月: 2010年11月 Page 1 of 9

解答に到達する課程に興味を持たせるために

 算数のご相談の中に、「解き直しをさせると、ちゃんと解ける。でも、数字や文章が変えられると解けなくなる。」という内容が非常に多いのですが、これは、解く課程を理解できていないからなのです。
 算数を解くという作業で大切なのは、自分の頭の中にある言葉で考えて納得する事です。「この線の長さの差は○○だから、これを時間で割ると□□が出て、・・・ 」というように、必ず言葉を使って考える事になります。解く課程が理解できていないのは、自分の頭の中にある言葉を使って考えていない、もしくはその余裕が無いとことが原因です。 

 過去に、家庭教師として教えていた生徒のことを思い出します。塾の宿題が多量に残っていて、それを明日までにやり終え無ければいけないという日の授業でした。「これが、こうなって、だから・・・、ここまでの説明は分かったかな?」と聞いたときに、その生徒からの返事は、「それで、答えは何なの?」だったのです。途中の考え方や式はどうでも良くて、とにかく早く答えを教えてもらって、宿題を終わらせたい一心だったのです。
 近くで、授業を聞いていらしたお母さんに、事情を説明して、明日、塾の先生にお母様から連絡を入れていただくか、お子さんにお手紙を持たせていただくこと。内容は、『時間が無くて、宿題が半分しかできていないが、子供なりに一生懸命やっていたこと』です。そして、子供には、「今から、このたくさんの宿題の中で特に大切な問題だけを選んであげるから、それだけはちゃんとやっていこうね。」と話して授業を再開しました。
 その後の授業では、私がヒントを与えて、その後生徒自身が考えるという形態で授業を進めることが出来ました。

 この例は、明日が宿題の提出日だというわかりやすい状況だったわけですが、今大手塾に通っているお子さん方はいつも宿題に追われ、復習テストに追われています。目の前の課題をとりあえずクリアーする事だけを目的に学習をこなすようになりがちなのです。いつもいつも切羽詰まった状態の中で、子供たちが見つけ出す方法は、それほどバリエーションがあるわけではありません。
 テストに対しては、解き方の順序をひたすら覚えること。「この数字とこの数字を引いて、この数字で割る」というように覚えておけば、そっくりな問題ならば何とか解くことが出来ます。日能研のカリテ、四谷大塚の週例テスト、場合によってはサピックスのマンスリーですらも記憶力の優れた子供ならば、小五まではそこそこの点数が取れてしまうのです。
 このような暗記学習に走ってしまっている子供の割合は意外に多いようです。私どもは、どうやら”困ったときの駆け込み寺”になっているようですから、特に多いのかもしれませんが、進学塾の生徒の4割近くがそうなっていると感じています。
 では、どうすれば良いのかですが、前出の例と同じく、
1 宿題量を取捨選択して、減らしてあげる。
2 自分の言葉で考えるようにしてあげる。
この2点が大切になります。
 次回は、この2点を実行する方法について書いていきたいと考えています。

受験直前に慌てないために。 「小5までにやっておくこと」(3)

勉強法

□小6までに学習を計画的にこなす方法が身につける□

今、ほとんどの塾が、宿題が過剰です。特に小6になるとほとんどの塾で宿題が倍増します。

日曜日のオプション授業が始まり、中には土曜日の授業時間が長くなる塾もあり、それぞれの授業で宿題が出ますから、宿題は増える、でもやることが出来る時間は減る事になります。

6年生ともなれば、1週間をどうやりくりしても宿題が終わらない。それこそ、マシンのように、問題を解きまくっても終わらないのです。そんな状態で、やったことが身につくはずはありません。

とりあえず、今日中に仕上げる、不完全でも良いからこなす、このような気持ちになりがちですから、筋道を理解しようとか、納得しようという気持ちも起こら
ない状態に追い込まれます。でも、その状況下でも復習テストや合否判定などで『結果』をお子さんは求められることになります。

まずやってもらいたいのは、重要度を考えた優先順位付けです。

これは、納得ずくで時間を掛けて解く問題。これは解き方を思い出すぐらいでも大丈夫、これは、細かいところまで覚えきるところ、というように分けていきます。

それが、出来たら次は、1週間のタイムスケジュールに書き込んでいきます。

水曜日は、学校から早く帰ってくるから、塾に行く前に1時間は勉強が出来そうだとか、金曜日は、質問教室に行ってから帰ってくるから、塾から帰ってきてから勉強するのはちょっと無理だな、というように、1週間の生活をイメージしながら書き込んでいきます。

そして、実行です。

そのときに気をつけて欲しいことがあります。その時間は、その時間にやるべき事だけを考えて欲しいのです。これが終わったらすぐにあれもやらなくっちゃ、ああそうだ、これもあった。このように思い始めると、目の前の学習内容が頭に入ってこなくなります。

今は、これだけやればいいんだと自分に言い聞かせるような感覚でお願いします。

寝る時間が近づいたら、今日の振り返りをしてみましょう。「今日は頑張った。ぼくって偉い!」と感じるためです。その日にやりきれなかったことがあっても大丈夫です。数日先の空き時間に、その内容を書き込んで、「お休みなさい」です。

文章に書くと、非常に簡単な事のように感じられると思いますが、これを子供が実際にやるとなれば、なかなか大変です。

まず、優先順位付けです。どうしても声が大きく、怖そうな先生の宿題が優先されます。

実行の段階では、勉強を始める時に気になったことからどうしても始めてしまうことになります。3日前に決めたことよりも、昨日言われたことが気になるのが子供です。

子供自身の力で、計画作りと実行が出来るようになるまで、親御さんの協力がどうしても必要です。「うちの子、頑張って勉強しているのに、塾の成績が上がら
ない!」とお悩みの方が多いのですが、この計画作りとその実行をして、簡単に成績を上げたお子さんが大勢いらっしゃいます。

小4や小5の段階で、もう勉強だけで一杯一杯だという状況が見えているなら、早速始めてください。あと、3ヶ月、学年の変わり目でパンクすることは目に見えています。

受験直前に慌てないですむ、「小5までにやっておくこと」(2)

