ちょっと時間が出来たので本屋さんで図鑑コーナーをのぞいてみました。
 
図鑑の使用目的は、以前は調べ物をする事でした。
ところが調べる目的のためだけなら、ネット検索の方が便利だとも言えるようになって来ました。

例えば、
「アブラムシ」で検索してみると、図鑑にも出ていないような詳細な生態が記載されています。
昆虫好きの方には楽しんでもらえると思います。
なんと、こどもをお腹に持った幼虫を産むんです。
人間に置き換えてみると、孫が既にお腹にいるこどもを産むことになります。
あんなに急激に増えることが出来る理由だったんですね。

ところが、「この花は何という名前だろう?」という疑問の解消のためには、
ネット検索は使いづらい部分があります。
そのためでしょうか、今市販されている図鑑には、
1 調べるためのもの。
 (1)名前から画像を見つける。
 (2)見たものの名前を調べる。
2 仕組みや動きなど、「なぜ」の疑問に答える読み物。

という2つの種類のものが出版されています。
近年の中学入試に頻出される「身近な動物や植物」の問題の対策には、
「調べる系」の図鑑が有効です。
生物好きな子供の知的好奇心を高めてあげるには「読み物系」の図鑑が有効です。
「調べる系」、「読み物系」ともに小学館や学研から出ています。

中学受験のためには、植物図鑑・昆虫図鑑・動物図鑑は是非そろえておかれることをお勧めします。
これまで「読み物系」の図鑑をほとんど使った事が無い場合は、
こどもが興味を持ちやすい「恐竜」あたりから買い与えてみればどうでしょう。
これも各社から出ています。

また、中学受験入試問題において、ハイレベルな問題では、
「読み物系」の図鑑に書いてあるような、かなり専門的で本質的な事柄をテーマにしているものもあります。ですから、読み慣れていないと手こずることになります。

また、使う子供の年齢に応じた選択も大切です。
図鑑をいきなり使わせようと思っても、図鑑を使って調べる習慣を持たない子供は、
なかなか調べてくれません。
幼稚園生の頃から、簡単な記載やわかりやすい図のある図鑑に触れさせておくことが
必要だと思います。
そのためのものとしては、下記のようなものもあります。
・学研の「はっけんずかん」(幼稚園年少から小学校1・2年生まで)
・「こども図鑑」(小学校1年生から4年生頃まで)

また、注意したいのは、植物や動物の分類は近年大きく変化しています。
お兄ちゃんやお姉さんのお下がりであれば良いでしょうが、
お父さんやお母さんが昔使っていたものを与えるのは考え物です。

ここで、誤解しないようにお願いしたいのですが、図鑑があるから
身近に自然が無くとも大丈夫だと思わないでいただきたいのです。

ライオンの顔も体つきも絵や写真で充分に分かります。
でも、あの迫力は実物を見たことが無いと分かりませんね。
同じように、ススキの葉は細長いことは図鑑で分かったとしても、
触れれば皮膚が切れそうな鋭さや堅さは分かりません。
バーチャルな経験は、残念ながらリアルな経験に及びません。
機会がれば、できる限り本物に触れさせたり見させたりをお願いします。

でも、リアルな体験はそうそう出来るものではありません。
図鑑やネット検索は、リアルな体験の大切な入り口になります。
バーチャルな多種多様な体験の中で知的好奇心を育み、たまたま実物を見ることができたときに、
それまでに収納した知識同士が瞬時につながるような準備が出来ることになります。

リアルでもバーチャルでも、数多くの経験をさせてあげてください。