根付かせるにはどうすればいいでしょうか。
 
1つの答えは、「どうして?」をふだんの勉強の中にどんどん取り入れることです。「どうしてその解き方で解いているの?ちょっと教えてよ。」とお母さんが声掛けをしてあげるのです。あくまでも「質問」として「教えて」という感じがいいでしょう。
 
勉強しているお子さんを横で見ているお母さんは、ついつい「質問」ではなく「詰問」になってしまいがちです。ああ、要領が悪いわねぇとか、もっとああすればとか、横で見ていると、歯がゆさからお母さんの気持が揺れてしまうことがあります。
 
気持ちの揺れが大きくなったな、と感じたら、あえて言葉を発せず数秒間黙ってみる。これがいわゆる3秒ルールや6秒ルールといわれるもので、その数秒の間に、心の揺れはずいぶん収まるものです。お子さんの様子を見ながら、上手に質問して生徒役を演じてみてください。