□本質を知りたいという知的好奇心が育っていないときには□

今いただいている相談内容の中で、下記のようなものについては、知的好奇心の不足や本質を知りたいという意欲の弱さに原因があります。

・「問題文を読まずに解いているようだ。」

・「文章の短い問題だと解けるのに、4行を越えると考える事が出来ない。」

・「表やグラフの問題については、算数でも理科でもほとんど点数が取れない。」

・「理科の暗記単元では点数が取れるのに、初見の問題や計算単元の問題には手がつけられない。」

小4や小5の通塾されている方からの相談の中に、

「算数を覚えるのに時間がかかり、他教科を覚える時間がありません。」

というものが少なくありません。この、「算数を覚える」という感覚で学習をしている限り負担は軽くなりませんし、成績は下がる一方になります。

小4から小5に上がるときや、小5から小6に上がるときには、急に覚えるべき内容が増えます。また、その1つ1つが難しくなりますから、お子さんの記憶
の器からあふれてしまうことになります。毎年、3月から5月にかけて、「成績が下がってしまいました。」というご相談が増える理由です。

受験算数は、塾や出版社やそれに関わる多くの専門家によって分析され、パターンに分けられてきました。子供たちの学習から無駄を排除し、効率的に学習を
してもらうためです。解き方も、どんどんと進化しています。「裏技」を用いて短時間で解く方法も数多く作られてきています。これらの受験テクニックの果実
だけを覚えてそれを問題を解くときに当てはめる事が、今の受験の主流になりつつあるに感じられて、これでいいはずがないんだが、という危機感を持っています。

このような、覚えたことを機械的に当てはめるという条件反射の学習だけを重ねていけば、そこからは、「なぜ」や「だったらどうなるの」という疑問が消失してきます。そして、テストの結果だけを気にするような学習になっていきます。

本来、学習に備わっているはずの、「本質が分かって楽しい」とか、「知らなかった事が分かって楽しい」という快楽をそぎ落としてしまうことになります。
分からないことを一生懸命考えたり、調べたり、覚えたりという苦しい努力が継続できるは、その先に、「ああ、分かった!」という楽しさの予感があるからで
す。そして、分かったその瞬間の気持ちの高まりが記憶の定着を促進してくれます。

私が、算数や理科で大切にしたいのは、「ひらめき」ではありません。ひらめきとは、今あることから遠く離れた結果を直感的にとらえる力です。これは一部
の天才的な能力を持つものにしか出来ないことだと思っています。重要なのは「気づき」だと考えています。まだ、一般的な言葉になってはいませんから、すぐ
にはご理解いただけないかもしれませんからしばらくおつきあいください。

「気づき」とは、今あることの一手先を予想する力だと考えています。「今分かっていることから、次に何が分かりそうか」を考える力です。この能力は天才でなくても、誰にでも持つ事が出来る能力です。

例えば、受験問題で直角三角形が出てきたとしましょう。それが「30°三角形」なのか、「垂線を下ろしたときに現れる平方比」を利用すれば解けそうなのかを判断できる力だと考えています。そのような能力を身につけるために必要なのは、「生きた知識」です。

「30°三角形の斜辺と短辺の比は2:1」と丸暗記することではなくで、「正三角形を2つに切ったから、当然底辺は半分になるよな。」と感じた経験から自然に覚えてしまった知識です。

また、「この問題は、線分図を書けば、2つの線の長さの差から何かが見つかりそうだ」という予感も、「気づき」です。それは、「和差算」や「倍数算」や「年齢算」を線分図で解く方法が、習ったときの「なるほど!」という快楽と共に鮮明に記憶されているからです。

ここまでお読みいただいた方には、「算数を覚える」ことに反対しているわけではないことをおわかりいただけたのではないでしょうか。むしろ大賛成なのですが、課程というか心構えの違いをお話ししているわけです。

つまり、「気づき」とは、正解に近づくために頭の中の知識の引き出しから必要なものを探し出してくる力です。ですから、頭の引き出しに「生きた知識」を
収納するインプットと、問題を前にしたときに、必要な知識をサッと出してくるアウトプットの両方が大切になってきます。

この「気づき」が本質を知る楽しさにつながり、知的好奇心の源になるものだと考えています。

それでは、この「気づき」を大切にした学習を小5までに身につけるために必要な事は何でしょうか。

1 塾で授業を聞くときに、本当に分かったのかどうかを自問自答する力を高める。

2 「当てずっぽう」の答えは決して言わないし書かない。

3 繰り返して覚え込むべき問題と、理解や納得が大切な問題を取捨選択する。

この3点が大切なのですが、これはお子さんだけのがんばりでは修正できるものではありません。どうしても親御様かスキルの高い第3者が必要になります。

親御様にお願いしたいのは、「正解が出たかでなかったかという結果だけではなく、思考の過程でも正しければ、認めてあげたり褒めてあげたりする」事です。

時には、お子さんの横に座り、

「頑張ってるね。なかなか難しそうな問題を解いているんだね。この問題の解き方をお父さん(お母さん)に教えてくれる。」

「この式を書いてから、次にいけなくて困っているみたいね。この式で何が出たの?」

「それが出たら、次に何が出せそうなの?」

「問題文をもう一度読み直して、使っていない数字や条件がないかを確認してご覧。」

というような、アドバイスが必要になりますし、質問にうまく答えることが出来なくても、

「惜しかったね、ここまでは考えられたんだからたいしたものだ。」

とか、

「ちゃんと納得出来るまで考えようとしているのね。感心ね。そういう努力は必ず実を結ぶわよ。」

という、ねぎらいや褒め言葉が必要です。なかなか褒めることが出来ないときでも、

「一生懸命お母さんに説明しようとしてくれたのね。そういう気持ちがうれしいわ。」

と、ねぎらってあげてください。

正解が出て○をもらったという結果だけではなくて、思考の過程も認めてもらったという経験を積み重ねていくことで、次の一手を見つけようとする気持ちが生まれてきます。そうしていくうちに、自然に当てずっぽうの答えは言わなくなってきます。

 

ところが、3の「繰り返して覚え込むべき問題と、理解や納得が大切な問題を取捨選択する。」は、スキルのある専門家にしか出来ないことなのかもしれませ
ん。現状のお子様の学力と志望校が大きくかけ離れている(偏差値で8点以上)場合は、切羽詰まる前に、個別指導や家庭教師の中で本物のプロの協力を得るこ
とも必要になってきます。

次回は、「学習を計画的にこなす方法が身についていない」場合にどうするべきかを書いていきたいと思います。

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西村って誰?

