中学受験の学習を通して、間違った学習方法を身につけてしまった場合の修正方法について
書いていきます。

間違った学習方法とは、
1 何から何までお膳立てが出来ていて、学習の工夫をする習慣を身に付ける事が出来なかった。

2 学習内容を納得せずに、丸暗記で過ごしてきた。

この2点に集約されると思います。

中学受験においては、学習のプランニングの大筋は親御様の方でやるべきです。
それは、優先順位をつけて、必要なものから順にやっていくことが子供には難しいからです。
時には、塾で出された宿題を無視してまで必要な事柄を優先しなければいけない事もあります。
そのような場合は、塾の先生の強制力に勝る親御様の強力な指導が必要になりますね。

でも、細部の工夫はお子さんの役目です。
 「まずノートを見ないで解いて、分からなかったものについてノートを見よう」とする方が効果的なのか、
「授業ノートをしっかり見直した上で、解き直しをする」方が効果的なのか。
このような事をお子さん自身が判断すべきなのです。
だいたい理解出来ていることなら、まず解いて見る事から始める方が良いでしょうし、
難しいと感じていることなら、ノートの復習から始める方が得策でしょう。
「だいたい分かった」とか「難しくててあまりよく分からなかった」というような
自己判断から始める学習の工夫をしてきたのか、
それとも、いつもいつも同じ方法で機械的に繰り返してきたのかの違いです。
 この工夫の無い学習を、「自己判断の無い、質より量を重視した学習」とでも名付けましょうか。
 
一方で、「納得の無い、質より量の学習」もあります。
なぜかは分からないが、とりあえずこの方法で解けば正解が出る。
とりあえずそれを覚えてしまおうという心の動きに従ってしまう学習です。
「とりあえずの暗記学習」とも言えます。
ところが、高校の数学になると、三角関数の公式だけでも10個以上あります。
2~3個の基本公式だけを身に付けておいて、他の公式を自力で導き出せるようにしておけば
負担は少ないのですが、10個とも覚えておこうとする生徒が多いのです。
これは物理においても言えます。
なぜかを理解して、公式の意味と導き出し方を理解しておくと、覚えるべき公式の数は
1/4以下に出来ます。
 「とりあえずの暗記学習」が、日本の子供たちの理系教科の学力低下の原因の一つだと
私は考えています。

ところが、大学入試において国立大学の理系に進学しようとすれば、
5教科7科目のセンター試験で高得点をとらなければいけません。
医学部ならば9割以上必要です。
朝から晩までの長時間学習をしても、この方法では決定的に時間が足りません。

また、別の難しさもあります。
それは、算数から数学への学習法の変化です。
中1で習う1次方程式の文章題は、実は算数でいとも簡単に解けてしまいます。
食塩水の問題でも、てんびんや面積図で数秒です。
方程式を使うと、立式と計算で1~2分かかることになります。
ところが、この時期に算数を禁じ手にして、方程式に慣れておくことが大切なのです。
今後難しくなる数学を解くための道具(方程式)の使い方を訓練すべき時期です。
ですから、中学入学後1年間は、多量の計算練習が大切なのです。

 このように、時期によって目標が異なります。
1 基礎訓練の時期(中1・2)
2 応用力を身に付ける期間(中3・高1)
3 得点力を身に付ける期間(高2・高3)

この2回で書いてきたことを覚えておいていただいて、お子さんに時期に応じたアドバイスをしてあげてください。