日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。

35年以上中学・高校受験指導一筋に行う。

教える立場の者は、1つの解き方や考え方を押しつけるのではなく、その子に合った方法を瞬時に提示するべきだと考え、それを実行している。

受験学習を暗記や作業だけの無味乾燥なものとすべきではないという立場から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を持ち味としている。

また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くする「生活の延長線上の受験」という理想を掲げ、父母と子どものコミュニケーション術をもアドバイスしている。

 

 

1954年生まれ。
1975年 都内進学教室の設立に参加。その塾で、役員・教務部長・算数科主任・理

    科主任を長年勤める。

1995年 家庭の事情(両親の介護)で、関西に戻る。

    総合進学塾に在籍し、関西地区の中学受験部門部長に就任。

    都内進学教室では、算数・理科共に教科指導力において絶対の自信を持っ

    ていたが、関西の中学受験の算数・理科の問題にカルチャーショックを受

    ける。そして、関西の進学塾の算数指導のレベルに強い興味を持ち、自身

    の中で算数の教え方を再構築するに至る。

2000年 コーチングの技術や心理療法的なアプローチを取り入れて高い成果を挙げ

    実績を残していた、個別指導塾経営者との衝撃の出会い。総合進学塾から

    個別指導塾へ転職を決める。

2005年 集団指導や個別指導より、家庭に入りこめる家庭教師の立場として子供の

    学習に携わることを選択。独立を決意して東京に再進出。まずは、自らが

    商品となり家庭教師として家庭に伺うとともに、経験豊富な他の講師を本

    当のプロ講師にするための教科内容とコーチング研修を一年以上にわたっ

    て続けた。その結果、顧客満足度の高さを実感出来るほどに成長を遂げ

    る。リビングやダイニングのテーブルで学習指導を行い、親御さんに常に

    授業を公開する事を特徴としている。そうすることで、子供の学習効果が

    飛躍的に高まることを確認したからだ。他の講師全員もリビングテーブル

    での学習指導を行っている。

コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判である。

 

 

 

【これまでの合格実績】
開成中150人,麻布中100人,武蔵中25名,桜蔭中80人,女子学院中100人,雙葉中20名,灘中150人,洛南高附属中70人,東大寺学園中80人,神戸女学院中70人,四天王寺中80人。

(数名の誤差を含んでいる為、10人単位にしています。)

 

また、慶応(普),慶応(中),早稲田中,海城中,巣鴨中,攻玉社中,世田谷学園中,渋谷中,渋谷幕張中,東洋英和中,香欄中,頌栄中,普連土学園中,甲 陽中,西大和学園,大阪星光中,岡山白陵中,六甲中,白陵中,関西学院中,帝塚山中,同志社女子,淳心学院,明星中,清風中,清風南海中,金蘭千里中,大 阪桐蔭中,同志社香里,滝川第二中などにも、教え子が多数進学。

お母さんの関わり方

お母さんの役割は2つあります。

1つめは勉強のスケジュール管理です。

受験は時間との勝負になります。

お子さんに時間の管理までさせてしまっては勉強する時間が足りなくなります。
また、時間の管理は自然にできるようになるわけではありません。
もちろんこれから経験をつめば身についていくでしょうが、受験の日までにお子さんが自然と身につける可能性は低いと考えておく方が賢明です。

今のうちにお子さんに合った時間の管理の方法をあなたが把握しておけば、お子さんが中学に入った後で時間の管理方法を教えてあげることができるようになります。

勉強はお子さんが、時間の管理はお母さんというようにお互いの作業領域を決めてしまうことが時間を効率よく、またお子さんの弱点を埋めるための時間を捻出することにつながります。

何より、今の中学受験は熾烈です。
中学受験を目指すお子さんの数は年々増加しています。

お子さんが行きたいと考える中学校には、他のお子さんも殺到するのです。
公立中学への進学も視野に入っているのであれば話は別ですが、どうしても私立・国立への進学を希望なさっているのであれば、「受験対象校は志望校の一校だけ」というわけにはいきません。少ない方で3校、多い方では6?10校も受験することになります。
当然、それぞれの学校について入試の分析と対策をとっていく必要があります。
とても小学生が自分で分析処理できるレベルではありません。

「自分が受験の時は、親にここまで頼っていなかったのに…」と思ってらっしゃるかもしれません。

いずれにしても、どこかのどかだった昔の中学受験と今とでは事情が全く異なります。
今の中学受験勉強は、親が手伝うべきものです。

また、お子さんの同級生には、自分でちゃんと出来る「○○くん」や「□□さん」がいるかもしれません。それは、「○○くん」「□□さん」だからです。

よそはよそ、うちはうちです。

 

2つめは、お子さんへの言葉かけです。

でも、やる気を出して何でも自分で進んでするようになる魔法についてお話しするのではありません。

思うように行かなかった時にどのように言葉をかけるのが大事かという話です

まず、どんな状態の時に子供たちはバリバリ勉強に打ち込めるのでしょう?
それは、自信がある時です。
「がんばったら結果がついてくる。」
「昨日もうまくいったから、今日もきっとうまくいく。」
「あと少し復習したらこの単元はばっちり。」
お子さん自身がこのような実感を持って勉強できていれば、親があれこれ口を出さなくても、やる気にあふれているものです。

逆に、がんばったらできるようになるという「実体験」をお子さんが持っていない時は、いくら周りの大人が諭したとしても、「今がんばったら、この先にいいことが待っている」という気分に子供はなれません。
むしろ「またうまくいかないのではないか。」という不安でいっぱいなのです。

ですから、お子さんが思うように成績が出なかったり、勉強できなかったりする時には、お子さんも不安を抱えているのだということを意識して声かけしていくことが大切です。

お子さんが「また失敗した。きっともう無理なんだ。」と落ち込んでいる時には、
「本当にいつもうまくいかないの?」と聞いてみてください。
落ち着いた声で。

今回は失敗したかもしれませんが、これまで常に失敗し続けてきたわけではないでしょう。

小さなことも含めれば、むしろうまくいっていたことの方が多いはずです。
その時のことを思い出す。

うまくやれていたのはなぜ?

うまくいくための秘訣がきっとあったのです。
それを見つけてあげましょう。

お子さんをほめることでやる気を出させたいと思ったら
「お子さん自身が自分をほめていること」について、ほめてあげてください。
テストの数字だけを見てほめても効果はありません。
前回のテストで偏差値48だった子が、今回のテストで偏差値50になったとしましょう。
お子さんが自分の納得できる基準を偏差値55においているとすれば、今回の結果についてあまり喜んでいないかもしれません。
その時、「やったね!成績アップしたね!」と無条件に褒めてしまえば、お子さんにとっては「なんだ、この程度でほめてもらえるんだ。」と基準を55から50に下げてしまうことでしょう。
これでは逆効果ですね。

本人が手ごたえを感じているのかどうか、喜んでいるのかどうかをよく観察しましょう。

お子さんをよく観察していれば、偏差値50という数字にあまり喜んでいないことはすぐ分かると思います。

「本当はどれぐらい取りたかったの?そう55取りたかったのね。じゃぁ、『やった!』という感じではないよね。でも、前回より上がったということは嬉しいことよね。この調子で、次こそは目標の偏差値55をとれるようにがんばってみようね。」
といった形で、部分を褒めるようにすれば、お子さんもやる気が出てくるものです。
その際、「前回より上がったのは、どんなことをがんばったからかな?」
「次はさらにどんなことをがんばろうと思うの?」という風に声をかけることができれば、ばっちりですね。

親からみたらほんの少しの変化でも、本人にとってはとても嬉しい「成績向上」の場合だってあります。
たとえばお子さんにとって偏差値50の壁がとても大きな壁だったとすれば、偏差値48が50に上がったことは大ニュースでしょう。
でも親としたら手放しでほめてしまいたくない。

この子の力はこんなものではないから、ここで満足してしまってほしくない。

そんな時は、「良かったね!」と言ってあげましょう。
数字が大きくないのであれば「すごいね」「よくがんばったね」はちょっと違いますよね。

それは、「すごいね」「よくがんばったね」は評価する言葉だからです。
「(お父さんが思うには、この結果は)すごいね」
「(お母さんが思うには、この結果は)よくがんばったね」となっているのです。
こういう表現を使ってしまうと、お子さんは素直に
「親が喜んでくれている=これで十分なんだ」と間違ったメッセージを受け取ってしまいます。

「良かったね」なら、本人自身が喜んでいることを認めてもらえたことになるので、やる気につながるのです。「(あなたが嬉しいと思えたことが)良かったね」というメッセージなのですね。

また、時には、率直な言葉で期待を伝えてあげることが必要です。
その際もお子さんの一つ一つの部分を具体的に褒めること。

「○○はノートを丁寧に書いているところがいいと思うな。それに、テストが返ってきたら間違えたところをすぐに見直して、次はできるようになろうと
がんばっているところも評価しているよ。だから、テストで偏差値54が取れるようになるのも、あと少しのがんばりで大丈夫だと思っているんだよ。どうか
な?自分でもあと少しがんばったらいけそうと思っているんじゃない?」

ただ結果を期待するだけでは、子供にとっては「もし結果が悪かったらどうしよう」というプレッシャーの方が先にたってしまいます。

でも、親から自分の部分を認めてもらえれば、それが力になる。自信になる。なによりうれしいです。

「やる気を引き出す」とは、
子ども自身に、「自分の中に自信を持つことができる部分があるんだ」と気付かせてあげることなのです。

お父さんの関わり方

お父さんは家庭でリーダー役を務めていることが多いため、お子さんの受験でもリーダーを務めることになりがちです。
父性は原理・原則を強く押し出すのに向いていますので、受験の大きな方針を決める際にリーダーシップを発揮なさることはとても賢明な選択です。
ですが、日々の細々とした勉強にまでチェックを入れていく管理者には、できるだけならない選択をお勧めします。

お子さんとの時間を十分に共有できるお父さんはごく少数だからです。

職場であれば一日のうちのかなりの時間を過ごしていますから、スタッフの事情もよく見えており、状況に応じた的確な判断を行うことができるでしょう。
しかしご家庭でのことがどれほど見えているでしょうか。
実際には、お母さんからの情報をもとに判断するしかないことの方が多いのではないでしょうか。

大きな流れは見えても、日常的な小さなことがらまでは見えない。

でもお子さんの受験勉強については、日々の小さなことがらをいかにくみ上げ、適切にマネージメントしていくかが重要なのです。
ですからお父さんが受験の管理者を務めようと思えば、仕事が終わった後はすぐに帰宅し、使える限りの時間を使ってその日のお子さんの様子を確認し、フォローしていくことが必要になります。

中にはそれを全うなさるスーパーパパもいらっしゃいますが、多くの場合は難しい選択だと思います。

かといって、お父さんがお子さんの受験について関わりを持つことをやめるというわけにもいきませんよね。

「週末ぐらい手伝ってよと思うのですが、夫はゴルフの方が大切らしく・・・平日は仕事で大変だとは分かるのですが、せめて週末ぐらい一緒に子供の受験に向き合ってもらいたいと思うんです。求めすぎなんでしょうか。」(早稲田アカデミー 小6女子N.M.さん母)
とお話になる時のお母さんは、たいてい溜息まじりです。

お子さんの中学受験は、家族総出の一大プロジェクトです。
そのプロジェクトにお父さんが参加しないということは、
○お父さんはお子さんに関心を持っていない
○お父さんは奥さんをはじめとしてご家族に関心を持っていない
この二つのメッセージを発しているに等しいのです。
ご家族の中では、それでもバランスを保つことができるのかもしれません。

しかし、お子さんの受験勉強に並走する中で、お母さんはよそのご家族の様子を見ることになります。見たくなくても見えてしまいます。
「○○さんちは旦那さんが、いつも支えてらっしゃる。それにひきかえ、うちは・・・なんで私一人ががんばっているんだろう」
思いたくなくても、そう思ってしまうのです。
なぜなら中学受験は大変だから。

ティーチャーとしてお子さんを支えてらっしゃるお父さんも多いですね。
理数系はお父さんの担当、文系科目はお母さんの担当と分けているというお話もよくうかがいます。
ご家庭で勉強のフォローが受けられるというのが、お子さんにとって有利なのは間違いありません。可能であればぜひ勉強を手伝ってあげてください。
ただし、その際にはご自身ができることとできないことを冷静に把握しましょう。

「算数と理科は主人が担当して、国語は私が担当しています。ただ、特訓講座の算数はかなり難しいらしくて、『そろそろお手上げだぞ』と主人も言い出
しているんです。数学でなら教えられるそうなのですが、算数のやり方でないとまずいですよね。」(日能研 小5女子K.S.さん母)
お父さんが冷静だと、家庭にどっしりとした安心感が与えられますね。

ということで、受験を成功させてきたお父さん方は、時にティーチャーになりながらも、結果として支援者の立場に立ってらっしゃいました。

「夫は勉強には口を出さないようにしてくれているんです。子供の遊び相手になってくれて、息が詰まらないようにうまくやってくれています。」(浜学園 小5女子H.R.さん母)

「子供の宿題をずっと私がついて見てきたのですが、5年生になって内容も難しくなってきたのと、子供が反抗期に入ったことで最近は子供との関係が悪
くなってしまっています。毎日言い合いになっているのを主人が見かねて、こちらに相談するよう勧めてくれたんです。『今のままじゃ、君がもたないで
しょ』って言ってくれて。ああ、見てくれているんだなぁと感じました。」(希学園 小5男子K.Kくん母)

「お父さんはテストの点数を聞いて来ないから好きやねん。いつも『自分の勉強に納得できているなら、それで良し』って言ってくんねんけど、そう言われたら、ちゃんとやらなあかんなって思う。」(日能研灘特 小6男子S.Y.くん)

お子さんの受験を成功に導く支援者の立場こそが、優れたリーダーシップの証です。
プロセスに気を配りましょう。仕事から帰ってきて、たまたま見かけた様子だけから判断して口をはさまないように。お母さんと子供の努力に気を配ることが大切です。

そして、聴くことを大切になさってください。
ただ話の内容を「聞く」のではなく、気持ちも含めて「聴く」。
お子さんの受験に付き合うとき、お母さんは冷静ではいられません。お子さんはまさに自分の血を分けた分身です。お父さんがお子さんと出会う10か月も前から、お母さんはお子さんとずっと一緒に過ごしていたのですから。

ですから、お父さんが冷静であることが大切です。
お父さんまで冷静さを失えば、家庭が不安定になってしまいます。

子供の勉強がうまくいけばお母さんのおかげ、勉強がうまくいかなければ自分の責任、ぐらいの姿勢でいられれば最高のパパです。

言うことをころころ変えない。
方針を一貫させる。

そして、ぜひビジネススキルを応用なさってください。
ビジネスの現場でお父さんが身につけてこられた、スキルは受験にも子育てにも応用できる貴重な財産です。
○コーチングスキル
○スケジューリングのノウハウ
○報・連・相
○PDCA
なにより、部下育成における失敗経験、取り引き先との付き合いでの失敗、同僚との軋轢、などご自身の失敗経験を活用しましょう。

よくある子供が反発するケースとして、お父さんが自分の子供時代と比べ、「お前はこんな問題もできないのか!」と責めるケースがあります。
経験に裏打ちされた責めは非の打ち所がなく、正論ですから、子供にとっては逃げ場がない。

となると、子供は反発するしかしようがなくなります。「お父さんはお父さん。僕は僕なんだ!」なんて爆発すると、勉強どころではなくなります。
そうなると、「ウチは反抗期だから・・・」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、それは反抗期ではなく、「反発」。
ちょっと注意を払って入れば引き起こさなくてすんだ反発を、親が与えてしまっているということなのです。

親の自慢は子供には嫌みに聞こえます。決して叱咤激励にはなりません。
いくらお父さんが貴重な受験経験を持っていらっしゃっても、そのあたりの対応を間違うと、厳しくなります。
子供たちには、自慢よりも失敗談の方が断然ひびくということを知っておいてください。

リーダーのあり方については、こんな言葉があります。
「最低のリーダーは指示をする。
 普通のリーダーは説明する。
 優れたリーダーは率先垂範、背中で語る。
 最上のリーダーはやる気に火をつける。」

世のパパには、ぜひ最上のリーダーとしてお子さんの中学受験を成功に導いてもらいたいと願っています。

がんばりましょう!

親の役割

生活の延長線上での受験

中学受験は親子の受験といわれるように、受験の成否はご家庭にあるといっても過言ではありません。

 

言い換えると、中学受験は「家庭生活の延長線上にある」といえるのです。

 

ですから、中学受験をする理由をはっきりさせておくことは非常に重要です。

 

お母さん、お父さんそれぞれが自分の考えを持っているだけでは足りません。

 

必ず、十分に話し合って、夫婦を始め、家庭内の意見を一致させておくことが重要です。

 

 ■公立中への進学はどうしても避けたい。
 ■自分が通っていた中学校に子供も通わせたい。
 ■とても気に入った学校がある。それ以外の学校には行かせたくない。
 ■将来の大学進学のために、国公立大学への進学実績が良い学校に入学させた

  い。
 ■子供の個性を伸ばしてくれそうな環境を選びたい。
 ■お友達がみんな受験をするのにうちの子だけ公立というのはかわいそう。
 ■制服がかわいい。

 

受験をする理由は人それぞれ色々とあるものです。

 

聞いてみたら思ってもみない理由が出てきたりもしますから、「家族は自分と同じ思いのはずだ」と思い込んでしまわず、早めに話し合っておくことを強くお勧めします。

 

一番問題が起きやすいのは、お母さんが中学受験を決めたものの、お父さんは受験に反対、またはその逆のパターン、といったご家庭です。

 

中学受験は子供に一定の負荷をかけていくことになります。

 

真剣に中学受験に取り組むとなれば、負荷をかける親も負荷をかけられる子供も、そのせめぎあいは激しくなります。

 

その時に夫婦で意見が違う家庭では、お子さんが勉強に嫌気がさすと、受験反対派のお父さんと遊びに行ったりするということが起きます。

 

夫婦で考えた上での息抜きならいいのですが…


それが、大切なテストの前などだったらもう大変です。


「明日は大切なテストだっていうのに、どうして遊びになんか連れていくのよ!」


「テストテストって、たまには息抜きも必要だろう!だいたいそんなに大切なテストなら、あいつががんばって受けようと思えるように、やる気にさせたらどうなんだ!」


「なによ、何にも知らないくせに!だいたいあなたはいつもそうなのよ!・・・・」

 

というやり取りが現実に起きるのです。

 

この話はご夫婦に限りません。


おじいちゃんやおばあちゃんが、「そこまでやらなくてもいいんじゃない…」などとおっしゃることもしばしばあります。

 

同居していなくても、近くにおじいちゃんおばあちゃんが住んでらっしゃって、お子さんが遊びに行った際に、「そこまでしなくてもねえ・・・」なんて本人に声がかかることもあります。


お子さんの受験をきっかけに、嫁しゅうとめの問題がクローズアップされてくるということも、珍しくはありません。

 

こうした家庭内で意見が不一致の家庭は、受験には不利な環境です。


子供を本気に頑張らせたいと思うのであれば、家庭の意見を一致させた上で受験に臨みましょう。

 

どうしてこういうことを申し上げているのかというと、子供は、楽な方に流れていくものだからです。

 

ちゃんと頑張れる子ですら、わざわざ勉強なんてする必要ないよという意見に流されてしまうものです。

 

中学受験においては、もうひと息、もう一歩の勉強で成果がぜんぜん違ってきたりしますから、そのもう一歩のところで楽な道をささやかれたら、やっぱり子供はそっちに流されてしまうのです。

 

だからといって、両親がともにガミガミ言えということではありません。

 

お母さんがガミガミ係、お父さんが息抜き係といった役割分担をするのです。

 

中学受験ではそういったことまであらかじめ考えておくべきなのです。

 

子供に大きな負荷をかけていく以上、親は家庭内でのバランスをともに真剣に考える必要があります。

 

子供ばかりががんばればいいのではありません。

 

親の強力なバックアップ体制が必要なのです。

 

 

中学受験 家庭の役割

中学受験で最も大切なのは、ご家庭の役割です。

 

そして、その役割は2つあります。

 

1つめは、スケジュール管理。

2つめは、役割分担です。

 

 

スケジュール管理の重要性

忙しい毎日の中、塾の送り迎えやお弁当作りなど、お子さんのためにしてあげることは本当にたくさんあります。

 

また、成績を上げるという一点に限っていうと、お父さんやお母さんが横について、勉強を教えてあげているイメージが強いのではないでしょうか?


しかしながら、勉強を見ることはお父さんお母さんの果たす最も大事な役割ではありません。

 

お父さんお母さんの果たす最大の役割。


それは『確認と指示』です。

 

例えば、お子さんは塾で受けている授業を本当に理解していらっしゃいますか?
理解しているかどうかをどのようにして確認していらっしゃいますか?

 

お子さんが本当に授業を理解しているかどうかを確認する方法はたったひとつ。


授業を受けてからできるだけ早いうちに、授業で取り扱われた問題を自分で解くということです。


こうすることによって、授業を自分の中で思いだし、「あ?、こんなこと言ってたな。」という具合に再現することができるようになります。

 

人間の記憶は、24時間でその75%が失われるといいます。


忘れないうちにできるだけ早く習ったことを自分のものにすること。


これが復習です。

 

言い換えると、「わかった」を「できる」に変え、自分で「できないところがどこか」を見つけることともいえるでしょう。

 

お父さんお母さんが授業ノートと宿題ノートを照らし合わせて、お子さんができているところとできていないところを「確認」する。


こうすることによって、その授業で教えてもらったことの中で、今週お子さんが何に力を入れなければならないのかがはっきりするのです。

 

できなかったところは、授業ノートを見ながら再チャレンジさせる。


宿題の中には、授業で取り扱った問題の類題が多く含まれているので、できなかった問題の類題から取り組ませる。

 

もうおわかりですね?


お父さんお母さんの仕事は勉強そのものを教えることではなくて、この復習のやり方を「指示」することです。

 

もちろん、お子さんが授業ノートを見てもできない場合は、お父さんお母さんが教えてあげてもよいでしょう。


ただし、その場合は授業ノートをしっかりと勉強して、塾のやり方にあわせてあげるようにして下さい。


解き方や考え方が違うと、お子さんが混乱してしまいます。


塾に通わせている限りは、解き方や考え方もできる限り塾にあわせていくことが重要なのです。

 

マニュアルには、お父さんお母さんが具体的にどのように「確認」し、「指示」すればよいのかということが詳しく書かれています。

 

この「確認」と「指示」を繰り返しているうちに、お子さんは自然に「勉強のやり方」身につけていくことになります。

 

中学受験に天賦の才は必要ありません。

 

同じ塾で、同じカリキュラムで、同じ授業を受けても伸び方に差があるのは、お子さんが勉強のやり方を身につけていないからです。

 

勉強のやり方を身につけることで、無駄な苦労をせずに成績をあげる方法が身につくことになるのです。

 

 

 

役割分担について

少し前までは、「中学受験は母親と子供の二人三脚」と言われました。


ですが、中学受験が苛烈さを増す一方の首都圏・関西圏では、「中学受験は父母と子供の三人四脚」が普通になってきています。


資金面で祖父母がスポンサーになっているケースも多く、家族総出の受験といっても過言ではありません。

 

受験事情がこうなってくると、お父さんがどのように受験に関わるかがとても重要です。

 

ご夫婦で役割分担がうまく成り立っているご家庭では、お母さんの言葉にお父さんへの信頼があふれています。

 

しかしながら、実際にお話を伺っていると、事情はちょっと違っているようです。

 

「本当は夫にも手伝ってほしいのですが、仕事が忙しくて家にいないので、落ち着いて相談もできない状態で・・・子供の受験のことは私に任されているんです。」(SAPIX 小6男子A.R.くん母)
と、ちょっぴり恨めしそうにおっしゃるお母さんもいらっしゃいます。


オブラートに包んでも仕方がないですね。

 

恨めしそうにおっしゃるお母さんの方が確実に多いのです。

 

このままいくと深刻な方向に向かってしまうのでは!?と心配になるお話もよくあります。

 

「主人も中学受験をしたのですが、塾なんかに通わなくても合格できたというのです。息子も主人の出身校を目指しているのですが、なかなか成績が上がらなく
て・・・毎日塾に通っているのに模試でA判定が出ないのは理解できないと、主人は言うんです。私の育て方が悪いからと責められているみたいで。」(希学園
 小6男子T.Kくん母)

ご自身の受験経験を下敷きに、お子さんの受験も全く同じように考えるお父さん・・・

このタイプのお父さんについては、お母さんの悩みはつきません。

 

「父親は日頃は子供の勉強を見ないのですが、たまにテストの結果を見て、子供をひどく叱るんです。その日の気分で怒ったりするので、子供も父親に成績を見
せるのをいやがっていて。私と子供が2人でいるときはいいのですが、主人が帰ってくるとどうも家の中の雰囲気が悪くなってしまって。早く受験が終わってく
れないかと思います。」(浜学園 小6男子O.S.くん母)


などと、まだ夏休みが終わったばかりなのに、すでにお母さんもお子さんも受験へのモチベーションを失ってしまったおうちもありました。

 

お酒を飲んで帰ってきた日に限って、お子さんのテストをチェックしたがるお父さん。

 

お子さんにやる気を出してもらおうと、ご自身の受験体験を話しているうちにいつの間にか自分の自慢話になってしまうお父さん。

 

自分が本屋で見つけてきた問題集を使わせたくて、塾のカリキュラム度外視でお子さんの勉強メニューを変えてしまったお父さん。

 

「第一志望校の学校以外は受験してはいけない。失敗したら公立中学校に進学!」と鶴の一声で決定したにも関わらず、いざ入試が始まったら「やっぱり私立に行かせてやりたいから、他にもいくつか受験させたらどうだ?」と、願書受理期間終了後に言い始めたお父さん。


これは全部実話です。


残念ながら、全員の方が受験に失敗なさいました。

 

 

そうならないために、一番最初にお父さん・お母さんがそれぞれの果たすべき役割をきちんと決めておかなければなりません。

中学受験の塾選び

ウチの子にはどんな塾があってる?

 

お子さんのタイプ別「失敗しない塾の選び方」

学習の先取りが出来ているか、そうでもないかと、計算のスピードが速いかそうでもないかという2つの点で見てタイプ分けしてみましょう。

 

計算のスピードが速い
Yes No

先取り学習が

できている

Yes A C
No B D

 

Aタイプのお子さん

他塾よりも若干進度が速く、教材が難しめの塾が合います。

 

先取り学習してきているわけですから、他のお子さん方よりも授業が分かりやすかったり、早く解くことが出来る場面が多くなり自分は出来る子だという自尊心が生まれてきます。

 

このクラスの中では自分はトップレベルかも!

と思うことで学習意欲を高めさせようというわけです。


お子さんの自尊心をくすぐる塾選択が効果的です。

 

 

首都圏では、サピックスということになります。

 

ただ、1つ例外があります。


計算が早いだけでミスを連発するお子さんは四谷大塚が適しています。


他のお子さんとの競争心をあおるよりも、ていねいに解く練習をする必要があるからです。

 

この場合には、ノートに読み易い字を書く練習をさせておいて下さい。

 

ミスが多いお子さんの多くは、字を書く事を面倒くさがります。

 

書く事を嫌がらない状態で塾にいれる事を心掛けて下さい。

 

 


Bタイプのお子さん

宿題の量が多すぎない塾を選んで下さい。

 

宿題が多すぎると、早く終わらせなくっちゃと思って、解き方を覚えるだけの暗記型学習になってしまうのです。

 

この場合は、四谷大塚か日能研が良いと考えられます。


他塾に比べて1問にじっくりと時間をかけて理解させようという方針で授業がなされています。

 

四谷大塚に入れる際に親が気をつけておくことは、曜日後との時間の使い方に注意して上げることです。


子供任せでやった場合、算数と国語の復習と理科社会の予習を同じ日にやらなくては行けなくなることが往々にしてあります。

 

どの曜日に、どの教科の、何をどのくらいの時間をかけてやるのかを、考えてあげて下さい。

 

また、日能研に入れる際に親が気をつけておくことは、復習が機械的な暗記学習になっていないかどうかをチェックしていただくことです。


日能研の復習テストはカリテと言いますが、このテストは問題の多くはテキストどおりです。

 

ですから、理解していなくても取り合えず解き方や答えを丸暗記していけばある程度点数が取れてしまいます。

 

これでは、総合的なテストで点数が取れないようになってしまいます。


暗記型学習になっていないかどうかは、解き方を説明させて見れば簡単にわかります。

 


Cタイプのお子さん

勉強量が多め、そして演習量が多い塾が合います。

 

物事を理解するのが早いわけですから、後はそれを使えるようにすることで早く成績を伸ばすことが出来ます。

 

ですから、たくさんの演習問題を解いて使い方を定着させるタイプの塾が有利になります。


その意味で早稲田アカデミーになります。

 

この際に、親が気をつけておくべきことは2つあります。

 

1つは、宿題をこなし切れているかどうかに常に注意を払ってもらうこと。
2つ目は、暗記型学習になっていないかどうかのチェックです。

 

早稲田アカデミーでの宿題量は、最下位クラスでない限りは、他塾よりもかなり多いとお考えください。それがこなし切れたら大きな効果がありますが、こなしきれずにツマミ食い状態になってしまう危険性があります。


こなしきれていない場合は、宿題の優先順位を決めてあげて下さい。

 

暗記型学習に陥っていないかどうかは、早稲田アカデミー生のお母さん方が常に注意される事をお願いします。

 

算数の解き方も、何から何まで公式にして覚えさせる講師が多い塾ですから。

 

 


Dタイプのお子さん

2つあります。


1つは、宿題が多すぎない事。

このタイプのお子さんは、数をこなすより一問一問しっかり理解させる必要があります。

宿題が多すぎると、1問をじっくり理解する時間が取れなくなります。

 

 

2つ目は、気軽に質問出来る塾である事。

塾の授業はどんどん進みますから、理解しきれない問題が多くなるはずです。

授業中にわからなかった問題に20分も30分もかけることは時間の無駄になります。

ですから気軽に質問できることが大切なのです。

 

以上2点から考えると、四谷大塚です。

 

その際に、親が気をつけておくべきことは2つあります。
1つ目は、四谷大塚の週例テストをペースメーカーに学習プランを組み立てて行くこと。


2つ目は、少5で国語の暗記すべき知識量が非常に多いために取捨選択が必要な場合があること。

 

です。


また、わからない問題をお子さんが質問する場合、お子さんに「質問してらっしゃい。」と言うだけではなく、担当の先生にお母さんが前もって連絡を入れて、お子さんが質問しやすいようにして上げることも大切です。

 

特に、通い始めた初めの頃は、なかなか質問出来るものではありませんから、お母さんの一押しはどうしても必要です。

 

合格実績で塾選びをされる方が多いのですが、最も大切なのはわが子に最もあった塾に入れてあげるということです。

 

授業が公開されている場合は、実際に見学に行ってみることです。

 

わが子がいきいきと授業に参加しているイメージを描くことができれば、その塾選びは成功かもしれません。

 

 

入塾時、できるだけ最上位クラスに入らなければならないのはどうして?


大手塾は成績によってクラスが変動するシステムを採用しています。

 

ですから、入塾時は中間ぐらいのクラス帯で始めて、お子さんが塾になれるにしたがって徐々にクラスを上げてくれればいいとお考えになる方もいらっしゃいます。

 

しかし、そう話はうまくいかないのです。


順調にクラスを上げていける子は、圧倒的に少数派だからです。

 

例えば、日能研では、上位クラスと下位クラスでは算数の授業時間数すら異なっています。

 

上位クラスの方が多いのですから、学力差は開くばかりですよね。

 

また、サピックスの下位クラスでは、クラス分けテストに出題されるにも関わらず、授業で教わることが出来ない問題がたくさんあります。

 

このように指導される内容自体に大きな差があるために、学年が上がるほど大きな差が生まれてしまうのです。

 

同じように、他の塾でも上位クラスに上がることはなかなか難しいことを知っておかれる必要があります。


実際には、小学校4年生の時点で一番上のクラスに在籍していたお子さんの6割以上が、そのまま小学校6年生まで一番上のクラスで在籍を続けます。


言いかえれば、下のクラスから上がってきて一番上のクラスにたどりつけるお子さんは、ほとんどいないのです。

 

これは一番上のクラスに限りません。

 

大手塾では、入塾時のクラス帯とほとんど変わらないクラスのまま、受験に臨むお子さんが大半なのです。

 

「入塾した時のクラスが受験の時のクラス帯」

 

これが現実です。

 

 

ですから、中学受験を成功させるためには、受験時に在籍していたいクラス帯と同じかそれより上のクラスで入塾できるように、準備をしておくべきなのです。

受験直前に慌てないために。 「小5までにやっておくこと」

近頃、小6の受験生を持つ親御様からの相談が急増しています。

「合不合判定テストが下がってしまった。」

「比較合判で志望校に足りない。」

「センター試験の偏差値が14も一気に下がった。」

「ここに来てミスが急増した。」

「問題文を読まないで解いているようだ。」

「合格のイメージが持てないようだ。」

「首都圏模試のような易しい問題が多い模試だと偏差値は良いのに、四谷の合不合だとそれから20も偏差値が下がる。」

「慶応志望なのに、ミスが減らないどころか増えている。」

「麻布志望なのに、式や図が書けない。」

「文章の短い問題だと解けるのに、4行を越えると考える事が出来ない。」

「表やグラフの問題については、算数でも理科でもほとんど点数が取れない。」

「理科の暗記単元では点数が取れるのに、初見の問題や計算単元の問題には手がつけられない。」

「社会の地理の知識を忘れてしまっていることに今気がついて、焦っている。」

上記のように、切実なしかも急を要するご相談ばかりです。

相談される状況はさまざまですが、これらの原因は意外にそんなに他種類ではないように感じるのです。

1 本質を知りたいという知的好奇心が育っていないこと。

2 学習を計画的にこなす方法が身についていないこと。

3 解答に到達する課程に興味が持てていない。

この3つに集約されると考えています。

小6生の場合は、原因を考えてその対策を講じていく余裕はありません。とにかく、目の前の入試での得点を高めるために、即効的な方法を真剣に考えさせていただく事になります。

このような相談をいただく一方で、一見受験勉強を楽しんでいるかに見えながら、ちゃんと合格するお子さんも多く見てきました。

この大きな違いは、小5までの学習において、少しの差がどんどんと広がってしまった結果だと感じています。

これからの数回は、「小5までに、何をどのようにやっておく方が良いのか」、また、「親御様が協力できる事は何なのか」を、書いていきたいと思っています。

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